【水上恒司インタビュー】ひとりでのアフレコ収録は「自分でバッティングマシーンを用意しておくような気持ちでした」<映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』>
2025.5.14
あの国民的おかし「たべっ子どうぶつ」がまさかの映画化!
舞台はおかしと人間が仲良く暮らすスイーツランド。そこでは歌って踊るスーパーアイドル「たべっ子どうぶつ」が大人気です。でも、この世の全てのおかしを排除し、世界征服を狙う最凶わたあめ軍団によってぺがさすちゃんが捕らわれてしまい……!?
今回は「ぞうくん」役を演じる水上恒司さんにインタビュー! 初の声優のお仕事に対しての想いをたっぷりと語っていただきました。「ぞうくん」とのツーショットも必見です!
声優への挑戦は嬉しさ半分、怖さ半分
■これまでにも声優のオーディションを受けたことがある、とのことですが、やってみたかった理由というのはどういったところなんでしょう?
水上恒司 そんなにアニメに精通しているわけでもたくさん観ているわけでもないので偉そうなことは言えないんですけど、日本のアニメ産業は世界に誇れるものです。その世界のプロの方々の技術に対して、何度もオーディションに落ちたことがあるからこそ、そのすごさを多少なりとも感じられます。だから落ちるんだろうな、とも思いますし。
でも今回、オーディションではなく、オファーという形でいただいて。それも僕が生まれたころからある「たべっ子どうぶつ」の一角を担えることは非常に嬉しかったですし、嬉しさ半分、怖さ半分、というところでしたね。
■声で挑戦したいというのは昔から?
水上 まず咀嚼してから、好きなのか嫌いなのか判断することは大事だと思うんです。食べたことがない、やったこともないのに、否定や肯定をするって浅はかなことだと思うんです。
声優と俳優って、同じスクリーンに映るので、フィールドは違えど近しいところではあると思うので、その経験は必ず何かしらに生きてくるので、やりたいな、と思っていました。で、それから自分が向いていないことに気がついたんです。
■今回やってみて気づいた……ということですか?
水上 どんな世界でも言えることだと思うんですけど、自由にやれる領域まで行くのは簡単なことではありません。天才はすぐにたどり着けるかもしれませんが、そうではない人間からすると、やっぱり難しい。できるものだと思っていたのは甘かったのかな、って反省していますね。
らいおんくんはピッチャーで、ぞうくんがキャッチャー。
■台本を最初に読まれたときはどんな感想を持たれましたか。
水上 技術がないのでせめて解釈だけでも、と思って取り組みました。声優の台本ってあまり見たことがなかったんですけど、ちょっと勝手が違うというか。
収録ではもう絵が作られていて、そこに声をはめていきます。でも、僕の(普段やっている俳優の)仕事は絵も声もそのときに録っていく作業です。だから、絵を見て「あ、こういう表情なんだ」とか、言葉と表情のニュアンスが全然違ったりするので、そのチューニングも現場でやらなければなりません。物語のだいたい概要はつかんだとは思うんですけど、実際に絵を見てから、「ああ、こういう意味なんだ」と理解した部分はあります。思っていたものと全く違うこともあるので、台本からあまり読み取りすぎてもよくないな、とは思いましたね。
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■物語自体に対してはどういった印象を抱かれましたか?
水上 戦争映画も撮りましたけれども、多分、同世代に比べても今の時代にあまり合っていない感覚を持っているなと、自分では思っています。血みどろだったり、生々しさというものを見たことがあったり、知っているからこそ、そうではない美しい方、正しい方に行かないといけないよね、って逆説じゃないですけど、そういった発想が最初に出てきてしまうんです。そんな僕からするとこの「たべっ子どうぶつ」は血もなく、すごくきれいなのは、この時代に合っているもの。もう本当に今の令和の時代において、出し得る作品になってるんじゃないかなと思いますね。
■完成した作品を見て率直な感想としてはいかがですか。
水上 僕、多分1回か2回しか見てないんですけども、自分のクオリティ的に全然うまくはないんですけど、見るに値はするのかな、って。自分が携わった作品なのでやっぱりそういうふうに見ちゃいますね。ちゃんと冷静に見られるようになるまで、10回ぐらい観ないと。
でも、この「武器なし、策なし、意気地なし」という「3つのなし」のキャッチコピーはすごくいいなと思いますね。これから日本がどんな国になっていくかわかりませんけど、僕はなんだか明るい未来は見えないんですね。だからこそ、「何もないけれど、じゃあ君は何を思って生きて行くんだい?」ということを言っているような……。言語化しなくていいので、子どもなりに何かしら感じ取れるような作品になってるんじゃないかなと思いますね。
■水上さんは演じられたぞうくんのことを「らいおんくんの女房のよう」とおっしゃられていましたが、ぞうくんを演じてみて共感できた部分はありますか? 水上さんがキャッチャーのご経験があるからそういう例えが出たのかな、と思うのですが。
水上 まさにその通りで。らいおんくんはピッチャーだと思うんですよ。で、僕がキャッチャー。
やっぱりピッチャーってエースで、プロ野球でも一番カメラで抜かれるポジションです。ピッチャーを抜くカメラマンさんはその中継で一番偉い人が撮るぐらいの花形なんですよね。
僕もピッチャーをやったことがありますし、今は立場的にらいおんくんのようなパフォーマンスを求められることが多いんですけど、あまり大勢の人の前には立ちたくないんですよね(笑)。もちろん、撮影現場では別ですけど、だからこそ、ぞうくんの生き方をステキに思えたんだな、と思います。
「普通に生きていたら意識しないこと」は意識していた
■役者も声優も、言葉を使うお仕事です。今回のお仕事を経験して、言葉に対する意識の変化はありましたか?
水上 役者のフィールドのお仕事では、体9割、セリフ1割ぐらいのバランスを大事にしています。でも、だからと言ってその1割をぞんざいに扱っていいわけではなく、準備の段階でたっぷり訓練します。現場では体9割をどれだけ作れるかで、そこに残りの1割があとからついてくるような感覚でやっているイメージです。
だからじゃないですけども、あんまりセリフのことを考えないんですね。それよりも、その役がどういったことを言いたいのか、やりたいのか、という体を作ることを大事にしています。でも、今回の声優の仕事は真逆です。体1割、声9割なんですよ。非常に難しいですね。たとえばぞうくんがらいおんくんを引っ張って「ううっ!」と言いながら筋肉が動いてたとしても、それがマイクを 通してスピーカーから発せられるところにのっていないと何も意味がないので、改めて声優さんたちは本当にすごいんだなと思いますね。
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■言葉をメインに使うからこそできることもあるんじゃないかと思いますが、その点についてはいかがですか?
水上 その象徴的な職業というと、アナウンサーとか、あとは政治家ですよね。言葉で人を動かしていく、リーダーだとか、上の立場の人間です。
でも日常的にそんなに滑舌を気にしていないじゃないですか。だから、変に滑舌よくしゃべろうとしすぎている芝居をしても、それはそれで浮いてしまいます。悪目立ちするので良くないんですけども、聞こえなくても意味がないので、そこの塩梅はすごく難しいですね。わりと言葉に対しての意識としては、アナウンサーさんたちよりもちょっと低いですけれど、「普通に生きていたら意識しないこと」は意識していたかもしれないですね。
■収録の際、印象に残っている監督の言葉はありますか?
水上 まず、ちょっと太った声を出してみたんですよ、このぞうくんのちょっと体が大きい感じを出したかったんです。プロの声優さんの方々の技をやってみたい! と思うからこそやってみたんですけども「それはいらない」と。本当に君自身でいいんだ、ということは言われましたね。
■そこは納得して?
水上 いや、やりたいな、とは思いました。でも、できてないから言われるんだよな、とも思って、その葛藤が大変でしたね。たぶん、最初のテイクが一番、時間を使ったんじゃないでしょうかね。
■やっていくうちに馴染んでいったんですか?
水上 僕もそうですけど、多分、監督も聞き慣れていく、というのもあったかもしれません。あとは諦めというのもあると思いますけどね(笑)。
■アフレコはみなさん一緒にやられたんですか?
水上 できていないんですよ。みんなお忙しいですから。
下手くそな素人にとっては過酷な状況だったんじゃないですかね。それこそピッチャーがいない。自分でバッティングマシーンを用意しておくような気持ちでした。
■終わったあとの手応えはいかがでしたか。
水上 もうめちゃくちゃ疲れましたね。東京の中心あたりにあるスタジオで録ったんですけど足取りが重かったです。
■またやりたい、という気持ちも?
水上 もちろん気持ちとしてはありますけれども、そのやりたいという気持ちだけでまたできたらいけないんじゃないかなとも思うので今回はちょっと……答えを控えておきます(笑)。
最近、心を動かされた瞬間
■アイドルであるたべっ子どうぶつはみんなを笑顔にすると思うんですけど、水上さんが最近、一番笑顔になった瞬間について教えてください。
水上 そう言われると、最近笑ってないような感じがしますね。爆笑でしょ?
■爆笑じゃなくても大丈夫です!
水上 先日、とある地方から東京に戻ってきたんですけども、飛行機の待合室で本を読んでいると、4人家族のちびっこの男の子が2人いたんです。上の子はお利口さんで、ちゃんと静かに待ってたんですけど、次男がまあ、暴れん坊なんですよ。どうやら、ジュースを飲みたいらしいんですね。で、お母さんは「ジュースは飲まないよ、さっきで終わりって言ったよね」って言ってるんですけど、暴れて、ポーチみたいなものを振り回して、いろんな周りの大人にいわゆる迷惑をかけていたんですよ。それを見て、僕は「いいぞ、いいぞ」って思って(笑)。いずれ大人になる瞬間があるから、うん、今は大丈夫、大丈夫だよと思いながら見てましたね。笑顔になりました。
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■最近、心を揺り動かされたモノやコトはありますか?
水上 『オッペンハイマー』を観たんですけど、編集のカットのテンポが良すぎて気味が悪くて。クリストファー・ノーランがどこまで行っちゃうんだろう? と気になりましたね。
■ありがとうございました!
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水上恒司
1999年5月12日生まれ。福岡県出身。
『望み』(20)で日本アカデミー賞新人俳優賞、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)で同賞優秀主演男優賞を受賞。
主な映画出演作は「中学聖日記」(18)、『弥生、三月-君を愛した30年-』(20)、「MIU404」(20)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、『そして、バトンは渡された』(21)、『死刑にいたる病』(22)、『OUT』(23)、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」(23)、『熱のあとに』(24)、「ブルーモーメント」(24)、『八犬伝』(24)、『本心』(24)などがある。ボイスキャストは本作が初出演。
[Instagram] @koshi_mizukami_official
―INFORMATION―
【映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』】
絶賛モフモフ公開中
声優:松田元太、水上恒司、髙石あかり、藤森慎吾、蒼井翔太、小澤亜李、水瀬いのり、東山奈央、立木文彦、間宮くるみ、大野りりあな、関智一、大塚明夫、大塚芳忠
主題歌「Would You Like One?」Travis Japan (Capitol Records / ユニバーサルミュージック)
原作:ギンビス
監督:竹清仁
脚本:池田テツヒロ
企画・プロデュース:須藤孝太郎
クリエイティブプロデューサー:小荒井梨湖
音楽:羽柴吟
音楽制作:TBSテレビ
音響制作:グロービジョン
音響監督:横田知加子
アニメーションプロデューサー:宇井正人
CGスーパーバイザー:堺井洋介
アートディレクター:亀井清明
ラインプロデューサー:髙橋弘樹
宣伝プロデュース:KICCORIT
アニメーション制作:MARZA ANIMATION PLANET INC.
製作幹事:TBSテレビ
配給:クロックワークス TBSテレビ
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©ギンビス ©劇場版 「たべっ子どうぶつ」製作委員会
Photo:Tamami Yanase、Text:ふくだりょうこ