【窪塚愛流インタビュー】「北海道の寒さを感じて宗介になれました。自分と宗介が初めて重なったというか」全力で宗介に寄り添った18歳の冬。<映画「愛のゆくえ」>



映画『愛のゆくえ』に出演する窪塚愛流くんがEmo!miuに登場!

舞台は雪降り積もる北海道。14歳の少女・愛は母の由美と、幼なじみの宗介と共に暮らしていました。
しかし、ある日、ケンカをして家を飛び出した宗介を探している最中に由美が亡くなってしまいます。それをきっかけに愛は父に連れられて東京へ、宗介はそのまま北海道に残ることになり、ふたりは離れ離れに。
そんな愛と宗介のこれからは――?

今回、宗介役を演じた窪塚くん。作品についてたっぷりと語っていただいたほか、窪塚くん自身の「考え方」についてもお聞きしました!


愛と宗介に全力で寄り添おうという気持ちで演じました



■脚本を読んだときの第一印象はいかがでしたか?

窪塚愛流 読み終わったときはすごく不思議な感覚もあり、最後まで愛を探す物語でした。
宗介と愛の関係性や、脚本からだけではわからない部分がどのシーンにもあって、その疑問をたくさん膨らませたまま、監督にお会いしました。

当時、18歳でやるべき役なんだろうな、という運命的なものを感じてお受けしました。宮嶋(風花)監督とお話を重ねたことによって、より作品に対しての思いが膨らみました。

■監督とお話される中で印象的だったことはありますか?

窪塚 脚本に描かれていない、実際には多分公表されないであろう愛と宗介が生きてきた歴史、それぞれの年齢ごとにストーリーがあって、隅々まで監督が丁寧に描かれていることがすごく嬉しかったです。本当に脚本といただいた資料を肌身離さず持っていたので、自分なりのお芝居をしようというよりは、監督の思いだったり、プロデューサーさん、そして愛と宗介に全力で寄り添おうという気持ちで演じました。

北海道の寒さを感じてやっと宗介になれた



■映画を拝見して、難しい役だな、と感じました。

窪塚 すごく難しかったです。

■監督とお話された部分も大きかったと思うんですが、どんなふうに役には寄り添っていかれたんですか?

窪塚 監督とお話できたことは本当に有難いことで。
映画やドラマなどの作品って答えのないものですが、絶対に作品の中にヒントがあって……でもそれは最初からは分からないんです。だからこそ、監督の言葉は何よりも支えでした。

でも、それをただ聞いてそのまま演じるのではなくて、ちゃんと自分の中に落とし込んで、宗介と照らし合わせたときに自分が感じたことも大切にしようと思ったんです。
なので、とにかく脚本の世界感を大切にしたい、宗介に全力で寄り添いたい、ということで、まずストーリー全体を把握して、シーンの目的を理解して、いろいろと考えていました。ただ、北海道に行くまで地に足がついてない感じというか。

■まだ分からないことがあったような?

窪塚 というか、どれだけ考えても、正直、心から寄り添えない部分だったり、表層的だったんです。本当に宗介に寄り添えているのかな、考えられているのかな、ということを思いながら飛行機に乗ったのですが、北海道の寒さを感じてやっと宗介になれました。自分と宗介が初めて重なったというか。

ト書きで書かれていた景色だったり、雪や寒さとか、頭で考えていることがやっと体に追いついたような感覚でした。
本当に新千歳空港に着いたときに、初めて自分の感情と、思っていること、やりたいこと、宗介の思いがまとまった気がします。

考えを深め、作られた後半の演技



■後半で、宗介が驚く姿で登場します。前半から後半にかけて、どのように宗介の心の流れを作っていかれたんですか?

窪塚 やっぱり愛のためです。宗介は愛のことが本当に好きで、本当の家族よりも家族だと思っているぐらい。愛にすがっているような気持ちがあったとは思います。
そんな愛の大切なお母さんを傷つけてしまったのは自分だと思ったときに、宗介はものすごく考えてしまい……心が繊細な子なんだな、と。自分も最初は、どういう状況なんだろう、何が起こったのか、と考えていたんです。宗介を演じる日々が重なっていったときに、全て愛のためなんだろうな、と思いました。
今まで愛や、愛のお母さんに少し尖っていた部分も、反省を込めて多分あの姿だったんだと思います。あのときの宗介の気持ちは、愛に対しての最大限の「ごめんなさい」であり、宗介なりの背中の押し方、包み込み方というか、優しさなんじゃないかな、と。

■前半から後半にかけて、急激に宗介が大人になったような感覚もあったんですけど、ご自身でもそういったグラデーションは考えられたんですか。

窪塚 まだ自分の感情に素直になれない部分だったり、14歳にしかない魅力というものを前半では意識してお芝居をしていました。
でも、愛が北海道から東京に行っている間の宗介については脚本に書かれていなかったので、監督に相談をしたんです。いわゆる親にしてもらうようなことを自分でしていたんだと思います。そういうことを考えると、心の成長もありますし、愛と一緒にいなかった分、愛のことを考える日々もあったんだろうな、とか話し合って、あの落ち着きに至ったという感じです。

でもあの姿をしているときは、自分が宗介ということを自然と忘れられるぐらいに、愛に寄り添っていたというか。今、ふと思ったのですが、あの瞬間は宗介ではあるけど、宗介を演じている感覚がなかった。

■本当にあのシーンはすごかったです。

窪塚 宮嶋監督の映画の世界観だったり、どこを見ても真っ白な雪の世界でちょっと非現実的な感覚にもなりましたけど、演じていて面白かったです。

14歳のときは「オシャレに手を出し始めたころ」



■当時、18歳で14歳の役を演じるのはいかがでしたか? 14歳と18歳って子どもと大人みたいなところがあると思うんですけど。

窪塚 自分は割と身長が高い方なので、まずこれ14歳に見えるのかっていうところから不安に思いまして。
どれだけ演じてもやっぱり、おじさんが制服を着るような感覚というか。

■いやいやいやいや(笑)

窪塚 大げさに言うと、ですよ?(笑)
逆に言うと自分は14歳という宗介を演じられるのか、という年齢の壁にぶつかって。
そういう不安はあったのですが、完成された作品を観たときに、正直、自分の中でそこはあまり気にならなかったです。あのときは気にしすぎていたんだな、と思いました。
宗介を演じるときに自分を捨てて宗介になるという気持ちで演じていたので。そこは監督が0歳から14歳までの宗介の背景を細かく考えてくださったからこそ、だと思います。

■ちなみに窪塚さん自身はどんな14歳でしたか?

窪塚 オシャレに手を出し始めた頃です。友だち3人でドン・キホーテに香水やヘアワックスを買いに行って。身だしなみの手入れをし始めた時期でした。

■ちょっと大人になろうと思っていた頃?

窪塚 ですね。伊達眼鏡をかけたりとか。
それまでは家にあった服や、親からもらったものがほとんどだったので、自分で服屋さんに行ったりすることはなかったんです。ちょうど14歳のときに、ファッションに手を出し始めたのは、すごく印象的です。

家族は「思いやり」



■今回、家族のお話ということで、窪塚さんご自身にとって家族はどんな存在ですか?

窪塚 思いやりですね。1人1人、相手のことを思うからこそ成り立っている家族の構成だと思います。

■普段からそういうのを感じることが多い?

窪塚 僕は実の母と、新しい母とその娘、僕の妹になる女の子がいるのですが、あまりない家族の形だと思っていて。ほかとは違うけど、みんなが笑顔で過ごせているのはなんでだろう、と思ったときに、やはり思いやりがあるからだな、と。
そして、僕の家族は何事も幸せな方向に受け入れて進む家族の形だと思います。

■それもひとつは愛ですよね。

窪塚 そうですね。

自分が子どもっぽいと思う瞬間は?



■お話をお聞きしていると、本当に大人だな、と感じます。

窪塚 いや全然大人じゃないですよ、本当に(愛役の)長澤樹さんの方が10万倍大人です!

■そんなに!?自分も子供っぽいなと思うところあるんですか。

窪塚 長澤さんが隣に並ぶと、子供っぽいなって思います(笑)
子どもっぽいな、と思う瞬間って、自分のことをうまく表現できなかったり、自分のことを知らなかったり、自分がどういう人間なのかを一言で表せなかったとき。自分はまだ言葉が足りないんだな、と思います。20年生きているのに自分のことを全然知らないな、と思ったときに、自分の周りに目を向けすぎて、本当の意味でまだ自分と向き合えていなんだなって。

あとは自分のことを自分の言葉で、相手に伝えられないときにすごく後悔します。まだ子どもなんだなって思います。

■いま、自分を自分の言葉で表せるか、と考えたんですけど、できないです。

窪塚 やっぱり難しいですよね?



■それが子どもと大人の基準、ということがそもそもレベルの高い話をしていますよね。

窪塚 でもやっぱり人前でこうやってお話する職業をさせていただいているので、そういうこと考えてしまいます。

■常にどうやって自分を伝えようかっていうのは考えているんですか?

窪塚 ……もありますし、常に何かについて最近考えているんです。
自分がこれからどういう俳優になりたいのかとか、自分の夢を明確に、とか。今まで以上に悩んでいる気がします。今までは10代の風に乗って突き進んでいましたが、20歳になってから向かい風がすごくて。背中を押してくれる風とはまた違う、前から強い風が常に吹いていて、なかなか飛べないんです。

でも、渡り鳥は向かい風があるから飛べるということをある人から聞いて、確かにな、って思いました。向かい風も今の苦しみも、いつか自分が成長するために必要なんだなと思ったら、全然苦ではないです。

理想の大人は「遊び心を忘れず、自分の人生を謳歌して、冒険して……」



■少しお話にもありましたけど、20歳になられた今、10代を振り返ってみて、改めていかかですか。

窪塚 ものすごく楽しかったですね。
まだ20歳じゃん!って思われるかもしれますんが、10代のときは本当に、全部が楽しくて。もちろん今も楽しいのですが、無敵状態というか。何事にも負けない、頑丈なハートを持っていたはずなのに、20歳の大人の責任感を背負ったときに、いい意味でも悪い意味でも、自立しなきゃとか大人にならなきゃって焦っている自分もいます。

■現在進行形で焦っている?

窪塚 そうです。今まではどちらかと言うとあまり焦ってはいなかったんです。流れのままに身を任せて。
でも最近は流れのままに身を任せ過ぎちゃダメなんだと思っています。その流れを誰かが作るんじゃなくて自分で作らなきゃ、と思います。今、結構風に当たっています。



■何かきっかけがあったんですか?作品だとか人と話してとか。

窪塚 20歳の節目ということもありますが、2023年を振り返ると、嬉しい思いも幸せな気持ちもあったのですが、それと同じくらい悔しい思い、まだそれを克服できてない自分もいます。「もうちょっとここはこうできたな」とか思います。

あと、最近ふと思ったのが、僕の背中を押してくれている存在は妹なんだなって。
14年間一人っ子だったので、たまに自分が兄であることを忘れるんですよ。いま、独り暮らしをしているので会う機会は少ないのですが、たまに手紙を読んで自分がお兄ちゃんなんだというなことを思い出させてくれるんです。そのときはすごく元気が出ます。いつも支えられています。

■理想の大人像はあるんですか?

窪塚 遊び心を忘れず、人生を謳歌して、冒険して。本当に少し話しただけでも、その人の深さが溢れ出すというか。大人の色気を持って、かつ男性にも女性にも憧れられる、そんな男性になりたいです。

常に何か考えることを心掛けている



■2023年ドラマにたくさん出演されて、2024年は映画の公開も多く控えています。仕事に対する思いなど、変化したところはありますか。

窪塚 考えることが増えました。どう演じるかとか、作品が掲げているメッセージ性に自分はどの役割を務めるのかというところもですが、演じている自分に加えて、それを俯瞰で見るという能力が最近つきました。

あとひとつひとつのシーンの目的、あそして映画全体の目的をより丁寧に考えるようになりました。それを考え始めてから、わりと前より演じやすくなったり、気持ちが入るようになりました。

いろんな俳優さんとお芝居していく中で、常に良いものは勝手に盗もうとしています。また、あるワンシーンのなかで、そのセリフやト書きなど、脚本通りに動くだけではなく、そのシーンの前後の書かれていないところまで想像して、その役、もしくは窪塚愛流が演じているから確立した唯一無二のシーンであることも目指しています。昔より目指すことと考えることが多くなりました。



■日常生活でもお仕事のことだったり、ずっと何かしら考えてらっしゃるんですね。

窪塚 ずっと考えていないと、こういうときにお話ができなかったり、いざというときにすぐに引き出しから出せないという悔しさもあったんです。休みが続くときは1日ぐらい頭も心も休ませる日はありますが、最近は基本的に何でもいいので考えるようにしています。

■それも楽しくてやっている?

窪塚 楽しさも忘れず持つようにはしていますが、最近楽しさが勝てないときがあって。そのときは自分の幼さも痛感します。でも、無理やり楽しむのもな、って。だから、基本的には楽しいと思うようにはしています。

■ちなみに最近楽しみにしていることってありますか?

窪塚 ひとり暮らしなので人に会う機会がプライベートではないんです。もちろん家族や大切な人はたくさんいるのですが、やはり、友だちが自分の人生に欠かせないひとつの要素ではあるので、仕事終わりに5分でも10分でも地元の友達の誰かの声を聞くことがすごくリラックスに繋がります。

愛の美しさ、そして、儚さ、尊さが丁寧に描かれている作品



■最近心を揺り動かされたことはありますか。

窪塚 初詣に行ったときは自然と心が舞い上がりました。神社に行くと、体も心も清められ、自分の悪いものが全て抜けていく感覚がしたので、初詣は心が揺り動かされました。

■最後に改めて作品の見どころを教えてください。

窪塚 この作品は題名通り、「愛」の物語なんですけど、キラキラしているとか、青春群像とは違って、監督が経験されてきた感情を、本当にギュッと詰め込んだ作品だと思います。

宮島監督が作り出した独特の、現実なんだけどちょっと異世界の雰囲気が醸し出されていて、本当に魅力的で、愛の美しさ、そして、儚さ、尊さが丁寧に描かれている作品だと思います。

老若男女関係なく、多くの方々に観ていただきたいですし、この作品を観た方々がどのような感受性で、どのような思いでこの映画を受け取ってくださるのか、みなさんの感想もぜひとも聞かせていただきたいです。

■素敵なお話をありがとうございました!




【Movie】
coming soon…




★窪塚愛流 直筆サイン入りチェキを<2名様>にプレゼント★





\窪塚愛流インタビュー記念/


直筆サイン入りチェキ

Emo!miu読者<2名様>に豪華プレゼント♡


応募締切:2024年4月20日(土)


<応募条件>
Emo!miu公式X(@emo_miu)をフォロー&応募用投稿をRT!
OR
Emo!miu公式Instagram(@emomiu.jp)をフォロー&応募用投稿をいいね!
※X&Instagram両方からの応募もOK!!



[X応募方法]

① Emo!miu公式X(@emo_miu)をフォローする。

② プレゼント投稿をRPする。

③ インタビュー投稿をRPする。


[Instagram応募方法]
① Emo!miu公式Instagram(@emomiu.jp)をフォローする。
@emomiu.jp をフォローする
②応募用投稿をいいねする。


―PROFILE―




窪塚愛流

2003年10月3日生まれ。神奈川県出身。
2018年に豊田利晃監督の映画『泣き虫しょったんの奇跡』でスクリーンデビュー。2021年から本格的に俳優活動を開始、瑞々しくも躍動的な存在感を放ち、着実に出演作品を重ねている。
主な出演作に、映画『麻希のいる世界』(22/塩田明彦監督)、『少女は卒業しない』(23/中川駿監督)、『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(24/菅原伸太郎監督)など。ドラマでは「ネメシス」(NTV/21)、「あのときキスしておけば」(EX/21)、「この初恋はフィクションです」(TBS/21)、「ファイトソング」(TBS/22)、「神様のえこひいき」(Huluオリジナル/22)、「OTHELLO」(ABC/22)、「ばかやろうのキス」(NTV/22)、「差出人は、誰ですか?」(TBS/22)、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系/23)、「あたりのキッチン」(東海テレビ/23)など。5月17日には主演映画『ハピネス』(篠原哲雄監督)の公開も控えている。

[X] @airu_kubozuka
[Instagram] @airu_kubozuka

ヘアメイク:中山 八恵
スタイリスト:上野健太郎(KEN OFFICE)
<衣装クレジット>ジャケット¥154,000、シャツ(参考商品)、パンツ¥132,000/STELLA△McCARTNEY(ステラ マッカートニー カスタマーサービス(TEL:03-4579-6139)、シューズ¥15,400/Last Resort AB(DEARGUEST TEL:03-6452-6855)


―INFORMATION―
【映画『愛のゆくえ』】
全国順次公開中
出演:長澤 樹、窪塚愛流、林田麻里、兵頭功海、平田敦子、堀部圭亮、田中麗奈
監督/脚本/編集:宮嶋風花
映倫:PG12

[HP] https://ainoyukue.official-movie.com/
[X] @Where_LoveGoes

Ⓒ吉本興業

新着ニュース

Present

more