【佐藤勝利インタビュー】「愛に真正面から向き合うことって現代ではあまりない」手塚治虫原作ドラマの現場で感じたこととは?<ドラマイズム「アポロの歌」>
2025.3.8
手塚治虫原作の『アポロの歌』が実写ドラマ化。
壮大なSF青春ストーリーの映像化作品に、注目が集まっています。
幼いころの母とのトラウマから愛を軽蔑して生きている大学生・近石昭吾を演じるのはtimeleszの佐藤勝利さん。そして昭吾の幼なじみで歌手になる夢を持つ渡ひろみを髙石あかりさんが演じています。
今回は佐藤勝利さんにインタビュー。
出演を決意した経緯、作品への想いを語っていただきました。
この役を受けたいという気持ちしか湧かなかった
■本作のオファーを受けたときのお気持ちを教えてください。
佐藤勝利 企画書を見させていただいたときに、1ページ目のキービジュアルに手塚さんの絵があったんですけど、その時点で「受けたい」という気持ちしか湧きませんでした。
偉大な方ですし、企画書を見てどう映像化するんだろう、だとか、果たして自分が演じられるのか、とも思いました。でも、チャレンジだとも思ったのと、やってみたいことではあったので、この世界に思い切って飛び込みました。
■原作や脚本を読んでの印象はいかがですか。
佐藤 ドラマは手塚プロさんと共同でのストーリー開発になります。原作とはまた違った現代版の解釈になっているんですけど、一貫していることは「愛」ですね。
なかなか理解が難しい部分もあると思います。でも、伝えたいことは真っすぐでシンプルなものでした。
■1970年代に連載されていた漫画を、現代にドラマとしてやることの意味についてはどのように考えていらっしゃいますか。
佐藤 やっぱり、大事なものって見失うし、近ければ近いほどなくなるんですよね。
「愛」というテーマは扱われることが多いと思うんですけど、作品となると複雑です。ドラマは映像なので伝わりやすい部分が多いかな、と思うんですけど、原作はどこか難解な部分があります。ただ、「愛」ということに真正面から向き合うっていうことは、現代においてなかなかないと思うんですよね。
シンプルだからこそ難しいというか……。そこに当時作られた手塚さんの空気があることによって、現代においては新しく映るところもあると思います。物語として読み解いていくおもしろさもありながら、意外と現代では向き合わないことに向き合えるのかもしれません。
演じる上での難しさは?
■ご自身が演じられた近石昭吾に対してはどのような印象を持たれていましたか。
佐藤 ドラマでは描いていないんですけど、漫画や最初のプロットでの昭吾のキャラクターは猟奇的だな、というのは思っていました。そこが一番センセーショナルだったというか。ドラマではどうなるんだろう、と。
最初はずっと愛し続けているヒロイン・ひろみへの想いが掴み取りづらいな、と思っていました。
■演じていく中で、昭吾との共通点を感じた部分はありますか?
佐藤 人を信用していないというか……言われたことをそのままの答えだと思っていないので、そういうところは共感できるかもしれないですね。
■役柄に対して、理解が深まったり、印象が変わった部分はありましたか。
佐藤 作品が難しいので、言葉にしてお話するのは難しいですね。難しいけど、演じながらも気づくことはたくさんありました。監督や撮影チームの方としっかりお話しながら撮ってはいたので。
でも、原作の昭吾がそこに存在していないとならないし、実現不可能なことも描き方を変えながら、その場で思ったことも大事にはして演じていました。
ほとんど笑わない人なのか?とも思っていたんですけど、撮影していく中で感情がないわけでもはない、と気がつきました。ただ、そこが難しいところでもありました。ローではあるんですけど、感情が全く動かないわけではないし、ひろみとの時間が楽しいんだろうけど、普通の人間として描きたいわけではない。そこのバランスは、現場での感情や話していることで変化しているかな、と思います。
現場で起きたことを大事にしていた
■二宮健監督とお話される中で、インスパイアを受けたことがありましたら教えていただきたいです。
佐藤 ご挨拶させてもらったときからステキな人だと思っていました。初日からまたご一緒したいなと思うぐらい、本当にステキな監督さんです。
削ぎ落してくださる感じというか……。僕の言動がそのまま伝わるような演出法でしたね。言葉自体も動きによって違うことが伝わってしまう場合があるので。
■特に印象に残っているシーンはありますか?
佐藤 常に、ではあるんですけど……。
僕も映像作品は久しぶりで、しかもあまり経験がないんですが、この作品、撮り方がおもしろくて。これが物語にどう入っていくんだろう、という撮り方もたくさんありました。あと、ライブ感もありましたね。その場で起きたことを大事にしていました。決め打ちみたいなこともあまりなくて。ドキュメントっぽい撮り方をしていたときもありましたね。カメラマンさんが手持ちで(カメラを)回していたり。凝り固まった撮り方だと出来上がった映像が狭くなって、作品自体や感情の動きの幅がなると思うので、やっていておもしろいな、と思いました。
■ヒロイン・ひろみ役の髙石さんとのご共演はいかがでしたか?
佐藤 髙石さんについて、なんて表現しようかって考えたんですよ。おそらく天然とか天才とか、そう言われていくと思うんです。実際、天然な一面で切り取られることも今まであっただろうし、実際にそういう場面も見かけました(笑)。安易だな、と思うけど、言葉でどう表現していいか分からないんですよね。
天才であることは間違いないです。あんまり言い過ぎて良いのか分からないですけど、演じていて衝撃的でしたね。天才でした。
そしたらあれよあれよという間に朝ドラヒロインに……。
■天才だということを言葉で表現するのは難しいところだとは思うんですが……
佐藤 ひろみに近づくスピードとか……。
涙するシーンでもどれだけ泣けるの?っていう。涙だけで言うのもあれですけど、どこまで感情的なの?って。
僕は朝ドラのヒロインが決まる前からそう思っていたので。朝ドラヒロインだから、と評価する方はたくさんいらっしゃると思うんですけど、僕はそうじゃないということは一応、言っておきます(笑)。
■ありがとうございました!
【ドラマイズム「アポロの歌」】
放送情報:MBS/毎週火曜24:59~、TBS/毎週火曜25:28~
出演:佐藤勝利(timelesz)、髙石あかり、西垣匠、森田想、河井青葉、ふかわりょう、池内博之
監督・脚本:二宮健
OP主題歌:Dragon Ash 「The Lilly」(Victor / MOB SQUAD)
ED主題歌:家入レオ「No Control」(ビクターエンタテインメント)
制作プロダクション:ギークサイト
製作:「アポロの歌」製作委員会・MBS
原作:手塚治虫「アポロの歌」より
<配信>
TVer、MBS動画イズムで見逃し配信1週間あり、FOD見放題にて独占配信
[X] @dramaism2_mbs
[Instagram] @dramaism2_mbs
[TikTok] @drama_mbs
[HP] https://www.mbs.jp/apollonouta/
©「アポロの歌」製作委員会・MBS
Text:ふくだりょうこ