結成記念日恒例のワンマンライブ『さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-』開催!ユニット結成からの10年間の軌跡を辿ったライブで5つのニュース発表も!
2024.6.16
田中雅功(たなか・がく)と髙田彪我(たかだ・ひょうが)からなるギターデュオのさくらしめじが、2024年6月15日(土)に東京・EX THEATER ROPPONGIにて、【さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-】を開催した。“しめたん”とは”さくらしめじの誕生日”の略で、毎年、結成記念日である6月14日に行っている恒例のワンマンライブ。結成から10周年の節目となる今年は1日遅れの開催となったが、フルバンド編成のライブとなっており、チケットはソールドアウト。U-NEXTでの生配信も行われ、19台のカメラが入った。
開演時間となり、場内が青い灯りに転換すると、バンドメンバーがステージに上がり、スクリーンには、一冊のアルバムに収められた、さくらしめじの10年間の歩みが映し出された。そして、映像が10周年のお祝いときのこりあん(ファンの総称)への感謝を込めた本公演のロゴマークに切り替わると、さくらしめじが姿を現し、満員の会場は祝福を込めた温かい拍手で迎えた。オープニングナンバーは、2017年に行われた初の全国ライブツアーに向けて2人で制作したロックナンバー「青春の唄」。雅功が「六本木!」と叫ぶと、オーデェンスはクラップを打ち鳴らして呼応。アコギを激しくかき鳴らしながら情熱的に歌い上げる雅功とエレキギターをメイン楽器とし、切なく感傷的な歌声を響かせる彪我という個性の異なる2人のパフォーマンスが重なり合うことで、さまざまな感情がぶつかり合う多感な時期を体現し、観客のテンションは一気に引き上げられていった。
さらに、ドラマ「高嶺のハナさん2」のオープニングテーマ「simple」では、さくらしめじの2人がバンドメンバーと積極的にアイコンタクトを取り合いながらソリッドで躍動感たっぷりのバンドサウンドでライブの勢いを加速させると、彪我作の「エンディング」では<愛想笑う日々にエンディングを>というフレーズでシンガロングが巻き起こり、ドラマ「こえ恋」のオープニングテーマで、雅功と彪我の合奏から始まる淡いラブソング「ひだりむね」では、オーディエンスが一緒にジャンプし、早くもライブならではの一体感を作り上げた。
最初のMCでは雅功が「僕たち、さくらしめじは昨日、結成10周年を迎えました!」と挨拶すると、会場のあちこちから「おめでとう!」という声が上がった。「昔の曲から最新の曲までいっぱいやりたいと思います」と語った後のブロックでは、夕暮れから夜、夜から夜明けという時間の流れを表現。<そのまんまでいい>と背中を押すメッセージソング「かぜいろのめろでぃー」のアウトロには<また一緒に歩き出せる>というフレーズとリンクしたマーチングのようなドラムのスネアロールが入り、「まよなかぴくにっく」では鍵盤ハーモニカによるノスタルジックな音色をフューチャー。ロースモークと光の演出によって雪景色のような空間が生まれた「天つ風」では彪我がアコギに持ち替え、2人で<歌おうずっと>というフレーズを響かせ、<こんな僕でも 笑ってくれる人がいるなら/ずっとずっと歌うよ>という決意と覚悟を込めた「朝が来る前に」では、雅功の弾き語りによる独唱から始まるなど、バンドによって新たなアレンジが加えられたことで楽曲のドラマチックさが増し、随所に聞き応えのある演奏が用意されていた。
雅功の「中1からラブソングを歌ってまして。ラブってなんだ?って頃に歌ってた曲です」という言葉に導かれた「きみでした」からは淡い初恋を描いたラブソングが続いた。中学2年生の時にリリースした2ndシングルで切ないバラード「きみでした」から中学3年生でリリースした3rdシングルで、恋がはじまりそうなワクワクを描いたアップテンポの「はじまるきせつ」。そして、二十歳になった2人がシンガーソングライターのひらめとコラボした女性目線のラブソング「ストーリーズ」へ。オーディエンスは、さくらしめじが描く様々なラブストーリーに自身のいつかの思い出を重ね、時に言えない思いを抱えた片思いに共感し、胸をときめかせながらじっくりと耳を澄ませているようだった。
雅功が薄暗い灯りの中で手紙を読むように独白するプロローグから始まる雅功作のバラード「ただ君が」では、叶わない思いに苦しめられながらも<ただ君が明日になっても/美味しいねって笑えますように>というフレーズに辿り着く。情感を込めた歌声をステージで解き放つ姿はまさに圧巻だった。続いて、彪我が「生きていれば、楽しいことばかりではないと思います。苦しいことや悲しいこともあると思いますが、もっともっと自分自身を信じて生きて欲しい。心を込めて歌います」と語った新曲「生きるよ」をライブ初披露。彪我が作曲し、雅功が作詞した楽曲で、ステージにトーチが灯る中で、たった1つの守るものがあればそれでいいという静かな信念を観客1人1人の胸に届けると、「My Sunshine」では一転して白く強い光の中で<歩いていけるさ/道は続く>という未来に向けた思いを全力で放出すると、会場を圧倒的な開放感で包まれた。
さらに、雅功は「今年に入って3曲の新曲をリリースしてます。もうすでに新曲だらけの年になってますけど、10周年なんで新しく作ってきた曲を持ってきました。昨日できた新曲です」と語り、昨日完成したばかりだという新曲「明日を」をこれまたライブ初披露。どんなに傷ついても明日に向かって<心を振りほどいて/走りたい>という思いを込めたギターロックで熱量に満ち溢れたバンドサウンドを提示すると、2014年11月にライブ会場限定リリースがスタートした1stシングル「いくじなし」では、彪我がアコギに持ち替え、雅功と向き合って息を合わせた瞬間に会場から歓声が湧いた。
そして、この日のクライマックスは、ライブ初披露となった新曲「大好きだったあの子を嫌いになって」だろう。今年4月に行われた全国ツアー「さくらしめじ 桜TOUR 2024」でワンコーラスだけ披露していた楽曲で、彪我がコール&レスポンスで会場を盛り上げた流れで、<tulutu tulutu>というフレーズを歌い出すと、オーディエンスから歓喜の声が上がった。ステージに置かれた2つのミラーボールが眩い光を照らす中で、雅功はハンドマイクでステージを所狭しと動き回りながら歌うと、彪我はステージの中央で、跪きながらのギターソロを繰り出し、観客のボルテージは最高潮へと到達。さらに、バンドメンバーのソロ回しを経て、「わがままでいたい」で熱気が上昇し、「なるため」では右手を上げて、<WOW WOW>と歌っていた声が、やがて<そうだ 今日が僕たちのスタート>というフレーズでの大合唱となり、会場全体がポジティヴなムードで包まれた。
本編最後のMCでは雅功が「10周年と言われても不思議な感覚だったんですが、今日のライブを通して、確実に10年経ったんだなと感じました。それは、皆さんのおかげです」と感謝の気持ちを伝え、彪我に向かって「まだ22歳だからさ。次の話をしようよ。10年後、どうなっていたい?」と問いかけると、彪我は「ワールドツアー!」と即答。雅功は「世界のSakurasimejiになるってこと? ありだね」と同意し、「こうやって10年後の話ができるのも10年やってきたからで。この10年は確実に僕らの中で溜まって、形になっているんだなと感じました。これから先、何があるかわからないですけど、僕はステージの上で死にたいので、ずっと音楽は続けていきたいなと思っております。これからも、皆さんの生活のそばに僕らの歌があればいいなと思ってます」とこれからの目標を語り、10周年のお祝いの締めくくりとなる「さんきゅう」へ。2014年6月14日に「ガク&ヒョウガ」として結成した二人が初めて人前で歌った曲で、スクリーンには、同年11月24日に、日本青年館で開催された「EBiDAN39&KiDS 星男祭2014」にて、ユニット名が「ガク&ヒョウガ」から「さくらしめじ」となった当時のライブ映像が流された。画面の中にいる13歳のヒョウガが号泣しながら「さんきゅう」を歌っていたが、ステージにいる22歳の雅功が当時と同じように彪我の方を向いて<これからも一緒にいよう>と声を重ねると、ずっと耐えていた彪我の涙腺が崩壊。この日も号泣しながら最後のフレーズとなる<さんきゅう>と涙声で観客に伝え、感動的な雰囲気が広がる中で本編の幕は閉じた。
アンコールでは本編のラストナンバー「さんきゅう」を振り返り、雅功が「10年前より泣いてたね」と微笑むと、彪我は「やめろし! まじ悔しい」と肩を落としながらも、「10年前と同じ感情だった」と正直な気持ちを吐露。最後に雅功が「僕らの歴史を一緒に歩こうというテーマでやってきました。ターニングポイントになった曲を全部入れたんですが、もう1曲だけやれてない歌があります」と語り、客電がついた状態で、2人で前へ前へと止まらずに進んでいくという新たな決意を込めた「辛夷のつぼみ」を熱唱。<僕らはまだ歩けるよ>というラインが響き渡る中で煌びやかな銀テープが発射され、会場が華やかで清々しい空気で包まれるなか、ユニット結成からの10年間の軌跡を辿ったライブはエンディングを迎えた。
なお、終演後には、5つのニュースを発表。この日、初披露した新曲「明日を」は8月23日(金)に配信リリースされることが決定し、同曲を引っ提げた全国フリーライブツアーも開催。また、リリース日を境に<さくらしめじ>というアーティスト名の表記を<Sakurashimeji>に変更することをアナウンスし、8月23日より使用する新ロゴも発表。観客から驚きの声が上がる中で、さらに、リテイク企画「Sakurasimeji Classics」の実施と秋から全国ツアー「Sakurashimeji Live House Tour 2024」を開催することも発表すると場内は喜びと未来の期待に満ちた拍手が送られた。
<セットリスト>
M1. 青春の唄
M2. simple
M3. エンディング
M4. ひだりむね
M5. かぜいろのめろでぃー
M6. まよなかぴくにっく
M7. 天つ風
M8. 朝が来る前に
M9. きみでした
M10. はじまるきせつ
M11. ストーリーズ
M12. ただ君が
M13. 生きるよ
M14. My Sunshine
M15. 明日を
M16. いくじなし
M17. 大好きだったあの子を嫌いになって
M18. わがままでいたい
M19. なるため
M20. さんきゅう
EN1. 辛夷のつぼみ
写真:鈴木友莉
文:永堀アツオ