超特急・全国4都市8公演にのぼるツアーのファイナル公演をグループ史上最大キャパとなるさいたまスーパーアリーナスタジアムモードで開催!



今年6月より全国4都市8公演にのぼるアリーナツアー『EVE』を行っていたダンス&ボーカルグループの超特急が、そのツアーファイナルを8月7日〜8月8日にさいたまスーパーアリーナで開催した。2018年にも同会場でワンマンライブを行っている彼らだが、スタジアムモードでの開催は今回が初。おまけに千秋楽の8月8日は毎年ファンである“8号車の日”としてライブを行っている記念日だけあり、グループ史上最大キャパシティとなった会場には2日間で6万人の8号車(超特急ファンの呼称)が詰めかけた。メドレーやユニットパフォーマンスも交えながら、結成当初の曲からオリコンチャートで1位を獲得した最新EP『Why don’t you 超特急?』の収録曲まで、全35曲(8月8日は36曲)約3時間に及ぶフルボリュームの多彩すぎるステージで『EVE』というワードが彷彿させるお祭り騒ぎを展開。また、総合演出を務めるユーキの構想のもと『EVE』という言葉の語源にある“生きる”という意味合いから、超特急の生き様と、何度倒れても立ち上がり、生まれ変わる不屈の精神を「あきらめなければ夢は必ず叶う!」と叩きつけ、総動員数10万人にのぼるツアーを締めくくった。



これまで超特急が立ってきたアリーナ会場とは明らかに規模の異なるホール空間に、見渡すかぎりペンライトの光が灯るなか、客電が落ちると黒衣をまとって風、砂漠、雨、海、大地、雷、森といった大自然にたたずむメンバー1人ひとりをフィーチャーしたオープニング映像が流れる。そして画面上に全員が並び立ち、こちらに向かって歩いてくると、ステージ上でリフトアップしていく台形LEDの中から9人が現れ、新曲「EVE」で壮大にライブを幕開けた。巨大LEDに映し出されるデコラティブなモチーフを背に贈られるリリックとダンスは、これまでの歩みと今の想いを表したもの。夢見た色と違ってもいい、どこまで行けるかわからなくても駆け出していこう、喜びの花を咲かせようと、ダンサー7人はスケール感たっぷりに力強く踊り、タカシ&シューヤは天へと突き抜けるようなボーカルは願いを込めて歌い上げていく。ツアータイトルである『EVE』の語源となったヘブライ語には“生きる”という意味があり、つまり、この曲で“咲き誇れ”と祈りを込めて歌われる“希望のEVE”とは希望に満ちた命であり、人生そのもの。ブレイクで水滴を落としたような音とマサヒロの仕草が入るのも、水とは命の源だからなのだろう。



神秘的なオープニングを引き継いで、脈動する“生”の息吹を感じさせたのが「Steal a Kiss」。スパークラーの火花が14本も噴き上がるなか、3万人の視線と揺れるペンライトの光を堂々と受け止め、9人は艶めいた表情で8号車を誘惑していく。キスを求めるサビの振りはもちろん、曲中「こっち向けよ」とアロハが、「素直になれよ」とタクヤが曲中の決め台詞をニヤリと口にして場内に悲鳴を呼べば、リョウガは色っぽく首筋をなぞり、カイは余裕たっぷりに人差し指を立ててウインク。ユーキに至っては「好きなんだろ?」という台詞を「好きすぎてたまらねぇ」(7日)、「好きだよ、バーカ」(8日)と言い替えて大歓声を巻き起こした。続く「Re-Booster」では、まず2号車カイ、3号車リョウガ、4号車タクヤ、5号車ユーキの“1桁号車”と呼ばれる初期メンバー5人がメインステージに。2番では3年前の8月8日に加入した11号車シューヤ、12号車マサヒロ、13号車アロハ、14号車ハルの“2桁号車”が、入れ替わりでアリーナに突き出したセンターステージに現れ、それぞれダンサー陣が攻撃的なラップを放っていく。ラップでアクロバットを決めたタクヤは狂おしくウインクも決め、ハルもカメラ越しに8号車を挑発し、マサヒロとアロハは向き合って腰を揺らしたりと、艶っぽい仕草でも8号車を釘付けに。2組が合流してからユーキはバク宙まで繰り出し、そこからカイが手招きしての「Kura☆Kura」でも、センターステージで縦のラインを作って迫力あるフォーメーションを展開する。ここでポップ&コミカルに空気を一変させたのは「What’s up!」。応援団風の振りに合わせてペンライトを前に上に横にと振りたくる8号車は、大音量で「Hey!」とコールをあげて、さっそく熱い一体感を作り上げる。間奏ではメンバーが一言ずつ挨拶し、埼玉出身のシューヤが7日に「地元来たぜ!最高!」とブチ上げれば、翌日ユーキは「8号車の日、おめでとう!」と8号車に呼びかけた。ちなみに「Kura☆Kura」と「What’s up!」の2曲は、現体制の9人でステージ披露されるのは今回が初。9人体制となって以降、ライブでは初登場となる楽曲がふだんにメニューに盛り込まれていたのも『EVE』ツアーの大きな特徴で、それはすなわち眠っていた楽曲に命を与える行為でもある。



序盤ではアグレッシブかつ煽情的な“最新型の超特急”で多彩に魅せる場面が続き、「What’s up!」の終わりにメインステージにダッシュしてからは、荘厳なインタールードを挟んで「LessonⅡ」が艶めかしい夜の世界へ8号車をエスコート。巨大LEDには神殿のような風景が広がり、まるで人の魂のような光がそこに集まると、“重なリズムI love you”という歌詞に合わせて9人が重なり合う振りやペアダンス、フロアダンスも交え、果てはタクヤがバサリとジャケットを肩からずらして大歓声を巻き起こす。さらに、天井のカメラが真上から端正なフォーメーションを映し出すダンスブリッジからタクヤが大きく蹴りを繰り出し、背後から足元まで張り巡らされた全面LEDに炎が燃えさかるなかで「Caed Mile Failte」を情熱的にパフォーマンス。アイリッシュポルカをベースに、酒場の男たちが目に浮かぶような威勢の良いダンスで場内を圧倒するが、“アッカンベー”や“アップップ”といった歌詞ではリョウガやカイが可愛い顔を見せるギャップも彼ららしい。対照的に「Feel the light」では、暗がりの中でメンバーそれぞれが手にした光の球を操り、幻想的な物語を創造。光と闇の交錯を描いた歌詞の通り、球の光は時に消え、時に灯り、ひたすらに光を求めるダンサーたちは時に激情を露わにしながら想いを乗せて舞う。歪んだパワーボーカルから繊細なハイトーンまで、フェイクも交えて自在に操るツインボーカルに、豪気なステップから揺らめく舞踊へと転換するダンス。「Caed Mile Failte」とはまるで異なる見せ方で今の超特急が持つスキルのふり幅をいかんなく見せつけていくが、最後は壇上に1人立って光へと手を伸ばしたユーキが、ステージ裏へと落下して姿を消すという衝撃的なエンディングに。しかし物語は映像へと続いていき、水中に沈んでいった黒衣のユーキが真っ白な空間で目覚めると、彼を囲んでいたメンバー8人はバラバラに立ち去ってしまう。そして、これこそが物語の始まりであったのだ。



ここから真っ白な衣装に着替えた9人はメインステージにせり上がり、2011年の初ライブでお披露目された超特急の始まりの曲「No More Cry」をドロップ。切なさ漂わせるアッパーチューンで、皆、どことなく厳かなムードを漂わせながら踊り、以降、愛され続けてきた初期のシングル曲が立て続けに登場する。靴音に柱時計が時を告げ、イントロが始まるなり客席が沸いたのは、現体制でのパフォーマンスは今ツアーが初となる「Bloody Night」。ヴァンパイアをモチーフにした2013年の曲に8号車のコールもバッチリだが、タカシのロングトーンは当時に比べて格段の進化を遂げている。マントを羽織ったリョウガが「ずっと…ずっと君だけを」と胸に手を当てつぶやいて大歓声を巻き起こし、「最高の声、聞かせて!」(ユーキ)と「Kiss Me Baby」へ。12年前のリリース時から途切れず8号車の胸を高鳴らせてきた熱いラブソングでも、曲中「Kiss Me Baby!」と超特急のダンスを引っ張るユーキとマサヒロが魅惑の微笑みを浮かべて表す。また、アロハが「ここからは、みなさんと俺たちでイッキを起こしたいと思います」と号令をかけた和風チューン「ikki!!!!!i!!」(2014年)も現体制初披露。センターステージに乗り込み、9人がそれぞれイメージカラーの扇を振れば、アロハとハルは歌舞伎風の所作も見せ、客席中からは“hey hey hey hey!”と凄まじいコールが返った。さらに「Believe×Believe」(2014年)でもカイの「せーの!」の号令で、曲センターのリョウガを表す“ガリガリ!”の大コールが起こり、9人は白目を剝いて震えるおなじみのビリビリダンスで全力アピール。ポップなモチーフと8号車のコールで超特急の礎を築いてきたナンバーを時系列順に並べて、改めて超特急の歴史を振り返っていく。それは同時に8号車が入れるコールの変化と進化も明らかにして、8号車も超特急と共に成長していること、間違いなく超特急の一員であることを証明していた。



ここで最初のMCが入り、初日の7日はグループ史上最大の会場に「でけぇな!」とカイが漏らせば、タクヤが「ペンライトが綺麗すぎてカメラがわからん!」と幸せな困り事を告白する場面も。また、ツアーファイナルへの気合入れとして、髪色を変えたメンバーも多く、アロハは黒、カイはネイビーに。中でも想定外の赤髪にしたタカシは、オープニングから8号車をどよめかせていた。翌日8日は、まず「8号車の日、おめでとう!」と客席を祝ってから、この景色を活かせないかと時計回りでウエーブを8号車にリクエスト。光が象る美しい円型に「すごい!」「綺麗すぎる!」とメンバーも沸き立つ。また、前日のMCでさいたまスーパーアリーナの略称は“たまアリ”か“さいスパ”か?という議論が勃発していたことを受け、ユーキから「会場の正式略称は“さいアリ”です! 会場のお偉い方が言ってました!」と報告して8号車を驚かせた。ハルの「楽しむ準備できてるか!」という号令でライブに戻り、3組に分かれてのユニットパフォーマンス以降は、超特急の多彩な武器が次々にふるわれていく。まずは、水音とLED上で降りしきる雨から始まったのが「霖雨」。左右のお立ち台で歌うタカシとシューヤの間に、白衣のタクヤと黒衣のユーキがせり上がり、まるで天使と悪魔のように絡みながら、愛しい人を希う切ない物語を、感情豊かに流れるようなダンスで表していく。ちなみにボーカル組もタカシが白、シューヤが黒と衣装の色が分かれており、黒ペアと白ペアで掛け合うように交互に歌い踊る場面も。また、ステージに仰向けになったシーンでは、その体勢のまま通常と変わらぬ声量を響かせるツインボーカルでも観る者の度肝を抜いた。




美しい空気をブチ壊すように、突如、アリーナ客席にはサングラス姿のアロハ、革グローブをはめたマサヒロ、メガネをかけたカイが登場。普段とは違うワイルドな装いで「Turn up」のマイクを握り、客席通路を堂々と練り歩く。センターステージに到着してからは、どれだけ挫折し打ちのめされても這い上がってきた己と、夢見たあの場所へのリアルな願いを熱のこもったラップで発射。カイは“8号車、Are you ready?連れて行くぜ……D・O・M・E!”と力強く宣言し、上昇するステージから「まだまだこんなもんじゃねぇよな!?」(アロハ)、「3万人の声、聞かせて見ろ!」(マサヒロ)と煽り立てれば、満場のペンライトが振られた。  



はかなさ、激しさと両極の表現の次に提示された超特急の顔はコミカル。メインステージにシックなシャケットスタイルのリョウガとハルがせり上がり、スタンドマイクで「STYLE」を生歌唱すると、普段はダンサーに専念している2人の見事な歌声を聞かせる。そこからLEDに雪が舞う中で「Snow break」に続き、ボーカルの座を2人で奪い合う茶番が今ツアーの恒例となっていたが、8日の千秋楽では2人で仲良くユニゾンして場内は大喝采。しかし、曲終わりに雪の中に2人崩れ落ちれば、なんとタカシが決め顔で登場して場をかっさらい、ハルは「アーッッッ!!」と悔しそうに雄叫びをあげる。そして「8号車のみんな、愛してるぜ!」(タクヤ)と、EP『Why don’t you 超特急?』のリード曲でもある正統派の甘いラブソング「キャラメルハート」へとなだれ込み、指ハートやウインクも交えて8号車を蕩けさせていった。さらに、キュートな振り付けで話題となった「My Buddy」で「さいアリ!」「8号車!」とコールを入れながらセンターステージへと進めば、場内で揺れるペンライトが “イロトリドリ光る いのちの瞬き”という歌詞を視覚で再現。超特急のライブにおけるペンライトの光は8号車1人ひとりの存在を示しているものなのだと実感させ、ステージに上がったカメラはメンバーの命の証である笑顔を生々しく捉えていく。そこからなだれ込んだ「Jesus」も、新体制のライブでは今ツアーが初お目見え。にもかかわらず、客席からは絶妙のタイミングでコールが湧き、超特急と8号車の絆の強さを感じさせた。



ここでLEDにはユーキ、シューヤ、ハルは車の修理工、タクヤとタカシはサラリーマン、リョウガは喫茶店のマスター、カイ、マサヒロ、アロハは道路工事現場の誘導係として働くドラマが。それぞれが理不尽な状況や報われない日々、仕事の辛さに苦悩しながらも、互いに助け合い、なんとか乗り越えて「いつか絶対一緒に音楽をやろう」と約束する。彼らは別次元に存在する超特急の“if”であり、バラバラになった9人の魂が転生した姿なのかもしれない――そう思わせたところで、「a kind of love」からライブも後半戦へ。超特急が大きなターニングポイントを迎えたとき、隣にいる“君”への感謝をあらためて歌った温かいナンバーが示すのは、1つひとつの出会いへの感謝だ。それを考えると、ユーキが最も付き合いの長いリョウガに抱きついたアクションも熱い。また、タカシとシューヤのボーカル2人だけが残った「EBiDAY EBiNAI」では、ピアノとストリングスをメインにアレンジされたトラックに乗せ、ため息つく毎日でも新しい扉を開けに行こうと歌い上げる。伸びやかな歌声で丁寧にメロディを辿るタカシに、ハイトーンでフェイクやロングトーンを響きわたらせるシューヤのツインボーカルは、シューヤ加入からの3年で自由度と完成度を増し、エモーショナルなパフォーマンスには大きな拍手が贈られた。さらに2人が歌うステージに1人ずつダンサーが加わって、心温まるテンポに乗せて“あきらめない”という超特急のポリシーを綴っていったのは「君と、奏で」。シューヤが「みんなの声、聞かせて!」と呼びかけると、場内には“lalala…”の大合唱が広がり、共に手を大きく振って歌う“everything will be alright”のメッセージが8号車の心を励ましていく。このブロックの3曲に共通するのは“君”に対する歌であり、思い通りにいかない現実を受け止めながらも、それでも希望を捨てないという超特急自身の生き様だ。

それを証明するように再び映し出されたドラマでは、先ほどの9人が居酒屋に集い、談笑する場面が。「みんなそれぞれの場所でもいろんなことと戦ってるんだね」(タクヤ)、「離れ離れでも、みんながいたから頑張れたんだなぁって」(アロハ)、「ミスったぶんだけ、笑い話ができるって感じかな」(カイ)、「ここからだな。マジで」(ユーキ)といった台詞は、超特急自身の歴史と今に重なっている。そして「どんなときもつながってた、最高の仲間に!」(シューヤ)と乾杯すると、画面には再び集った黒衣の9人が映り、並んで前へと歩き出していった。



ここからは決意を胸に進んでいく超特急の勢いが爆発。メンバーカラーを彷彿させるカラフルな照明とレーザー光線による華やかな光のショーで客席の目を奪い、「さいたま! ラストスパート、まだまだいけるよな!」と、超特急特有の“ダサかっこいい”ライブ鉄板曲で8号車を熱狂させるスペシャルメドレーが開幕する。音玉とスパークラーの火花で幕開けた超ライブ鉄板曲「超えてアバンチュール」から、9人が5つのトロッコに分乗してアリーナ客席の通路に乗り出し、リョウガが「頭、振ってくれ!」と叫べば、客席は頭とペンライトを振りたくる。そのまま続いた「SAY NO」でもアリーナ最後方まで移動してコール&レスポンスを誘い、千秋楽の8月8日には「8号車!」「ありがとう!」「愛してる!」のコールで“8号車の日”をお祝い。さらに、昨年来音楽番組を席巻した「ジュブナイラー」と超特急のキテレツ曲を畳みかけ、広大なアリーナをくまなく周回し、高速リリックにメンバー名が組み込まれた「Secret Express」でも8号車は完璧なメンバーコールを差し込んでいく。そしてトロッコがメインステージに戻ると、阿波踊りをモチーフにした「AwA AwA」から、ダンスとヘヴィメタルを融合してコミカルに仕上げた「メタルなかよし」と、超特急らしい癖の強い曲を息つく間もなく連投。スパークラーの火花とLED上の炎が燃え盛るなか、楽曲センターのリョウガはシャウトをかまし、マサヒロはエアギターで8号車の拳とヘドバンを煽り立てた。これまた今ツアーが現体制での初披露となる「Drawイッパツ!」でも、凄まじい音圧で“かっとばせ! 超特急!”と熱い8号車のコールが湧き、センターステージにダッシュして手をつないで円になって、元野球部のマサヒロを筆頭に大騒ぎで楽しんでいく。トドメとばかり、ハルが「もっとみんなで盛り上がるよ!」と号令をかけてからは、超特急ライブの必須曲とも言える「Burn!」が炸裂。メンバーも8号車もひとつになってバッテンダンスを繰り出し、日替わりで歌唱メンバーが変わる大サビを8月7日はリョウガ、タクヤ、シューヤが、千秋楽は“8号車の日”ということで当然8号車とメンバー全員で大合唱して、3万人で心を1つにしていった。



一瞬も休むことなく駆け抜け、息を切らせたユーキは、オープニング映像でタカシが太陽を、シューヤが月を背負っているのは、バックボーカルとしてメインダンサー7人を支える2人を「超特急をずっと後ろで明るく照らしてくれる存在だと位置づけたから」と7日に告白。また両日共に、人生には20億回しか心臓の鼓動がないと言われている中で、今、ここで同じ時を過ごすこと、一緒に鼓動を刻めていることがどれだけ奇跡的なことかと、涙ながらに訴えた。さらに、8日の千秋楽には「僕らもいつ死ぬかわかんないし、超特急もいつまで続くかわからない。でも、俺はずっと東京ドームを目指してきて、その夢を一回もあきらめたことはありません!だから今、この景色が見れてます。ホントにあきらめなかったら、夢は叶うんです。この先も、もっと素晴らしい景色を見せていきます。それは遠くなるってことじゃない。誰一人置いていくことなく、みんなと生涯笑っていたい。そんな想いを込めて、この曲を披露したいと思います」と語り、本編のラストソングとして「Billion Beats」を贈った。20億分の1の鼓動を重ね、情感たっぷりにパフォーマンスする9人に向け、8号車は命の光を、鼓動を、それぞれがペンライトの光に灯して掲げながら、今、共に在る奇跡を確かめていく。そして曲終わりのタクヤが言葉を届けるシーンでは、7日は「初めて来た方も多いと思うけど、これが超特急です!次、会ったとき今日のトキメキを超えてやるから! また会いに来いよ!」と宣言したが、翌日の千秋楽では「今日は何も言葉が出てこない!それくらい最高でした!また会いましょう!」と頬を涙で濡らしていた。



台形LEDが降下して9人の姿を隠し、エンディング映像では海辺で夕陽を眺めながら「当たり前だと思ってたことって、当たり前じゃないんだなぁって」(タクヤ)、「でもさぁ、だから大事なんじゃない?」(ハル)というメンバーの会話も。当たり前に思える日々も当たり前ではない。だから“今”を大切にしなければいけないのだというメッセージは、今回のツアーのみならず、これまで波瀾万丈の歴史を刻んできた超特急というグループ自体が奥底に抱えているものだろう。

止まることのない8号車の“超特急!”コールに応えたアンコールは、今ツアーが初披露となるEP収録曲「踊ライナー」でスタート。「最高に盛り上がっていこうぜ!」と煽ったアロハは2番で長尺のラップを挑発的に放ち、冒頭の“カンカンカンカンカン”を突き抜けた高音で叩きつけたシューヤも、超高速ラップを畳みかけるなり舌をペロリと出して悲鳴を呼ぶ。そして超特急史上最大キャパシティの会場を埋め尽くす8号車を前に、順に心境を語っていった。



まず、7日に「超特急の最大の会場を、僕ら2桁号車が入ってから、いつか超えたいとずっと思っていたので、熱い気持ちが燃え滾りながら今日のライブをさせてもらいました」と話したシューヤは、加入3周年の記念日となる翌8日は「一度は夢をあきらめた僕ですが、“この人だ!”と思う人を見つけて、支えようと胸に誓ったら、こんな素晴らしい奇跡が起こりました。俺はこの先もタカシくんとメンバーと、8号車のみんなのために歌い続けるので、この先も俺についてきてください」と頼もしく言い切った。カイは初日に「デカいところがすべてではないけれど、僕たちがデカいところに行くことによって、みんなが喜んでくれるのが幸せなんです。だから、自分の言霊を信じて……みんなをデカいところに連れて行きます」と宣言しながら、翌日は2桁号車に「入ってくれてありがとう」と感謝したあと「少しだけ僕の話をしますね。実際の僕は、みなさんと同じようにいろんなことで悩む、たぶん弱い人間なんです」と驚きの告白を。「それでも超特急のカイとして活動しているときは、みんながいてくれるから僕自身のネガティブな面が見えなくて済む。あんまり弱いところは見せないようにしたい人なんですけど、これからは強がらず自分らしい姿を8号車のみなさんに届けられたらいいなと思っております」と、今回のツアーで嬉しい心境の変化があったことをうかがわせた。また「次はドームにみんなで一緒に行きましょう。それまで死なないでください。絶対に死なないでください。俺も死にません!」と初日に笑わせ、翌日も「昨日今日でたくさんの方が乗車(ライブに参加)してくださいましたけども、このままごっそり連れて次の夢に向かって突っ走っていきたいと思います!」と胸を張ったのはマサヒロ。7日に「みんなのおかげでみんなよりも俺の方が楽しかったです!」と笑顔を見せたタクヤは、翌日、本編の最後で言葉が出てこなかったことに触れて「8号車が“明日から頑張ろう”と思えるような言葉を出したかったのに、最後に限って何も出てこないというみっともない姿を見せてしまいました……また会ってください」と素直な自分をさらしてくれた。



今回もツアーの総合演出を務めたユーキは「とにかく超特急と出会ってくださってありがとうございます!」と7日に拍手を浴び、千秋楽には、生命の源である自然にメンバーを当てはめながらライブを作っていったと説明。「何より、誰1人欠けずに完走できたことが嬉しく思います」と支えてくれたスタッフにも感謝を述べて「8号車のみなさんがここに来て、声を出してくださっているから成立するライブなので、本当にありがとうございます。もっともっと楽しいことしましょう!」と頭を下げた。もともと超特急が好きで、憧れていたというアロハは「過去に1桁号車が立っているステージに、この9人で立てたことが僕はとても嬉しいです」と7日に述べ、8日には両親が観に来ていることを明かして「これからも初心を忘れず、父の「真っすぐ生きていけ」という言葉を胸に掲げて、これからも走っていきたいと思います」と決意表明。7日に「すごく楽しい1日でしたし、みんなの笑顔だったり楽しい顔が見れてホントに幸せでした」と8号車に告げたハルは、翌日「3年はあっという間でした。超特急の歴史に名を刻めたことが、僕は本当に嬉しい。ぜひ、これから先もついてきてください」と望んだ。2度目のさいたまスーパーアリーナをスタジアムモードで開催できたことを「幸せ」と7日に語ったタカシは、前回のツアーファイナルを病欠してしまったこともあり「ツアー完走できて良かったです!」と喜びを露わに。さらに「この景色を見れていることに僕が感動を覚えてます!なんでかと言うと、超特急っていろんな歴史があって。一時期“もう超特急、終わったんちゃう?”みたいなことを言われる時期があって。でも、あきらめたくなかったし、こんなにも8号車の素敵な姿を見てたら、この笑顔を見てたら、絶対にあきらめることは俺、できひんなと思ったんですよ。そして僕たち走り続けてきて、支えてくれた8号車のみんな、(スタッフである)9号車の皆さんがいたから、今、さいたまスーパーアリーナのスタジアムモードっていう、すごく大きい場所にいれてます。“見たか”と思います。あきらめなかったから今、ここに僕たちがいるんですよ!」と率直な胸の内を吐露する。そして長年一緒にやってきた1桁号車、超特急になりたいと望んでくれた2桁号車に感謝して「また、笑い合えて、いろんな感情を共有し合えるような場所を作っていけたらなと思っています。……ここで宣言します。絶対に超特急はドームに立ちいます!それまで待っててください!」と自信満々に明言してみせた。

最後にリーダーのリョウガは、トロッコでアリーナの後方に移動したとき、その場で聞こえる音とイヤモニから流れてくるリズムが今までで一番ズレていたと話し、それだけ大きな会場に立てたことを表現。千秋楽では、やはりフルメンバーで完走し切れたことを喜び、8号車の拡散力、マナーの良さ、愛の強さをリスペクトしてから「最高にEVEってます!」と告げた。6月のツアー初日から「EVEってる?」という造語をしばしば使い、ライブコンセプトを取り仕切っているユーキからは良い顔をされていなかったリョウガだが、EVEに“生きる”という意味があることを考えると、「EVEってる」とはすなわち「生きている」ということなのかもしれない。



MCを終えての2曲目は、ツアーファイナルならではの日替わり曲に。8月7日にはユーキが平日のライブに足を運んだ8号車に「とんでもなく俺らのことを好きだから来てるわけじゃん!そんな8号車のみんなと最高の日にしたいじゃん! 最高の夏、思い出作ろうか!」と喉が張り裂けそうなほど叫んで、超特急のサマーソング「Summer love」をプレゼント。曲中で9人が一文字ずつつなぐ伝言ゲームでは「は・ち・ご・う・しゃ・だ・い・す・き」と伝え、ラストはカイとマサヒロが手でハートを作ってみせた。8月8日は突然ステージが暗転してから「MEMORIAる」のイントロが流れ、ライトがつくと“8号車❤おめでとう”のボードを掲げた9人が「Congratulations!」と“8号車の日”を満面の笑みで祝福。さらに「みんな記念写真撮るよ!準備して!」と客席をバックに写真を撮り、「おめでとう!」と声をあげて、メモリアルな1日を3万人で祝った。ラストの「走れ!!!!超特急」では左右の花道からセンターステージと、史上最大の会場を電車ごっこもしながらタイトルの通り“走れ!”して、客席の隅から隅まで8号車にご挨拶。「みんなの声、聞かせて!」とタカシが願えば、大サビを8号車が歌い上げ、千秋楽の8月8日には8号車カラーであるピンク色の銀テープが発射されて、大きな達成感と深い幸福感のうちにフィナーレを飾った。



それでも止むことのない“超特急!”コールに、最終日の8月8日にはダブルアンコールも実現。ステージに登場すると、ユーキは「ホントにいつも支えてくれてありがとうございます!」とメンバー1人ひとりにハグし、メンバー、9号車など、関わるすべての人々に感謝する。そして「みんな……ドームがゴールじゃないから。まだ、いろいろできていないことあるでしょ?そういったことを必ず叶えてから、しっかり夢の先、叶えていきましょう。それでは僕たちが始まったこの曲、最後に聞いてください」と贈ったのは「gr8est journey」。2022年の新体制発足時に、この9人で初めて披露された爽快で胸高鳴るナンバーで、レールの先の先、遥かなる未来まで8号車を連れて行くと、それぞれが涙をこらえながら満員の客席に誓いを立てる。ラスト、ステージいっぱいに9人が広がって大きく手を振り、シューヤが「歌え!」と叫ぶと、場内には8号車の“Oh Oh Oh Oh”という大合唱が。曲が終わると「終わった~!」とユーキは雄叫びをあげ、リョウガは「これからも、この最高のメンバーで、死ぬまで笑顔でいましょう」と笑顔で伝える。最後にタカシは「僕は、8号車のみんなに、たくさん心を救われました!せやから、今度は僕が8号車のみんなの事をすくいます!みんなで行こう!ドームのその先まで!」と断言して、大歓声を浴びながらステージを去って行った。



終演後にはLED上で3つの情報が解禁。まず1つ目は、今回のアリーナツアー『EVE』の映画化決定。『超特急 The Movie RE:VE』のタイトルで11月7日より全国公開の予定で、全4都市を巡ったグループ最大規模のツアーが、スクリーン上に蘇るという。2つ目は9月24日にリリースされる22枚目のシングル『NINE LIVES』。「猫に九生あり」ということわざに9人組の超特急を重ね、クールでグルーヴィーなダンスミュージックに、超特急らしいユーモアや遊び心を散りばめた1曲となっているそうだ。また、この曲にまつわる9つの物語も、それぞれのメンバー主演によりTikTokで配信される。そして3つ目が、次回のアリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2025-2026 “REAL?”』の開催。エンディングムービーで熊本出身のハルが「みんな、俺んち来ない?」と誘っていた通り、11月29・30日のグランメッセ熊本を皮切りに横浜、大阪、愛知、そして来年2月には、ムービーで「俺んちのほうにも遊び来てよ!」と言っていたユーキの故郷である香川を回って、2月20日〜2月21日の国立代々木競技場 第一体育館でファイナルを迎える全6都市12公演だ。

今回のツアー『EVE』で人との出会いや、そこからつながっていく人生、そして命の巡りを表現していった超特急。昨今、すべてのモチーフに意味を持たせた考察心をそそるテーマと、ふり幅の広いレパートリーで純粋に楽しめるライブを両立させている彼らだけに『REAL?』と名付けられたツアーで、どんな現実を繰り広げてくれるのか、はたまた“?”が付いているということは?あきらめることを知らない彼らの探求は深く、そして広く、人々を魅了していくだろう。

■セットリスト



M1:EVE
M2:Steal a Kiss
M3:Re-Booster
M4:Kura☆Kura
M5:What’s up!
M6:Lesson Ⅱ
M7:Caed Mile Failte
M8:Feel the light
M9:No More Cry
M10:Bloody Night
M11:Kiss Me Baby
M12:ikki!!!!!i!!
M13:Believe×Believe
ーMCー
M14:霖雨
M15:Turn up
M16:STYLE
M17:Snow break
M18:キャラメルハート
M19:My Buddy
M20:Jesus
M21:a kind of love
M22:EBiDAY EBiNAI
M23:君と、奏で
M24:超えてアバンチュール
M25:SAY NO
M26:ジュブナイラー
M27:Secret Express
M28:AwA AwA
M29:メタルなかよし
M30:Draw イッパツ!
M31:Burn!
ーshort MCー
M32:Billion Beats
ENCORE
EN1:踊ライナー
EN2:Summer love(7日) / MEMORIAる(8日)
ーMCー
EN3:走れ!!!!超特急

WENCORE(8日のみ)
WEN:gr8est journey


Photo/米山三郎・笹森健一
Text/清水素子

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