<イベントレポ>板垣李光人「買い物のついでにちょっと寄ってみるぐらいの気持ちで見ていただけたら嬉しい」初の個展『愛と渇きと。』取材会



俳優・板垣李光人の初個展【愛と渇きと。】が、2024年9月27日(金)から10月7日(月)まで東京・渋谷PARCO B1FのGALLERY X BY PARCOを皮切りに、名古屋・大阪にて開催される。開催を前日に控えた9月26日(木)に取材会が行われ、板垣が個展への思いを語った。



■明日から個展が開催されますが、率直な感想やコメントをお願いします。

板垣李光人 今回初めて個展を開催させていただくということで、役者として映画とかドラマとか自分の出てる作品を見るのは最近やっと慣れてきたんですけど、今回絵は初めてなので、その時の最初の緊張感というかすごいドキドキしたものを今すごく抱えていて、初心を思い出したというかそんな心境です。来てくださるお客様がどういう風に見てくださるかなっていうのを楽しみでもありながら、少しドキドキと不安な気持ちもあります。

■どういった経緯で個展を開催することになったのか教えてください。

板垣 今回のタイミングはすごく運命的だったと言いますか、デジタルイラストは元々描いてたんですが、そこまで別に自分の作品に自信があるかと言われるとそうではなくて。細々と描いてたつもりで、作品を発表するにしてもNFTであったりとか、デジタル上・ネット上とかで発表しているぐらいでいいかなとは思いつつも、その裏腹やっぱり見てほしいなっていう気持ちもあったんですが、それがある中で「ブルーピリオド」っていう作品をやらせていただいて、それが絵がテーマの作品で3か月、4か月ぐらいずっと先生から絵を教えていただきながら準備していて、それで絵の欲がさらに高まってた時期にこの個展のお話をいただいて「じゃあやろうかな」っていうところで、今回やらせていただきました。個展を開くにしても、役者として先にテーマを決めてからストーリーのように流れるものにしたいっていう考えはずっとあったので、そんな形で作っていきました。



■全12作品の中でご自身が1番お気に入りの作品や思い入れがあるような作品があったら教えてください。

板垣 1番お気に入りなのは、こちらにある黒の背景に花がついている作品です。今回は他の作品もそうなんですけど、まずデジタルで描いたものをキャンバスに印刷してその上から油絵の具を乗せてるんですけど、この作品はそれに加えて、立体的に布で作った花のモチーフをつけてるんですけど、すごく自分らしいというか、自分を表してる作品だなと思って。このアートっていうところもそうですし、まず役者としてテーマを決めて物語のようにっていうところで、全ての絵が感情を描いてるので、それももちろん含みますし、こういう布っていう部分、自分の好きなもの、アート・ファッション、そして芝居っていうものが全部1つに詰まっている作品ですし、この花を作るのにもこうやって小さくなりながら縫って作ってたので、肩と首を痛めながら作った作品なので、すごくそういった意味での思い出のある作品です。

■どれくらいの期間で作り上げましたか?

板垣 個展のお話をいただいたのがちょうど1年前ぐらいで、そこから描きたいものというか「こういうテーマで描こう」みたいなのは割とすぐ決まって、そこからラフを描いたりなんだりしていて、作品に入ってしまって描けなかった期間とかもあったんですけど、全部ひっくるめるとトータルで4、5か月ぐらいかかったかなと思います。



■今回飾ってある作品は、肖像画が多いように感じますが、ご自身を描いたものなんでしょうか?

板垣 モチーフに関していうと、主に顔を割と抽象的にというか、ぼかしてるものが多くて。頭のところが鼻になってたりだとか、球体だったりとか、布で覆ってたりとかっていう風にしてるものが多いので、男性・女性とか性別や年齢とかもあまりわからないような、そこもぼかしてるようなものにしたくて、それはやっぱり見てくださる方に委ねたいなっていうところがあって、あまりわからない抽象的な感じにしています。

■色数を抑えて気に入った色を色々使われてるように思ったのですが、色についてお題とかがあったのであれば教えて下さい。

板垣 ピンク、赤、そしてブルーとかを割とメインで使ってるんですが、血管のイメージというか、動脈と静脈が表される時に青と赤で表されたりしますけど、そういうイメージで青とか赤をメインで多めに使ってます。



■シンメトリーのような作品もありますが、こちらの解説もお願いします。

板垣 さっきテーマを決めてから絵を制作していったっていう話をしたんですが、その段階でセクションごとに大体それを何枚ずつ描くかを決めてたんですよね。このブロックで2個、正方形の作品3つ、背中を描いてる作品3つ・・・っていうので、ラフを描き始める前に、まずそれを決めてからシンメトリーであったり呼応するような作品っていうものを作っていったので、物語っていうようなところと通じてくるかなと思っています。

■(今回の作品を)遠くから見ると油絵に見えますね

板垣 ベースのデジタルのイラストも遠くから見れば油絵で描いているような感じに見せてるんですけど、実際近くに行くともちろん印刷してるものなのですごくフラットになっていて、実際に油絵の具を乗せてるところの艶と動きのコントラストっていうところを、お互いがお互いを高め合ってくれるというか、お互いの良さを引き出してくれるっていうところで、合わせて使っています。



■元々絵が好きだったということですが、好きになる原体験はありましたか?

板垣 小さい頃の話で言うと僕はティム・バートンの作品がすごい好きだったので、彼の映画はずっと小さい頃に観ていたんですね。それはビジュアル的な面でもそうですけど、彼がディズニーとか子ども向けの作品であっても生きてるものの卑しさとか、そういう綺麗なところだけじゃないものまで描いてるのが好きだったので、それは自分の役者としての好きな芝居とか絵に関しても好きな作品とかにも通じてくるかなと思うので、元のところっていうとそれになるかなと思います。



■美術というと敷居が高く感じてしまうかも知れないのですが、良い付き合い方などアドバイスを頂けますか?

板垣 海外の美術館とか行くと子どもとかも自由にわーって走ってたりとかもするし、美術館っていうものの捉え方が日本だとやっぱ静かにしてみないといけないとか、そういうイメージが強いんじゃないかなと思うんですけど、すごい解釈する楽しみ方もあるし、もっとラフに「これなんか家に置いたら可愛いな」とか「待ち受けにしたいな」ぐらいの感想でもいいと思うんです。だからもっとラフにふらっと、それこそ買い物のついでにちょっと寄ってみるぐらいの気持ちで見ていただけたら嬉しいし、アートっていうものも、そういう存在になってほしいなとは思います。



■今回のテーマが渇愛ってことなんですけど、今ご自身が渇愛しているものは何かありますか?

板垣 やっぱ今だと秋。小さい秋。でっかい夏しかないから、今は小さい秋がなさすぎて。服が好きなので、夏のTシャツ1枚とかより着込みたいんです。9月中旬過ぎてやっと涼しくなってきましたけど、9月の頭とかも全然暑かったんで、小さい秋を探してましたけど、やっとちょっと見つかってきたので。



■最後に改めて一言お願いいたします!

板垣 自分がこの個展をやるっていうことで、アートっていうもの自体の窓口も広がるようなきっかけになったらいいなっていう風に思いますし、実際、知り合いに声をかけたところ「全然アートとか見に行くことないけど、李光人くんがやるんだったらちょっと見に行ってみよ」っていう風に言ってくださったりとか、そういう人が1人でも増えてくれたらいいなという思いで今回個展を開催しておりますので、来ていただけたら嬉しいなと思います。寒暖差凄いのでご自愛ください。

おまけ♡



フォトセッション時、絵を描くポーズをお願いしたところ笑顔で快くポージングしてくれた1枚。他の呼びかけにも真摯に対応していたり、取材中も各所で「本日はお忙しい中、お越しくださりありがとうございます。」「寒暖差凄いのでご自愛ください。」と取材陣を労う言葉を口にしていたりと、板垣さんの紳士的な心遣いが随所で感じられ、和やかなムードの中、取材会は幕を閉じました。

■詳細
【板垣李光人個展 愛と渇きと。】
入場料:700円(税込)
※事前予約制
※入場枠に空きがある場合は会場で当日券も販売
※イベント開催日は営業時間が異なります。詳細は展覧会HPをご確認ください。
※各種割引・優待対象外

<東京会場>
開催期間:2024年9月27日(金)〜10月7日(月)
営業時間:11:00〜21:00 ※9月27日(金)はイベント開催のため13:30閉場、最終日は18:00閉場
場所:渋谷PARCO B1F・GALLERY X BY PARCO(東京都渋谷区宇田川町15-1)

<名古屋会場>
開催期間:2024年10月12日(土)〜10月20日(日)
営業時間:10:00〜21:00 ※最終日はイベント開催のため12:00閉場
場所:名古屋PARCO ⻄館6F・PARCO GALLERY(愛知県名古屋市中区栄3丁目29−1)

<大阪会場>
開催期間:2024年10月25日(金)〜11月10日(日)
場所:心斎橋PARCO 9F EVENT SPACE(大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3)
営業時間:10:00〜20:00 ※10/25(金)はイベント開催のため13:00閉場、最終日は18:00閉場

主催:株式会社パルコ
協力:株式会社スターダストプロモーション
AD・デザイン:大澤悠大
撮影:恒川脩平
スタイリスト:石井大
ヘアメイク:KATO
※展覧会内容は予告なく変更となる場合がございます。

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