【THE RAMPAGE・岩谷翔吾インタビュー】「越えられそうにない夜を過ごしている人の背中を、このタイトルのように優しく押せたらいいな」<2作目の小説『一人分の夜を生き直す』>
2026.11.6

THE RAMPAGEの岩谷翔吾が、2作目となる小説『一人分の夜を生き直す』(幻冬舎)を11月5日(木)に発売。
ダンスで出会った蓮と大和、2人の人生を描いた本作の着想は、THE RAMPAGEとして東京ドーム公演を終えた夜に、1人でカップ麺を食べていた時間だったそう。ダンスを文字で表現するこだわり、作品に込めた思いまでをたっぷり聞きました。
着想は、東京ドーム公演後の夜中に1人でカップ麺を食べている自分。

■2作目となる小説『一人分の夜を生き直す』の完成、おめでとうございます。今の心境を教えてください。
岩谷翔吾 まずはほっとしています。2年かけて書いたので、完成させられたこと自体にほっとしていますし、2作目を出すことで「一発屋じゃなかった」と行動で示せたのも大きいです。
■「一発屋だと思われるかも」という不安があったのでしょうか?
岩谷 ありました。1作書いたからこそ、自分でも「ここから書き続けられるのか」と思っていましたし。でもやっぱり書き続けたい。だから1作目を出すときに「まずは3作を世に出す」と決めて、そこに向かって走ってきました。無事に2作目を皆さんに届けられてうれしいです。

■THE RAMPAGEで東京ドームに立ったあと、帰った家でこの小説の着想を得たと、以前ライブでお話しされていましたが、改めて本作の着想について教えてください。
岩谷 はい。THE RAMPAGEで東京ドーム公演を終えた日の夜、おなかが空いてコンビニに行ってカップ麺を買って帰って、夜中に1人でテレビを観ていたんです。そのときに、ついさっきまではあんなに歓声に包まれていたのに、1人でさみしくカップ麺を食べている自分の姿が、なんかすごく……いいなと思って。そこから、この作品を書いてみようと思いました。
■カップ麺を食べているときに「これは小説にできるかも」と思われたのでしょうか?
岩谷 まずは「さみしい夜だな」と思いましたけど(笑)。みんな、アーティストにはキラキラしたステージのあとにキラキラした打ち上げが待っていて、きらびやかな生活をしていると想像すると思うんです。
■確かに、派手な打ち上げをしているんだろうなと想像してしまいますね。
岩谷 派手な場所でお酒を飲んで、みたいな。でも少なくとも僕はそんなことない。そのとき、「これって理解してもらえないだろうな」と思うのと同時に、「だからこそ自分が書く意味がある」と思いました。
光と影のようなものを描こうとしたとき、自分のフィールドが一番説得力があって筆も乗った

■本作は、ダンスで出会った蓮と大和、2人の人生を描いた物語です。東京ドーム公演後に実際に抱いた感情から、どのように物語を膨らませていったのでしょうか?
岩谷 わかりやすくダンスを題材にして、メジャーシーンに進む蓮と、ストリートで活躍する大和の2人を描こうと決めました。どちらが良い・悪いとは絶対にしたくなかったので、2人ともに山あり谷ありの人生を用意して、時間をかけて構築していったら自然とこういうキャラクターになりました。
■2人の人生を描くことは最初から決めていたんですか?
岩谷 はい。僕が昔からメモ程度に書き留めていた話のタネがあって。たとえば、ストリートダンサーが、渋谷の大きな広告に昔一緒に踊っていた人を見つけたら、どう思うんだろうということでした。そんなダンス作品を書けたらいいなと思っていたんです。東京ドーム公演を終えて僕が感じたことが蓮に、以前から書きたかったストリート側の視点が大和にうまくハマったので、ダンスを題材に2つの異なる人生を描いてみようと思いました。

■東京ドームのあとに感じたご自身のことを書こうと思っていたわけではなかったんですね。
岩谷 はい、全く。最初はダンスではなく、家族の話を書こうと思っていました。でも光と影のようなものを描こうとしたとき、自分のフィールドが一番説得力があって筆も乗ったので、今回はダンスを題材にしました。
■逆にご自身のフィールドだからこそ難しかったことはなかったですか? たとえば、読者からすると蓮と岩谷さんを勝手に重ね合わせて「こういうふうに思っているのかな」と思ってしまうみたいなこともあります。
岩谷 フィクションなので、そこまでプレッシャーには感じなかったです。いいバランスを保ちながら書けたなと思っています。
文字ごと踊らせたい。20年以上踊ってきたからこそ出せるリアリティのある表現。

■本書は岩谷さんにとって2作目となりますが、作家として、前作から成長したと感じるのはどんなところですか?
岩谷 成長したかどうかは自分ではまったくわからないんですが……ただ今回はダンスがテーマなので、リズムや身体表現の面で、文字そのものが踊っているように書くことは意識しました。
■読んでいて、情景や動きがとても想像しやすかったです。
岩谷 ダンスの話を書くにあたって、技やステップの名前を連呼するのは嫌だったんです。ダンスを説明するのではなく、リズムを軸にして文字ごと踊らせたいと思っていました。

■職業柄、私もライブレポートなどで目にしたステージを文字にすることが多いのですが、毎回難しくて。ダンスを文字で表現するコツはあるのでしょうか?
岩谷 今回描いたステージからの景色は、僕が普段から見ているものなんです。たとえば銀テープが逆さに降る様子が流れ星みたいに見えたり、音に入り込んでいく感覚だったり。そういう描写は、20年以上踊ってきたからこそ出せるリアリティだと思います。そこは僕の個性なので、自信を持って届けられると思いました。
■ダンスの描写についてもう少し伺いたいのですが、普段からダンスを言語化しているのでしょうか? それとも本作のために、改めて音や動きを見つめ直したのでしょうか?
岩谷 ダンサーは振り付けを考えたり覚えたりするとき、ベース、ドラム、ボーカル……と音楽を一つひとつの音に分解して聴くんです。普段はそれを意識せずにやっています。文字で表現するのは、肌感覚でさらっとやっていたことを言葉にすることなんだと気づいて、改めて向き合ってみました。
夢を叶えることは人生のゴールじゃなくて、その先にも人生は続いていく。


■ダンスをテーマにした小説を書き上げたことは、作家としての今後にどのような影響がありそうですか?
岩谷 ダンスと文学って、一番かけ離れたものだと思うんです。ダンスは言葉を使わず、身体表現だけ。文学は言葉だけで、身体表現はゼロ。その一番遠いところにあるものに挑戦したことで、作家としてまた一つ成長させてもらえたと思います。
■ではパフォーマーとしては、ダンスをテーマにした小説を書き上げたことは、どのような影響がありそうですか?
岩谷 スッキリしました。
■スッキリ?
岩谷 はい。「一人分の夜を生き直す」というタイトルも自然と出てきた言葉なんです。本文で言うと最後から2行目、本当に最後の最後にポンと出てきて。「自分が本当に書きたかったのはこういうことなんだろうな」と、逆に自分の言葉に背中を押された感覚でした。
■書いたことでご自身の気持ちに気づけたんですね。ダンスと向き合うことで、初心を取り戻すようなこともありましたか?
岩谷 ありました。ただ、ダンスというより“夢”と向き合うことのほうが多かったかな。夢を叶えることは人生のゴールじゃなくて、その先にも人生は続いていく。どれだけ華やかに見える世界にも、すべてを手にしているように見える人にも、その人にしかわからない悩みがある。それは書きながら僕自身も学びました。それこそ、誰もが“一人分の夜を生き直さなきゃいけない”。何かを抱えたまま夜を過ごしても、朝は来るし、お腹は空くし、仕事にも学校にも行かなきゃいけない。それはステージに立つ人に限らず、みんなそうですよね。だからこの作品を通して「一人じゃないよ」と伝えたいです。“一人分”とは言っていますが、その一人分が80億通りある、という感覚です。
この作品はフィクション。でも、自分の未来が想像できない分、書くうえでは迷いが生まれた。

■先ほど「夢を叶えることは人生のゴールじゃなくて、その先にも人生は続いていく」とおっしゃっていましたが、それは書いているうちに具体的になっていったのでしょうか?
岩谷 そうなんです。最初はもっと明るい青春小説になるかなと思っていたんですけど、途中から登場人物が動き出して。人は成長するだけじゃなく、後悔や失ったものも抱えている。それを無理に忘れるのではなく、抱えたまま日常を生きていくことが大切なんだと。そんな蓮の姿に、読者の皆さんにも自分を重ねてもらえたらうれしいです。
■作家さんがよく「キャラクターが動き出す」と言いますが、本当にそうなんですね!
岩谷 そうなんです。そこまで行くのが大変なのですが。

■今回は早い段階でキャラクターが動き出したんですか?
岩谷 大和は、動き出したというより、書きたいことが明確すぎて大きなブレがなかったですね。一方で蓮は、僕の仕事に近い部分があって。僕自身、明日どうなっているかなんてわからないので、その感覚が蓮にも地続きで重なってしまって。蓮がこの先どうなっていくのか、正直わからなかったんです。
■蓮の未来は、岩谷さんご自身もまだ経験していない未来ですもんね。
岩谷 そうなんですよ。この作品はフィクションですし、蓮は僕自身ではありません。でも、自分の未来が想像できない分、書くうえでは迷いが生まれました。
■蓮のほうが岩谷さんに近い分、描きやすいのかと思っていましたが、近いからこそ見えないんですね。
岩谷 はい。蓮のパートはめちゃくちゃ改稿しました。
■大和のパートについても伺います。作中で大和が主催するダンスイベント「ダンフリ」は、実在のイベント「ダンホリ」(DANCE HOLIC)から着想を得たそうですね。ダンホリの関係者に話を聞いたり、作中に何度も登場するCLUB HARLEMに足を運んだりと、取材もされたのでしょうか?
岩谷 しました。HARLEMは普段から見ている景色ではあるんですけど、わざわざ意識して行くことってないじゃないですか。だから改めて行ってみたり、ダンホリのオーガナイザーに話を聞いたり。そのなかで、ダンスシーンでリアルに生きていくとはどういうことなのかを改めて知ることができました。それを大和を通して作品に入れ込めたのも、満足している点の一つです。
30歳のうちに3作目が書けたらいいな

■そうして完成した1冊ですが、THE RAMPAGEのメンバーやLDHの方で、ぜひ読んでもらいたいのはどなたですか?
岩谷 誰だろう……。昔、EXILEのATSUSHIさんが「一個人のATSUSHIはEXILE ATSUSHIに勝てっこないんだ」というようなことをおっしゃっているインタビューを拝見したんです。当時の僕は子供だったので、あまりピンときていなかったんですが、今になって身に沁みるというか。もちろん100分の1くらいしかわかっていないと思いますが、ほんの一端は理解できる。その感覚がこの作品の随所に散りばめられているので、ATSUSHIさんに渡せたらうれしいです。
■パフォーマーの方だといかがでしょうか?
岩谷 今回取材に協力してくださったのが、三代目J SOUL BROTHERS のELLYさんの元チームメイトの方でした。当時の渋谷のダンスシーンで最先端を走っていたのもELLYさんたちだったので、そういう方々にも読んでもらえたらうれしいです。

■完成させたばかりで恐縮ですが、次作のイメージもあれば教えてください。
岩谷 30歳のうちに3作目が書けたらいいなとは思っています。アイデアもたくさんあるので。
■想像していたより早いスケジュールで驚きました。THE RAMPAGEとしての活動もあるなかで、そんなに短いスパンで小説を書けるものなんですか?
岩谷 大変ではあるんですが、今回に関してはTHE RAMPAGEが忙しければ忙しいほど蓮の気持ちがよく理解できて。「あ、こういうことか」と落とし込めたので、むしろ良かったです。
■完成した「一人分の夜を生き直す」、どんな人に届いてほしいですか?
岩谷 誰にでも、楽しい夜もあれば悩みが尽きない夜もあります。それでもみんなその夜を抱えながら、朝が来て、ご飯を食べて、仕事に行って……と日常を続けている。悩みに大小はあっても、尽きないのはみんな同じです。だから、越えられそうにない夜を過ごしている人の背中を、このタイトルのように優しく押せたらいいなと思っています。今回はダンスが題材ですが、描いている心はダンスに限らないと思うんです。「このときの蓮の気持ちがわかる」「大和の気持ちがわかる」と、読み進めるうちに共感するポイントが変わってもいい。ぜひ読んでいただいて、あなたの“一人分の夜”も教えてもらえたらうれしいです。
心揺さぶられた台北の夜景

■サイト名のEmo!miu(エモミュー)にちなんで、最近心を揺さぶられたことを教えてください。
岩谷 先日THE RAMPAGEのライブで台北に行ったとき、九份にも足を運びました。2回目なんですけど、前回は昼間だったので、あのランタンが灯る夜の景色をどうしても見てみたくて。今回やっと夜に行けて、圧倒されました。
■THE RAMPAGEメンバーと行かれたのでしょうか?
岩谷 はい。龍とまこっちゃん(長谷川慎)、翔平(浦川翔平)とLIKIYAさんと行きました。
■そのほかに行ってみたい場所や、見てみたい景色などはありますか?
岩谷 たくさんあります。エジプトでピラミッドも見てみたいし。あとは、日本の歴史をちゃんと知りたいなと思っていて。奈良の東大寺がどうして建てられたのかとかを、ちゃんと資料を読んでから実際に足を運んでみたいなと思っています。
■歴史的建造物にもいろいろなドラマやストーリーがありそうですね。
岩谷 そう。いつかそういうのも作品に落とし込めたらなとは思います。

■最後に。『一人分の夜を生き直す』のなかで、踊った後に食べたいものが登場しますが、岩谷さんが小説を書き上げた後にご褒美的にすることがあれば教えてください。
岩谷 お酒(笑)。ビールを流し込みます。
■今作を書き上げたあとのビールもおいしかったですか?
岩谷 格別でした。日々のビールもおいしいんですが、書き上げたあとに飲むビールは特においしいですね。まぁ、書き上げていないときに飲むビールも悔しいことにおいしかったですが(笑)。
■ありがとうございました!
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岩谷翔吾(THE RAMPAGE)
1997年3月11日生まれ。大阪府出身。
2017年、THE RAMPAGEのパフォーマーとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。ダンス以外にも活動の場を広げ、俳優としてドラマや舞台への出演、朗読劇の脚本や演出、読書情報誌「青春と読書」での連載など、多方面で活躍中。また、読書だけではなく、日本将棋連盟三段や、実用マナー検定準1級の資格を取得するなど趣味が多いことで知られる。2024年10月に、初の書き下ろし小説『選択』(原案・横浜流星/幻冬舎)で作家デビューを果たす。
[Instagram] @shogo_iwaya_official
[X]@RMPG_ShogoIwaya
Hair&Make-up:上野綾子、Styling:shuhei
[衣装クレジット]
Jacket: vintage 80’s Giorgio Armani stripe double breasted tailored jacket ¥24,500 +tax/NOILL、Shirt: vintage euro metalic stripe shirt ¥12,500+tax/NOILL、Pants: vintage wide flare trousers ¥26,800+tax/NOILL、Shoes: Go Go Darlin’× kids love gate dress shoes ¥59,800+tax/Go Go Darlin×kids love gate、Necklace: Marland Backus Blossom Bolo ¥27,800+tax/Marland Backus
Photo:Tomohiro Inazawa、Text:小林千絵
―INFORMATION―

【小説『一人分の夜を生き直す』】
価格:1,760円(税込)
仕様:四六判上製/160ページ
発売日:2026年11月5日(木)
版元:幻冬舎
[幻冬舎HP]https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344046108/
[Amazon]www.amazon.co.jp/dp/4344046102


























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