【上杉柊平インタビュー】「明日は休みだっていう前日の夜、帰ってる途中から幸せ」普段、幸せでいるための秘訣とは?<ドラマ「ミス・ターゲット」>
2024.6.1
俳優・上杉柊平さんがEmo!miuに久しぶりに登場です!
話題作への出演が続いている上杉さんが今回、出演するのはドラマ「ミス・ターゲット」。百戦錬磨の女性結婚詐欺師が、突然足を洗って本気の婚活に乗り出す!?エンタメラブストーリーとなっています。
結婚詐欺師・朝倉すみれ役を松本まりかさん。そんなすみれが出会うのが和菓子を愛し、小さな幸せを大事にする村松宗春役を上杉さんが演じます。
ドラマの見どころ、魅力をたっぷりと語っていただいたほか、上杉さんの「小さな幸せ」についてもお聞きしました♡
障害をどう乗り越えていくのかが見どころ
■さまざまな要素が詰まっている本作ですが、脚本を読まれたときの印象はいかがでしたか?
上杉 物語を進めるために必要なシーンはどの作品にもあると思うんですけど、そういうシーンがナチュラルに会話劇の中で組み込まれていて。自然と物語が進行していく、テンポのいい台本だな、と思ったのが第一印象ですね。
■物語の序盤を振り返ってみていかがですか?
上杉 ある程度、キャラクターを見せていく必要がありますし、序盤は話の大筋である宗春とすみれさんが惹かれ合っていくさまの種まきのところですね。純粋にしがらみなく、2人が惹かれていく様子がやっぱりおもしろいところです。
お互い、30歳を超えている役なんですけど、それまで自分が持っていた考え方がたったひとりの人に出会うことで変わっていきます。
話を重ねるごとに周りが動き出して、環境が変わっていくことで翻弄されていく2人の姿がおもしろい部分かな、と思います。
■2話まででも、先が早く観たい! と思わせられる展開で。
上杉 よもぎを取りに行ったりしてね(笑)。まだそんな感じなんですよね。
2話、3話はお互いに「この感情はなんだろう?」って惹かれ合っていくところがおもしろい部分ですし、それがだんだん相手に対する想いは強くなっているんですけど、簡単にいかないことがどんどん増えて行って……3話から最終話までの間にあと三転、四転します。
■楽しみです!
上杉 それぐらいいろんなことが起きます。1話の冒頭にちょっと不思議なシーンもあるんですけど、それもどんなことなのかどんどん明らかになっていきますし、あれがピークじゃないっていうのがおもしろいところかな。ふたりが障害をどう乗り越えていくのかが見どころかな、と思います。
宗春は表現するのが難しい人
■上杉さんが演じていらっしゃる宗春についてはいかがですか?
上杉 今までに演じたことのないキャラクターでもありますし、多分、現実にあまり存在し得ないようなキャラクターだと思っています。
台本を読んでいて想像はできるし、イメージは湧くんですけど、実際に理解しようと思うとすごく難しい役ですね。今も撮影中なんですけど、ずっとそう感じながら向き合っています。
■現実に存在しえないような、というと?
上杉 和菓子を作るということ、和菓子をお客さんに提供していることが自分の幸せで、それ以上を特に求めていないのが宗春です。でも、普通に暮らしていたら、物質に囲まれているし、成果を求めるし、それ以上のものをほとんどの人が望んで生きていますし。それをモチベーションにがんばって生きていると思うんですよね。そうではない人間には、僕の周りでは会ったことがありませんし。宗春は「そういうふうになれたらいいよね」と思う理想の人間ではあると思うんですけど、なかなか到達できないところにいる人なのかな、と。計算してやっているわけではなく、素でそれが出てくるような人間を表現するのはすごく難しいですね。
休みの前日が幸せ!
■いま、「幸せ」というワードがありましたが、作中では宗春さんが「小さな幸せ」を見つけているという話もあったんですけど、上杉さんご自身が「小さな幸せ」を感じるのはどういった瞬間ですか?
上杉 後から思えば「あれは幸せだった」ということはあるんですけど、そのときに「これ、幸せだな」って思うことはあんまりなくて。
確かに宗春が言うように、「あそこのご飯美味しかったな」というのも幸せだったなと思いますけど、食べているときは単純なもので、「うまい!」とか、「いい店見つけた」しか思ってないし。
逆にあんまり不幸せだと思うことがないです。だからこそ、幸せだと思うことも別にあんまりないのかもしれませんね。
でも、めちゃくちゃ仕事した後に、めちゃくちゃ寝れた日とかですかね。寝られる前の日は「サイッコーだわ!寝るわ!」みたいな。あれが最近は一番好きです(笑)。
明日は休みだっていう前日の夜は帰ってる途中から幸せ。家に向かう車の中で、「なにしよう、どうしよう、寝れなくなっちゃうけどコーヒー買っちゃお!」とか(笑)。そんな時間が一番幸せですね。
■遠足の前日みたいな(笑)。
上杉 ね。本当にワクワクしちゃう。何をするわけでもないんですけど。
■そういう幸せをより感じるために、日常で気をつけてることはありますか?
上杉 毎日を頑張ってることかな。
そうじゃないと、やっぱり幸せって分からないじゃないですか。しんどい状況をちゃんとやるにはやってます。いや、投げ出してどこか行けないから、やるしかないんですけど(笑)。しんどいこともちゃんと向き合っていますね。あまり適当にはやりません。その方が解放されたときはでかいかなって気がします。
しんどいことはもう仕方ないんだから、もっと気楽にやったらいいのに、っていうのもわかりますし、それができるんだったらそっちの方がいいと思うんです。でも、わりとそれができないので、向き合って苦しい方向にいっちゃうんですよね。
■その結果が休みの前日の幸せにつながってくるわけですもんね。
上杉 そうですね。あと1週間で終わるって思ったときはカウントダウンでしかないですから。つらいときは1ヶ月だってカウントダウンですよ。あと29日、あと28日、27日……。
■刻みますね!(笑)
上杉 あと1日! よっしゃあ!ってね(笑)。
でもそれだと、苦しい時間が長すぎて、寿命が縮みそうだな、って気はします。だから、ちょっと考え直さなきゃな、とは思うんですけど。
宗春はファンタジーみたいな人
■そう考えると宗春さんの姿勢ってすごいですよね。
上杉 だから無理なんですよ。宗春みたいな人がいないんです、本当に。
だから、結構ファンタジーだなと思っていて。みんな「宗春みたいになれたらいいよね」って憧れると思うんですけど、宗春みたいな人を実際やろうと思ったら、山奥で自給自足するしかないんですよ。ごはんはあるし太陽も輝いていて、今日も寝るところがある。幸せ!っていうのは、今の貨幣社会から離れないとやれないこと。ヒッピーになるか、畑を持つかみたいな、どっちかになる気がします。
■そう考えると、すみれさんの設定もそうですけどファンタジーみたいな感じが……。?
上杉 みんな、すみれさんだと思いますよ。「もっと欲しい」だし、「もっとこうなりたい」だし、観る人のほとんどがすみれさんなんだと思うんですけど、そこに結婚詐欺という犯罪行為がついちゃってるから、すみれさんは間違ってるって思って観ると思います。
■確かに……!?
上杉 冷静に考えたら、「あなたも僕もすみれさんですよね」と僕は思っています。
■ある種問いかけですよね。
上杉 どこまでそれに気づくかはあれですけど、そうなんだろうなとは思います。
父親役の沢村一樹さんとのシーンは楽しい!
■現場のこともお聞きしたいです! よもぎ摘みのシーンも印象的ですが……。
上杉 あのシーンはですね、撮影時はまだよもぎが生えてない季節だったんですよね。そのときはまだ沖縄にしかなかったので、そこから大量に苗で運んできて、制作の装飾部になるのかな、そういう部署の方たちが朝早くからまるでよもぎが自生しているように植えてくれて。山の奥のほうで撮影しました。
すごく大変でした。陽の関係もあったりして早くしないと暮れちゃうだとか、結構急いだ中で、撮りましたね。
■共演者のみなさんとはいかがですか?
上杉 お父さん役の沢村一樹さんは以前にも何度か共演させていただいたことがあるんですけど、親子っていう密な関係で一緒にお芝居するのが初めてでした。素敵な方だということはもちろん分かっていましたし、普段お会いしても気さくでいらっしゃるんですけど、やっぱり目力がすごいですね。目でメッセージを伝えられる役者さんってすごいな、と思います。目だけで僕を制圧するときもあるし、引っ張ってくれるときもあるし。それこそ、台本上のセリフ以外の部分で「親子ってこんなこと言うよね」「こんなことは言わないよね」ということをよく相談してくださるんですけど、台本のセリフにない部分を目と声色ひとつで、空気を作られるんで、かっこいいなって思いますね。だから、親父とのシーンは楽しいです。
■結構刺激になる部分も多いんですね。
上杉 そうですね。勉強になることがたくさんありますね。
上杉柊平の結婚観は?
■松本さんとのシーンはいかがですか?
上杉 わりと真っすぐぶつかり合うようなシーンが多いので、変に小細工なしで、お互いもぶつかり合っている感じはしています。僕は特に、役柄的にも嘘がないので、しっかり向き合えているのかな、という気はしていますね。
■宗春さんとすみれさんのシーンは価値観のぶつかり合いもすごいな、と思うんですけど、本作のひとつのキーワードでもある「結婚」も価値観のすり合わせが大切そうですよね。
上杉 結婚となると毎日一緒に過ごすことになるのが一般的ですから、なおさらだと思いますけど、誰かと何かするってそういうことだよなって。結婚に限らず、結局はすべてその延長なのかな、とは思います。
■上杉さんご自身はどのような結婚観かお聞きしてもいいですか?
上杉 今のところはあんまり結婚願望がないですね。1人でいることが好きだし、自分が好きなタイミングで好きなことができるのがいい。やっぱり自分が一番大切なんでしょうね。あまり誰かとの幸せを自分の幸せ、とは考えられないので。
■想像で、結婚にはどんなことが大切だと思われますか?
上杉 干渉しすぎないことじゃないですか。
■確かに……。
上杉 干渉しすぎず、放っておくところは放っておくし、放っておかれたいところは放っておかれる、というのが、お互い良いバランスでいることなのかなと思います。結婚しなくても、お付き合いするにしても、何でも。
全部気にしてると疲れますし、ある程度、男女も違いますし。お互いに「干渉しない=思いやらない」じゃなくて、「干渉しない=思いやる」という意味での「干渉しない」なのかなという気はします。
心が固まってる!?
■最後に、最近心揺さぶられた出来事について教えてください。
上杉 うーん……(熟考)
心固まっているんですよ。カッチカチですわ。揺さぶられてない、つまんねぇな僕の人生…(笑)。
■何か些細なものでもいただけると嬉しいです!(笑)
上杉 ですよね!
あ!ひとつありました!
ティファニーの展示が今虎ノ門で行われていて、観にいったんですけど、ティファニーっていろんなトロフィー作っているんですよ。NBAのチャンピオントロフィーとかアメフトのトロフィーとか。その中に本物のオスカー像が飾られていて。触れないんですけど、あれはテンション上がりましたね! ウソでもいいから持たせてほしかった(笑)。
やっぱりあれは世界で評価された人しか触れられないものだから、見たときに「あ、すげえな」っていうのは思いました。
■素敵なお話、ありがとうございました!
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上杉柊平
1992年5月18日生まれ。東京都出身。
2015年にドラマ「ホテルコンシェルジュ」で俳優デビュー。主なドラマ出演作は、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16)、「砂の塔〜知りすぎた隣人〜」(16)、「ドクターX〜大門未知子〜」(18)、「24 JAPAN」(20)、ドラマスペシャル「神様のカルテ」(21)、「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(23)、「ワンルームエンジェル」(23)、「となりのナースエイド」(24)。主な映画出演作は、『A.I. love you アイラブユー』(16)、『一週間フレンズ。』(17)、『サヨナラまでの30分』(20)、『アンダードッグ』(20)、『シン・仮面ライダー』(23)、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』などがあり、第68回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で国際批評家連盟賞を受賞した『リバース・エッジ』(18)では猟奇的な演技を見せ話題を呼んだ。また、2024年公開の映画『ディア・ファミリー』と『八犬伝』も控えている。
―INFORMATION―
【ドラマ「ミス・ターゲット」】
ABCテレビ・テレビ朝日系にて毎週日曜 22:00~放送中
出演:松本まりか、上杉柊平、鈴木愛理、川西賢志郎、小槙まこ、田中真琴、後藤剛範、八嶋智人、筒井真理子、沢村一樹
脚本:政池洋佑
演出:植田尚 / 日暮謙 / 近藤幸子
音楽:富貴晴美
主題歌:家入レオ「ワルツ」
※放送終了後、TVer、ABEMAで見逃し配信
※U-NEXT、Prime Videoで配信