「皆さんの幸せも、僕たちが常に作っていきたい。無限の先を僕たちは作っていきます」SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)『∞〜 INFINITY 〜』ホールツアー、予想を超える挑戦的ライブでBLUEと互いの熱量をぶつけ合い最高のフィナーレに!<ライブレポート>



3月にパシフィコ横浜での単独公演を成功させ、5月からホールツアー『∞〜 INFINITY 〜』で全国5都市を回ってきた9人組ミクスチャーユニット・SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)が、その締めくくりとなるファイナル公演を7月16日(日)にTOKYO DOME CITY HALLで開催した。

メンバーの飯島颯が名付けたタイトル『INFINITY』に込められた意味合いは“無限の可能性”。ボーカル、ラッパー、ダンサーを擁し、それぞれが得意分野を持つ自身の可能性を追求した本ツアーでは新曲はもちろん、新たな組み合わせでのユニット曲に鉄板曲メドレー、客席降りなども交えて、BLUEと呼ばれる自身のファンを熱狂の渦へ。予想を超える挑戦的ライブでBLUEと互いの熱量をぶつけ合い、最高のフィナーレを飾ってみせた。



3月に最新アルバム『mirror』をリリースし、自身最大キャパとなるパシフィコ横浜公演ではオーディエンスの声出し解禁を果たした上で、結成から8年の集大成を見せた彼ら。今回のツアーではアルバム曲を交えながらも、さらに一歩進んでSUPER★DRAGONの新たな顔を次々に公開していった。照明の落ちた場内に心音が9つ鳴って、メンバー紹介を交えたオープニング映像で銀河に輝く9つの星が∞のマークを結ぶや否や、アルバム新曲「Tap tap tap!」のエレキギターが轟き、壇上に立つ古川毅が第一声を朗々と吠えてライブはスタート。すかさず上手にジャン海渡、下手に松村和哉が現れて切れ味鋭いラップを繋げば、センターの扉が開いてダンサー4人が飛び出し、下手から池田彪馬、上手の壇上から田中洸希とボーカル陣が加わる鮮烈なオープニングで、BLUEの眼を釘付けにする。




噴き出す火花の助けも借りながら、グループ内それぞれの役割を明確にアピールしたところで、色っぽい表情で魅了する「Monster!」に勢いよくBLUEを煽る「SWEET DEVIL」と、タイプの異なる人気シングル曲を連投。ステージ後方の大型モニターにはリアルタイムのパフォーマンスが映し出されるが、古川のプロデュースによるカラフルでゴージャスな衣装に身を包んだ9人はどの瞬間、誰を切り取ってもキマッており、グループカラーである青のライトスティックを振るBLUEの狂乱も納得だ。

だが、MCになれば親しみ深い好青年の一面が覗くのも彼らの魅力。この日も鉄道タレントとして『タモリ倶楽部』等でもおなじみの伊藤壮吾が、ツアー最終日だからとMC恒例の車掌アナウンスを最終電車バージョンで行ったり、TBSドラマストリーム『埼玉のホスト』に出演する田中洸希が「マモルでーす、今日は皆さんを守って帰りたいと思います!」と役名をもじった挨拶で客席を沸かせていく。また、会場の隣は戦隊ショーの聖地ということで、飯島颯が「TOKYO DOME CITY HALLで僕と拍手!」と拍手を巻き起こせば、志村玲於とジャン海渡はおなじみの口上でBLUEと元気にコール&レスポンス。BLUEの声を聞けなかった3年間の空白は、声出し解禁となったパシフィコ横浜公演以降、全国を回ってしっかりと埋まったようだ。



「ブチ上がる準備できてますか?最高の夜、作ってこうぜ」というジャンの号令から、「Are U Ready?」のストレートなラップ&ボーカルでBLUEのテンションを徐々に引き上げ準備万端整えると、ここから9人が3組に分かれて新たなユニット曲をお披露目。トップバッターを飾ったのは、ファンから“相棒”というコンビ名で呼ばれる20歳の池田彪馬と19歳の松村和哉による「Do It」だ。なめらかなボーカルとマシンガンラップをぶつけ合うガチバトルで、年齢に似合わぬ危険な色気を振りまき、息の合ったテクニカルで激しいダンスも圧巻。一瞬たりとも目が離せない濃厚なコラボレーションを果たし、MCで「最終日、一番カマせたんじゃないか」と池田が自信を見せたのも当然だろう。




一転、壇上でアコースティックバラード「maybe it’s you」をしっとり歌い上げたのは古川毅、ジャン海渡、田中洸希の3人だ。アグレッシブなラッパーイメージの強いジャンとバラードの取り合わせは意外だが、それだけに貴重で、BLUEもステージに全集中。君への想いを綴るエモーショナルな歌声が輝くミラーボールに共鳴して、いっそう切なさを際立たせていく。



続いて、伊藤壮吾の車掌アナウンスから始まったのは、志村玲於、飯島颯、伊藤、柴崎楽のダンサー陣が初めて4人でハンドマイクを取った「SAWAGE!!!!」。“お茶の子さいさい”“参勤交代”といったワードが登場し、コミカルな色の強い和風お祭りトンチキソングは、志村いわく「爆笑しながら振り付けした」とのことで、お神輿代わりに飯島が担ぎ上げられる場面もあった。ちなみにジャンと松村が手掛けた歌詞には志村の紅茶、柴崎の料理など、メンバーにまつわる要素もしっかり盛り込まれており、ジャンの自宅で行った作曲の様子も「いつか(映像を)公開したい」(松村)とのこと。また、伊藤の“君の瞳に乾杯♪”、柴崎の“子猫ちゃん♪”というキメ台詞には黄色い悲鳴の嵐が吹き荒れたが、大阪公演では「レコーディングでの和哉の“子猫ちゃん♪”のこだわりが凄かった」という秘話も柴崎から明かされたので、リリースを楽しみにしたい。



さらに、全身黒に着替えた田中が得意のヒューマンビートボックスを長尺で聞かせ、緻密かつ重低音な響きで足元から場内の空気を震わせると、ラッパーのジャンと松村を手始めに次々とメンバーを招き入れて「Don’t Turn It Down」へ。ステージの横幅いっぱいに展開し、肩の力を抜きながら己を誇示するラップ&ボーカルとダンサー陣で二列構成となるフォーメーションも巧みで、そんなSUPER★DRAGONならではの組み合わせの妙は「So Woo」でも同様だ。ファンクなビートに乗せて、プリミティブなボーカル、グルーヴィーなラップ、野性味あふれるダンスとそれぞれが光り、再びビートボックスを存分に轟かせた田中はジャンと満足げにハイタッチ。従来の持ち味の上に新たな可能性を開花させる――そんな彼らの姿勢が、この日のライブではハッキリと見えた。



その上で、BLUEとの距離を心身ともに縮めていくことも忘れない。ピュアな恋心を歌う「Pretty Girl」ではメンバーが客席に下りて方々に散らばり、BLUEたちと間近でコミュニケーション。スタンド席へと通じる階段を上がり、上方階のオーディエンスにも満面の笑顔で爽快なハッピーを届けていく。そこから夕焼け色の照明の下、ラップも歌声もすべてが温かな「Distance」では、今度は“いつだって心は側にいる”とアピール。それに応えて客席一面で揺れる青い光が、彼らの想いを確かに受け取ったことを表していた。




また、その後のMC明けでは毎公演、日替わり曲での撮影タイムが用意されており、ファイナルでチョイスされたのは「Summer Breeze」。夏の気だるさを微かに感じさせながら、そよ風のように消えてしまいそうな恋心を惜しみ、捉えようとするかのようなパフォーマンスから熱情が香り立つ。BLUEへの感謝をラブソングに乗せて、続く「相合傘」ではメンバーそれぞれに赤い傘を差しながら歌い踊り、雨空から青空へと変わるモニターをバックにお洒落に魅せると、今度はスパドラ史上最もディープな恋愛ソングと言って過言ではない「Not Enough」へ。ボーカル陣が歌い繋いでいく貪欲な情念を、それぞれの背後でダンサーが寄り添うように動きで表していくのが何ともドラマティックで、クライマックスではシャツをたくし上げて素肌を露わにするメンバーに文字通りの悲鳴があがった。結成時は平均年齢13歳だった彼らが、こんな妖艶なパフォーマンスが板につくようになったのも、8年という月日の賜物だろう。

可能性への追及はさらに続き、ここでグループ内ユニット2組がそれぞれ新曲を披露していく。年少組サンダードラゴンの「Bad Bitter Honey」は、2019年に発表された「真冬の熱帯夜」の続編とも言えるナンバーで、トロピカルな響きも交えながら年上女性への恋情を表現。セクシーさを増したダンスが当時からの成長を実感させるが、歌詞そのものが初期からスパドラ曲を支えたYockeと松村との共作ということで、「(田中)洸希にラップやらせたかった」というこだわりも告白してくれた。また、年長組ファイヤードラゴンの「Aim So High」は“高みを目指せ”という意味のタイトル通り、テッペンまで止まらぬ高揚感を瞬発力のあるラップ&ボーカルと、流れるようなダンスで魅せるナンバー。古川いわく「バチ踊りこみですよ、修行ですね!」というダンスは一瞬たりとも休みがなく、ジャンも「ずっと動いているから、体力的に一番疲れる」と続けるが、それでも「楽しい」とメンバーは言うのだから恐れ入る。



いずれもBLUEの大歓声を呼んだ新曲で会場を温めてからは、SUPER★DRAGONの持ち前の“熱さ”を存分に堪能させられることに。まずは全身白に着替えたメンバーが順に豪快なソロダンスを繰り出し、ステージ中央へと追い詰められて牢獄の鉄扉を模したパネルに囲まれると、火柱が噴き上がってアルバムのリード曲「Revolution」へと突入。オーケストレーションも交えた壮大なダンスチューンを古川&池田が超ハイトーンで歌い上げ、巧みにパネルを操りながら全身でパフォーマンスする、そのテーマはズバリ抑圧からの解放だろう。

そして牢獄から解き放たれた彼らは、真っ赤な光に染まったステージで情熱のラテンチューン「La Vida Loca」を放ち、以降メドレー形式で十八番のミクスチャーロック曲を畳みかけていく。「OK、東京! 黙らずに叫ぼうぜ」と「Shut Up, Shut Out」に雪崩込めば、再び客席に飛び出してBLUEを煽り、田中はマイクを握ってこめかみの血管がブチ切れそうなシャウトで場内を席捲。「Mada’ Mada’」では客席通路で古川とジャンがメンチを切り、ステージ上でもゼロ距離で顔を寄せてにらみ合うメンバーにBLUEは熱狂するばかりだ。ダメ押しとばかり鉄板曲「Untouchable MAX」で火花が噴き上がると、ジャンは「歌ってくれ!」とBLUEに必死で叫びかけ、今ツアー用に追加されたブレイクや終盤ラッシュをかけるダンスの迫力には圧倒されるほかない。




そんな燃え滾るような熱さを動力源に、6月28日(水)にデジタルリリースされた新曲「Reach the sky」では希望に満ちたポジティブな響きで空まで駆け上がっていく。明朗なロックサウンドに乗せてタオルを振りたくるメンバーに満場の青い光が応え、そこから「魂の旗、掲げて一つになりましょう!」(古川)と本編を締めくくったのは「SOUL FLAG」。モニターにはパフォーマンスするリアルタイムの姿に、それぞれの手による手書きの歌詞が重なって、“夢の続きを一緒に見よう”という彼らの願いを目から耳からストレートに訴えていく。大サビではBLUEの大合唱が沸き起こり、その景色を見渡したメンバーの顔には清々しい笑顔が。「共有したいのは、僕たち自身の未来への無限の可能性です。これからも最高の景色をその青いペンライトで――大海のような大空のような景色を、俺らと一緒に作っていきましょう」という古川の言葉に、きっとすべてのBLUEが胸を熱くしたに違いない。

加えて「Bad Day」で年齢相応の茶目っけを見せながら幕開けたアンコールでは、8周年記念CD+Blu-ray『INFINITY TAPE』が9月27日(水)に発売されることをサプライズ発表。今回のツアーで発表された新曲6曲を収めたCDと、パシフィコ横浜公演の模様を完全収録したBlu-rayというパッケージは、BLUEには絶対見逃せないだろう。さらに『DRA FES 2023』が9月24日(日)に東京・豊洲PITで開催されることも初告知。通常とは異なるメニューと企画でスパドラのラフな一面が目撃できる恒例のスペシャルイベントが、2年越しで開催されとあって客席は歓喜の嵐となる。そしてラストソングを前に、古川はこう言い置いた。

「生きていると辛いこともたくさんありますが、どうにかこうにか明日からみんなが夢に向かって頑張っていく背中を押せればいいなと思って、良い音楽、良いエンタメを作っている次第です。“応援してください”というより、応援してます。今日一番の盛り上がりを、この曲で作れたらいいなと思ってるんですけど、いいですか?」

こうして始まった「Popstar」では、今現在の彼らがそれぞれ映る横に、デビュー当時の姿が並ぶという嬉しい仕掛けが。これまでの道のりを振り返りながらも決意と覚悟を綴ったナンバーは、曲調に飾り気がないぶん真摯に響き、“あなたらしく”自由に生きろと叩きつけられる松村のラップには、確かに背中を押される心地になる。彼らが共に見たい“最高の景色”はSUPER★DRAGONだけのものではない。BLUE一人ひとりの人生の中にも、燦然と輝くべきものなのだ。



そんな想像を裏付けるべく、ジャン海渡が「挫けそうなときもあるけど、BLUEの皆さんの声や熱量に救われるし、皆さんが救ってくれるから救い返そうとぶつかり合える。挫けそうでも自分たちを信じていたら、光が下りてくるものだと最近感じているので、僕らも皆さんにとっての光になれたら。皆さんが1人で戦っているときに、イヤホンやスピーカーからSUPER★DRAGONの音楽を流すだけで、すべて忘れられる存在になりたい」と述べたのに始まり、最終日ということで残りのメンバーも心境を告白。

「このツアーで無限の可能性を見せられたんじゃないでしょうか。まだまだ進化していきますのでよろしくお願いします」と飯島颯が頭を下げれば、田中洸希は「地方で久々に声出し解禁できて嬉しかった。声を出せると一体になっていると実感するので、これからも最高の思い出を作ってほしい」と喜びを語った。伊藤壮吾も「みんなの元気な声が聞けて嬉しかったです。スパドラの夏は目白押しなんで、僕らの走る先を青く照らしてください」と伝え、志村玲於も「これからも止まらないんで、一緒に僕たちと歩いてくれたら嬉しいです」と賛同。また、松村和哉は「僕らと僕らの音楽は、ずっとあなたの味方なんで信じてください」と断言し、最近のライブでグッズを担当している柴崎楽は「グッズを作るのも一つの僕の可能性。そうやって9人の一つひとつの可能性をくっつけて、これからも突っ走っていきたい」と決意を新たにした。



最後に「みんながいろんな場面で成長して、メンバーが作った曲、歌詞、振り付けをやれると 、常に幸せを更新できている気がします。皆さんの幸せも、僕たちが常に作っていきたい。無限の先を僕たちは作っていきます」と池田彪馬が宣言。そして「皆さんの青い光が何より大切で、皆さんはかけがえのない存在です。この先も僕たちは走り抜けていきます。皆さん、ついてこれますか?」と問いかけると、BLUEから返る声がYESを告げた。ステージを去り際、古川が「今年の夏、やべーぞ!ついてこいよ!」と叫んだ通り、この夏は各種イベントライブに加え、8月にはマレーシアでの初の海外ライブも決定。9月の『DRA FES 2023』も残暑厳しい中で行われるだろうことは確実で、スパドラの“暑くて熱い夏”は、まだまだ続きそうだ。



■詳細
【SUPER★DRAGON LIVE TOUR2023「∞~INFINITY~」】
開催日:2023年7月16日(日)
場所:[東京]TOKYO DOME CITY HALL
時間:開場17:30、開演 18:30

<セットリスト>
M.1 Tap tap tap!
M.2 Monster!
M.3 SWEET DEVIL
M.4 Are U Ready?
M.5 Do It
M.6 maybe it’s you
M.7 SAWAGE!!!!
M.8 Don’t Turn It Down
M.9 So Woo
M.10 Pretty Girl
M.11 Distance
M.12 Summer Breeze
M.13 相合傘
M.14 Not Enough
M.15 Bad Bitter Honey
M.16 Aim So High
M.17 Revolution
M.18 La Vida Loca
M.19 Shut Up, Shout Out
M.20 Mada’ Mada’
M.21 Untouchable MAX
M.22 Reach the sky
M.23 SOUL FLAG
ENC.1 Bad Day
ENC.2 Popstar

【SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)「INFINITY TAPE」】
価格:7,800円(税込)
発売日:2023年9月27日(水)
内容:FC限定盤 CD+Blu-ray+ブックレット

【SUPER★DRAGON DRA FES 2023】
開催日:2023年9月24日(日)
時間:[1部]龍崎高校学園祭 開場13:00/開演13:45、[2部]8th Anniversary LIVE 開場17:15/開演18:00
場所:豊洲PIT(東京)


Photo:笹森健一
Text:清水素子

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