【水上恒司インタビュー】大活躍の2025年を振り返って「収穫はたくさんあった1年だった」<映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』>



映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』が12月5日より公開中です。

ケンカだけが取り柄の高校生・桜遥。不良の巣窟と言われている風鈴高校のてっぺんを取るためにやってきましたが、実は風鈴高校の生徒たちは町を守る存在「防風鈴」へと変貌を遂げていて……。戸惑いながらも、桜は防風鈴の想いに触れていくようになります。

Emo!miuでは桜を演じる水上恒司さんにインタビュー!
作品への熱い思いをお伺いしました。



幸せを見つけるきっかけの作品になってほしい



■作品の魅力はどういったところに感じましたか。

水上恒司 原作者であるにいさとるさんのある種の祈りのような、願いのような部分、本当の強さってケンカをしないこと、暴力を振るわないことだ、というメッセージ性を実写映画でも引き継いでいます。
世界情勢的にも戦争が起きてしまっていますし、歴史上もこれから先も争いというものがなくなるときは人間の性としてないんじゃないかな、と僕は思います。という中で、平和を求めないといけないという責任を同時に負っているんですよね。それを諦めてしまうと、大きく言えば、何千年とある人類の歴史を途絶えさせてしまうということになります。暴力とか、恐怖とか、力の強さというもので人を支配しようする人とは違う選択肢を選ぶということを人間はやり続けない。そんな中で、こういったファンタジーのようなケンカでヒーローになっていく、という……まあ警察呼べばいいよ、という話でもあるんですけど(笑)。
ある種の悪と見えるような。でも、決して一概に悪と言えるような、簡単なものではない「そちら側」の事情もちゃんと理由として描いている、ということが非常に今の時代に沿った令和らしいヤンキー漫画だな、という印象があります。



■主人公の桜はシンプルに拳でてっぺんを取りに行くという形ですが、桜に対する感情移入というのはいかがでしたか。

水上 拳でてっぺんを取るということに対して、やっぱりある程度、距離を取らないといけないと思いますね。僕がそれに対してベッタベタにくっついていくやり方で、この作品に臨んでしまうと、また違うというか。そういったことに対して、むしろ否定していくもうひとりの僕がいるからこそ、こういった作品をどういうふうにしたらおもしろく、観るに値する作品に成り得るか、と考えられると思います。
まあ、感情移入はしてないとは言え、この物語の本質である未熟なものが人との関わりの中で成熟していくという部分に対してはすごく共感しますね。人ってそういうふうに生きていかないといけないと思いますし、自分もそうやってもらっている以上、いつかは次の世代に渡さないといけません。きっと、梅宮も同じようなことをしてきたんだろうと思います。

これはネタバレになるかもしれないんですが、今回の映画の中では、桜は成長しきりません。僕の狙いとしては、人間ってそんなにすぐ変わらないだろう、っていうリアリティも追い求めていました。でも、その中で、「お前の中に変わる可能性が、種があるんだよ」ということはどんな人にも言えることだと思いますね。きっと見てくださる方々の中にも同じような境遇だったり、共感する部分、境遇は違うけれどわかる、って思う人がたくさんいらっしゃると思うんですが、桜と同じように自分の身の周りの幸せを掴みに行くんでじしゃなくて、幸せを見つけるきっかけの作品になってほしいですね。

「この人たちと仕事ができてよかったな」と思えることが良い仕事




■演じていく中で、桜とはどのように対峙されていったのですか?

水上 桜のみならず、どんな作品でも本番中の自分の芝居に常に「これでいいのかな」という問いかけはあるんですよ。
でも、今回は10歳下の役を演じるということで、かなり疑いの目を向け続けていました。でも、ある種それが迷いになっても良くない。
僕が15歳になるっていうのはもう無理なんですよね。距離感があったり、「青いな」と思う役者がやってるから、そういう人間がやるにあたって、じゃあ15歳をどう表現するのか。未熟さに対する葛藤とか、不快感、攻撃性みたいなものを僕が感じてそれを発散しようとするんです。その発散方法はダメなんだ、と言われる物語なんですけどね。最初は不快感から始まり、温かいものが本当は心地よいはずなのに、それすらも拒否したい、といったような未熟さを演じることを大事にしました。

■撮影に入る前に少し葛藤があったということなんですね。

水上 それはそうですね。先ほど、高校生のインタビュアーの方がいらしてくださったので、逆に質問してみたんです。「周りに拳でてっぺんを取りたくてケンカをしている男の子はいますか」、って聞いたらやっぱりいないって言ってるんですね。もちろん、彼女だけが世の中の声ではない、ということは分かった上なんですけど、今の時代に、相手を殴ったらどれぐらい痛いのか、骨と骨がぶつかったらどんな音がするのかとか、分かる未成年は少ないと思うんですよね。だからこそ、この作品がひとつのエンタメとして成立していると思うんです。相当、課題が山積みになると僕は予想していたので、そこの自分のすり合わせと折り合いと、僕にオファーをくださった方々の期待にどう応えられるのか、という意味で、すごく考えました。




■オファーを受けられたときは、迷いはあったんですか?

水上 どれだけいい脚本、いい役、いいバジェットがあって、どれだけいい役者たちと仕事ができたとしても、いい作品になるとは限らないんですね。じゃあ、なにを持っていい仕事だったな、と思えるかどうかは「この人たちと仕事ができてよかったな」ということ。それこそ泥船に乗ろうが、天国に行こうが、いい思いしようが悪い思いしようが、この人たちと一緒に最後まで行こうと思えるかどうかということが、このオファーをいただいたときにすごく大事な気がしたんですよ。今回、プロデューサーと監督の方々が非常に情熱を持って僕に対して思いを伝えてくださったので、この方々とお仕事したい、と思ったのが一番ですね。

■アクションシーンに臨む上での心構えや意識したポイントを教えてください。監督からのディレクションはなにかありましたか。

水上 今回、風を可視化するという大きな試みがあった中で、アフレコがあったんですね。その風を表現するのに大きな扇風機を回していたので、当然、音は録れないので。そのときに久しぶりに萩原(健太郎)監督の演出を受けたんですが、オファーを受ける前の時点からこの作品にどういった思いがあるかお伝えしていたので、ほぼほぼ同じ思いだったと思っているんですよ。なので、僕が「ん?」と思うような演出はありませんでしたね。むしろ同じ方向を見てたからこそ、「そうだよね」「こうですよね」みたいなやりとりのほうが印象に残っています。人間って悪いことのほうが印象に残っていたり、記憶に残っていたりするものですけど、それがなかったですね。

感受性を養い続けたい



■最近、心を揺り動かされたモノやコトについて教えてください。

水上 僕、車でよくラジオを聴くんですけど、駐車場に着いてもしばらくエンジンも切らずに、聞いていた投稿者の話があったんです。
発達障害がある子どもを持っていて、ある日、学校に呼び出されてほかの子どもたちとは違う、ということを言われた、と。それで病院に行くと、そういった診断がされて。その病院からの帰り道、普通の子どもたちはみんな学校に行っていて、自分の子供はいま昼なのに車の後ろですやすや眠っている。病院できっと疲れたんだろうな、って。病院でがんばったからお菓子をあげて、「がんばったね」って言ったら、「がんばった!」って言いながらお菓子をおいしそうに食べて。そして、今はすやすやと眠っている子どもを見て「ああ、私も普通の子どもを持ったらどんな生活だったんだろう。どんな人生だったんだろう。こんなことを思う私はダメなんでしょうか」というのを聴いて、すごく考えましたね。口が裂けても同情なんてできないですし、「わかるよ」なんて言葉をかけることでもない。すごく重い話で申し訳ないんですが、そのときはすごく心が動きましたね。

僕もいつか子どもは欲しいな、と思っていますが、そういった子どもを授かる可能性ももちろんあります。どれだけ健全な、五体満足な子どもが生まれたとしても、いまの充実した世の中になっているけれども、この世の中で果たして最後まで無事に寿命を全うしてもらえるか分かりません。そんな世の中なので、そういった話を聞いて、自分の周りの人間だけでも大事にしたいな、って思いましたね。

■今、お話を聞いてグッと来てしまいました。

水上 世の中いろいろな価値観があって、悩みがあって、それに対する共感の度合いも違って。でもそうやってマイノリティー、少数派かもしれないけれど、そういったいろんな人生を歩まれている方々がいます。僕は直接何かに貢献できるわけではないですけど、そういった、それこそ心が揺れる瞬間っていうのを常に迎えられるように、感受性みたいなものは養い続ける必要があるな、と思いましたね。

近くにいる人たちに、温かいものを与えたくなるような作品にしたい



■2025年は多くの作品に出演されましたが、振り返ってみていかがですか?

水上 自分の中で新しい指針だったり、いろんな物事に対するアプローチの仕方、方法がある、ということを考える年でした。それは答えが見つかっていないものも含め、新しいところに来たな、という感触はありますね。
今回の桜もそうですが、ハッピーなこと、楽しいことばっかりを演じるわけではありません。むしろ、ドロドロした部分をというものを役者がいかに抽出して、それを表現しきって、救いを求めている人たちに対して、勇気を与えられるようなことをしないといけないからこそ、そういったものを僕は知っておかないといけないと思うんです。それはすごく辛いですし、苦しいですね。普通、人間はそういったものから逃げるようにできているはずですから。何か…何かあるんじゃないかと思いながら生きるのって本当に変態だな、と思うんですけど、そういう意味で、収穫はたくさんあった1年だったかなあ、と思います。自分の中で表現が広がった気がします。

■平成に若者だった人も、令和の若者もたくさん観る作品だと思います。最後に、この作品を通じて、伝えたいメッセージを教えてください。

水上 悩めってことですかね。悩んで、人を信じる力、自分を信じる力、愛を受け入れる力、そして愛を与える力というものが大事なんだな、ということを、心の奥深く、言語化できないレベルでいいので、観てくださった方々が家族だったり、友だち、会社の同僚でもいいです。近くにいる人たちに対して、何かしら温かいものを与えたくなるような作品にしたくて制作を進めてきたので、そこがメッセージですかね。

■ありがとうございました!





【Message Movie】
coming soon…





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―PROFILE―




水上恒司
1999年5月12日生まれ。福岡県出身。

主な映画出演作は『弥生、三月-君を愛した30年-』(20)、『望み』(20)、『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』(20)、『新解釈・三国志』(20)、『そして、バトンは渡された』(21)、『死刑にいたる病』(22)、『OUT』(23)、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)、『八犬伝』(24)、『本心』(24)、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』(25/声の出演)、『九龍ジェネリックロマンス』(25)、『火喰鳥を、喰う』(25)などがある。
TVドラマ出演作に「中学聖日記」(18/TBS)、「MIU404」(20/TBS)、「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(21/NTV)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、「真夏のシンデレラ」(23/CX)、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」(23)、「ブルーモーメント」(24)、「シナントロープ」(25)などがある。

[Instagram] @koshi_mizukami_official


【STAFF CREDIT】
Photo:須田卓馬、Text:ふくだりょうこ


―INFORMATION―
映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
原作:にいさとる『WIND BREAKER』(講談社「マガジンポケット」連載)
出演:水上恒司、木戸大聖、八木莉可子、綱啓永、JUNON(BE:FIRST)、中沢元紀、曽田陵介、萩原護、髙橋里恩、山下幸輝、濱尾ノリタカ、上杉柊平
監督:萩原健太郎
脚本:政池洋佑
音楽:Yaffle,桜木力丸
主題歌:BE:FIRST「Stay Strong」(B-ME)
配給:ワーナー・ブラザース映画

[HP] https://wwws.warnerbros.co.jp/wb-movie/

©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会

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