『Sakurashimeji Live Tour 2025 〜track [poly]』開催!確かな手応えとともにツアーを走りきった公演に!!
2025.4.25
LIVEpolySakurashimejiツアーライブ東名阪対バンツアー音楽
Sakurashimejiの東名阪対バンツアー【Sakurashimeji Live Tour 2025 〜track [poly]】が、盛況のうちに幕を閉じた。
3月のワンマンツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025 〜track [mono]』に続いて実現した今回のツアーでは、Sakurashimejiが以前からリスペクトしていたバンドとのツーマンライブを実施。東京公演ではインナージャーニー、大阪公演ではパーカーズ、愛知公演ではなきごとを迎えた。
この記事では、4月18日の東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO公演をレポートする。最初にライブを行ったインナージャーニーは、郷愁を誘う楽曲とロックバンドらしくダイナミックな演奏でオーディエンスを魅了。Sakurashimejiのライブが始まる頃にはフロアは既に温まっており、田中雅功と髙田彪我は観客の手拍子に迎えられた。今回のツアーは、サポートベーシスト&ドラマーとの4人編成。セットはシンプル、そして会場はライブハウスということで、観客は、雅功と彪我が飾らないテンションで鳴らす音楽をダイレクトに受け取ることができたはずだ。
ライブのオープニングも直球勝負だった。1曲目は「朝が来る前に」。アコースティックギターを鳴らしながら、自身のテンポ感で歌い始めた雅功のボーカルには魂がこもっている。その歌唱は〈声を枯らして歌っている/世界の真ん中で/情けないと笑われても歌い続けよう/こんな僕でも、笑ってくれる人がいるのなら/ずっとずっと歌うよ〉という歌詞に相応する力強さを感じさせるもので、まるでトーチリレーのように、雅功が最初に灯した炎を彪我の歌やギターが引き継ぎ、展開していった。
ドラムのビートが曲間を繋ぐなか、最初の挨拶をしたのは雅功で、「遊びに来てくれてどうもありがとうございます。そしてインナージャーニーも最高のステージをありがとうございます。負けないように、頑張りまーす!」と意気込んだ。彪我はエレキギターをジャーンと鳴らして雅功に同調。そうして始まったのは、雅功の作詞作曲による楽曲「ランドリー」だ。約1ヶ月前にリリースされたばかりだが、イントロから手拍子が自然発生するなど、曲はしっかり浸透している様子。さらにBメロではメンバーのボーカルと観客の声が掛け合いを繰り広げたり、間奏では彪我がセンターに出てきてギターソロを披露したりと、楽しい場面満載で、ライブでパワーを発揮する楽曲として早くも存在感を放っていた。
メンバー同士アイコンタクトを交わしながら、骨太なロックサウンドを楽しげに鳴らす姿が印象的だった「いつかサヨナラ」を終えてMCに入った。インナージャーニーのライブを観て、「ちょっとうかうかしてられないな」と感じたという雅功。対バンに触発されてワンマンとはまた違うテンションになるのが今回のようなライブの醍醐味であり、その面白さは1曲目から観客に伝わっていたのではないだろうか。一方、きっと音楽的に通じ合えるであろうバンドとのツーマンということで、「個人的にはもうちょっと仲良くなりたいなと思ってて」と語りつつ、「一応、治一郎を渡したんですけど、あの治一郎でどれだけ心をつかめたか……。あとは音で会話して……ちょっとカッコつけすぎか(笑)」とはにかみ、観客の笑いを誘った。
演奏再開は「生きるよ」からで、同じく8分の6拍子の楽曲であるインナージャーニーの「平行線」のさわりを奏でるというスペシャルなライブアレンジから、ポップでカラフルな「simple」へ繋げる。声に表情をつけて歌ったり、無邪気にギターを掻き鳴らしたりしている雅功と彪我は、手拍子して盛り上がるフロアを見て笑顔。彪我が上手前方に出ていってソロを披露すると、雅功も下手前方に出ていき、フロアにある柱の裏にいる人たちとも視線を交わし、笑い合った。
この日はデジタルシングル「春が鳴った」のリリース日ということで、ライブ後半のMCでは、同曲の作詞作曲を手掛けた彪我がリリースを報告。そして「新学期とか新生活とか、環境がいろいろ変わったりして、“五月病”という言葉が生まれてしまうくらい心が不安定になりやすい時期かと思います。でもそんな時こそ、幼い頃の純粋な気持ちというか、過去の自分を肯定してあげられたらなと思って、この曲を作らせていただきました」と楽曲に対する想いを語った。そんな言葉とともに、「春が鳴った」をライブ初披露。雅功と彪我が交互に歌い、楽曲の世界観を表現するなか、観客も手拍子して2人の歌に寄り添う。彪我のギターソロはタッピング奏法を交えたもので、Sakurashimejiの楽曲の中でも高難度のギタープレイに、観客は興奮し、歓声を上げていた。
「春が鳴った」から「エンディング」「大好きだったあの子を嫌いになって」と続いたゾーンでは、雅功がアコギからエレキに持ち替え、ツインエレキ体制となり、ロックな音像でスパートをかけた。特に「大好きだったあの子を嫌いになって」はライブならではの熱い場面が満載。雅功が高ぶった感情のまま、メロディの語尾をずり上げるようにして歌えば、彪我は音を大胆に歪ませながらのギターソロで感情を解放させ、観客は「ばーか!」という曲中の歌詞を思いきり叫んだ。ラストの搔きまわしでは彪我がまだまだと言わんばかりにギターを弾きまくっているが、充実の時間はあっという間。雅功が「次で最後の曲です。ありがとうございました!Sakurashimejiでした!」と挨拶すると、ラストナンバー「明日を」が始まった。真っ赤な照明がステージを染める中、気迫に溢れる雅功のシャウトに、彪我のギターが続く。雅功と彪我のボーカルが掛け合いを繰り広げるパートでは、観客も一緒に声を出すが、雅功が「足りねえぞ!」と叫んだことで、全体のボルテージがもう一段階上がった。ライブの終わり際と思えないほど、生命力が漲っている。メンバーと観客の盛り上がりはとどまるところを知らず、この日のライブはアンコールまで続いた。
翌週に開催された大阪・愛知公演でも熱いステージを繰り広げ、確かな手応えとともにツアーを走りきったSakurashimeji。そしてツアー中に発表された通り、結成記念日である6月14日にはデジタルEP「Sakurashimeji Classics vol.2」がリリースされ、ストリングスを入れた特別編成でのビルボードライブ『Sakurashimeji Classics Premium Live “Shimetan” at Billboard Live』が大阪・横浜で行われる。今後の活動も要注目だ。

1.朝が来る前に
2.ランドリー
3.いつかサヨナラ
4.生きるよ
5.平行線(カバー)
6.simple
7.春が鳴った
8.エンディング
9.大好きだったあの子を嫌いになって
10.明日を
EN.なるため
写真/鈴木友莉
文/蜂須賀ちなみ