【佐藤大樹(FANTASTICS)インタビュー】作品への誠実さ・徹底的な役作りに脱帽!「原作を撮影の直前まで読んで」<ドラマストリーム「瓜を破る~一線を越えた、その先には」>
2024.2.20
TBSの深夜ドラマ枠・ドラマストリームで絶賛放送中の「瓜を破る〜一線を越えた、その先には」で、久住小春とともにW主演を務めている俳優【佐藤大樹】(EXILE/FANTASTICS)にインタビュー。
本作は、累計発行部数400万部を突破した板倉梓によるコミック「瓜を破る」が原作。誰にでも心当たりがありそうな、言葉にならない思いをあぶり出す現代のリアルな群像ラブストーリー。
佐藤は、この物語で、過去に夢にやぶれた経験があり、そのトラウマからどこか無気力に生きていたが、コピー機の修理でまい子と出会い成長していく男性【鍵谷千里】を丁寧に演じている。
インタビューでは、原作と台本を交互に読み、見た目から小さな仕草までこだわって演じているという鍵谷くんの役作りについて、さらに、2024年最初のドラマ作品ということで、2024年の抱負などたっぷり語っていただきました。取材中“コピー”という意外な鍵谷くんとの共通点を発見する場面も!?
誠実に役と作品と向き合う俳優【佐藤大樹】の2024年最初のインタビューをお届けします。
またドラマストリーム枠に戻ってこられたのは嬉しい
■ドラマ「瓜を破る」への出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
佐藤大樹 僕は原作がある作品のお話をいただいたときは、必ずその日のうちに原作を読むようにしているんですけど、ストーリーが面白かったので、これは絶対に演じたいなって思いました。
あと、最近大人な役が多かったんですけど、鍵谷くんはウブで人見知りな役だったので、そういったギャップを今回ビジュアルからも見せられたらいいなって思いつつ、撮影に入るのがすごく楽しみでした。
■ドラマストリーム枠に今度は主演として戻ってきたということで、同じドラマ枠にまた出演されるってすごいことですよね。(「理想のカレシ」にも出演。2022年5月31日~7月19日放送。)
佐藤 「理想のカレシ」が放送されていたとき、自分が思っていた以上の反響があって。ああいう子犬系というか年下系男子役に出会えて、自分の新たな引き出しが増えたなっていう感覚があったので、こんなに早くまたドラマストリーム枠に戻ってこられたのは嬉しいですね。
さらに今回は主演ということで、すごく嬉しいです。
多分このスパンでドラマストリーム枠に2回出た方はいないんじゃないかな?そういう意味でも嬉しかったですね。
■ドラマ「瓜を破る」への出演が決まってからの周囲の反響はいかがでしたか?
佐藤 まず、すごく嬉しかったのが自分のマネージャーさんがこの原作の大ファンだったことで。「私、読んでいます!」って喜んでくれました。
あと会社の方でも読んでいる方が多くて、そういう近い人からの反響が大きかったですし、やっぱりファンの方々も、今までにない役どころで楽しみっていう風に言ってくれている方もいて。
特に2ショットのビジュアルが解禁されたときに、原作のファンの方も喜んでくれている印象があったので、反響は大きかったなって思いますね。
自分と全然違う役だからこそ、OA(オンエア)を見るのがすごく楽しみ。
■鍵谷くんを演じる際に大事にされていることは?
佐藤 僕が演じる鍵谷くんは、過去に夢にやぶれたトラウマが理由で自信をなくしてしまって、それから人とコミュニケーションを取ることが苦手になってしまった青年なんですけど、とてもウブでかわいらしくて、この子の成長を見届けたいなって思ってもらえるような、すごく魅力的なキャラクターだなって思っています。
普段の僕とは真逆な性格のキャラクターだったので、役に入るために現場であまり喋らないように意識しました。でも、久住さんに誤解されたくなかったので、クランクインの日に「今回は役作りであまり喋らないですけど、全然人見知りとかではなくて、普段はもっと盛り上げるタイプなんです。この現場だけはすみません」って了承を得ました(笑)。
なるべく鍵谷くんでいた方がリアルに見えるんじゃないかなと思って、役作りとしてはそういうことをしましたね。
■今まで演じたことのない役ということで、不安などはなかったですか?
佐藤 ありましたね。大体ドラマが決まったらみんなで読み合わせをするんですけど、今回は時間がなくてすぐに撮影に入る感じだったので読み合わせなどもなく、少し不安だったんですけど、初日久住さんと一緒にお芝居をさせてもらったときに、きっと大丈夫だなって、不安は全部払拭できたので平気でした。
■特に鍵谷くんは、ご自身とは似ていない役ということでしたが、自分の中にない人物を演じることは、すごく難しそうですね。
佐藤 大変ですね。でもそういう普段の自分と違う方が演じている最中もすごく楽しいです。何よりOAを見るのが楽しいんですよね。
こういう映り方もできるんだとか、こういう声のトーンで喋れるんだっていう。改めて自分の引き出しを発見できるんですよ。だから今回も自分と全然違う役だからこそ、OAを見るのがすごく楽しみなんです。
長かった前髪をバッサリ切り、黒に染めて。ビジュアル面から役作り。
■原作があるからこそ意識して演じられたことはありますか?
佐藤 まず、ビジュアルから言うと鍵谷くんを演じる上で絶対にカツラは嫌だなって思ったんですよ。
絶対に地毛で鍵谷くんの髪型を表現したかったので、長かった前髪をバッサリ切り、黒に染めて鍵谷くんに近づけました。
■ビジュアル面からも、かなり役作りされたんですね。
佐藤 はい。あとは漫画の中でも好きなシーンがいくつもあって、それが台本に反映されているかなって、毎回ドキドキしていました。中でもとても好きだったまい子さんと一緒に部屋にいて「行ってらっしゃい」って言われて、手触れるっていう原作ですごく印象的なシーンの撮影では、直前まで現場に原作を持ち込んで、手の触れ方までしっかり研究していたんですけど、後から見たら、右左逆でやっていて…。
ものすごく後悔していて、そこだけ撮り直したいくらいです(笑)。でも、それぐらい常に原作を意識しながら演じています。
■セリフだけじゃなくて、ビジュアルや立ち振る舞いまで、原作をリスペクトして役作りされたんですね。
佐藤 そうですね。僕もいちファンとして、ドラマを見たときに、同じだって箇所が多い方が嬉しいかなと思ったので。
(完成したビジュアルを見たとき、)自分でもめちゃくちゃ鍵谷くんだって思って。
■ビジュアル面での反響は届いていますか?
佐藤 日頃から自分を知ってくださっている方からは、いつもと違うギャップが面白いと言ってくださる方もいますし、原作者の方のXのポストを見ていると原作ファンの方も喜んでくれている印象を受けたので、そこは良かったなって思いますね。
■ご自身で鍵谷に扮した役のビジュアルを見たとき、いかがでしたか?
佐藤 このドラマ絶対に良いものになるって思いましたね(笑)。
ビジュアルってすごく大事ですし、メイクさんにやってもらった後、実際にマスクをしたとき、自分でもめちゃくちゃ鍵谷くんだって思って、それがある意味自信に繋がっているかもしれないです。
■佐藤くんの俳優としての肩書に、カメレオン俳優が加わるんじゃないかなって思うくらいの役ですよね。
佐藤 確かにそれはあるかもしれないです。あと、同じ1月期で違うドラマにも出させてもらっていて。その役も鍵谷くんとも自分とも全く違うので、そういう意味では毎週違う僕を2回届けられるっていうのは、大きいかもしれないですね。
答え合わせとして、原作を何度も読む。「台本にこのシーンは原作の何ページって書き込んでいます」
■以前、原作のあるドラマ作品でインタビューを取らせていただいたときに、原作へのリスペクトを持ちつつ、容姿や喋り方も原作を参考にされるとお話をされていました。今回のお話を伺っていると、過去作品と比べても、特に原作に重点を置かれた作品なのかなと思ったのですが、いかがですか。
佐藤 本当にそうですね。めちゃくちゃ原作を読んだなっていうのはありますね。
原作を見れば、こういう表情をしているとかそのシーンの答えがあるんですよ。でも今回はなるべく自分の中で台本を読んで想像して、答え合わせ的な意味合いで原作を読むことが多かったですね。大体原作を読んで、あ、これかって思って真似るんですけど、今回はその逆で。
台本をもらってから原作を1回は読み直すんですけど、細かい表情までは覚えてないから、自分が鍵谷くんを演じる上で、この台本から得た表情はこれで合ってたかなっていう答え合わせとして、原作を何度も読むことが多いですね。
■先ほどの原作を持ち込むお話じゃないですけど、常に台本と漫画を交互に確認しながら演じられたんですね。
佐藤 そうですね、交互に読み続けましたね。
よくやることなんですけど、台本にこのシーンは原作の何ページって書き込んでいます。原作のある作品は全部ですね。
「コピー好きです」今でもコンビニで、自分で台本を刷っているんですよ。
■コピー機の修理をする職業の鍵谷くんを演じる上で、何かリサーチされたことはありますか?
佐藤 今までの作品だったら、大体自分が演じる役と同じ職業やそれに近い職業の人が、家族や周りにいたのでリサーチができたんですけど、今回はコピー機の修理をする仕事ということで、待てよ、と。
どう考えても周囲にこの職業の方はいなかったんですけど、現場で本当にコピー機の修理をしている方から習える時間があったので、そこは集中して気をつけなきゃいけない手順とか見せ方とか、いろんなお話をしながらリサーチしました。
でもやっぱり、原作と照らし合わせて鍵谷くんは膝を片方つくのか両方つくのかとか、職業というよりは鍵谷くんに寄せた方が大きかったですかね。
■コピー機自体は普段使いますか?
佐藤 コピー好きです、僕。
僕今でもコンビニの簡単ネットプリントで、自分で台本を刷っているんですよ。それぐらいコピー好きですね。
なんだよ、コピー好きですって(笑)。
「ちょっと瓜破っちゃってるんだよね」
■撮影中に印象に残っているエピソードはありますか?
佐藤 めっちゃ印象的だったエピソードがあって。最終的に2人の距離が一番近くなるシーンがあって、そのシーンを撮った後に、ほぼ出会いのシーンみたいな2人の距離感がまだ遠い初デートのシーンを撮ったんですね。そのときに監督が「カットカット、ちょっと瓜破っちゃってるんだよね」って(笑)。その表現の仕方がめちゃくちゃ面白くて、この一言は忘れられないです(笑)。
でも監督のおっしゃる通り、距離感を忘れるくらい濃厚な撮影をした後に、序盤のシーンを撮影したりするので、その時系列の行き来を考えながら撮影するのは結構大変ですね。
■ほかにも監督とお話されて印象に残っていることはありますか?
佐藤 僕は、台本をいただいたときに、原作を読んで印象に残っていたまい子さんと鍵谷くんのシーンがそのまま反映されていることがすごく嬉しかったです。
そのシーンも結構いろんなシーンを撮った後に撮影したんですけど、その距離感は監督と話しながら丁寧に撮りました。
久住さんはエネルギーを持っている方
■改めて久住さんと共演された感想と、演技面でどんな魅力を感じましたか?
佐藤 印象としては本当にとにかく明るくて、現場にいらっしゃるだけで、パーっとみんながやる気に満ち溢れていくようなエネルギーを持っている方だなって思いました。
あとやっぱりすごく根性があるなって。やっぱり芸能界で長きにわたって活動する上で、すごく必要なものなんだなって、改めて思いました。
お芝居としては、まい子さんって一見どこにでもいるような女性で、すごく共感できるような性格ではあるんですけど、実はそういう人ほど周囲に言えない悩みなどをたくさん抱えてしまうんじゃないかなって。そんな心にある悩みの部分を、ふとした瞬間の目の動きなどで、細かく意識しながら演じているんだろうなって、近くで見て思いましたね。
■ほかの共演者の方々の印象はいかがですか?
佐藤 僕は久住さん以外の方とのシーンがほぼないんですよ。すれ違いでご挨拶をすることはあったんですけど、あとは回想シーンで誰かに会うくらいで。だからちょっと寂しかったですね。
■今までの作品ではそういうことはなかったですか?
佐藤 なかったです。もしかしたら同じ人とのシーンしかないのは初めてかもしれないです。
共感できる箇所が多い。2人の成長と2人の距離がどこまで縮まるのかを見届けたい読者がたくさんいるんじゃないかなって思います。
■原作と台本ともにとても読み込まれている佐藤くんにお聞きしたいのですが、なぜこの作品はこんなにも多くの方から支持をされていると思いますか?
佐藤 多様性の時代だからこそ、いろんな悩みを抱えている登場人物にこういう悩みがあるんだとか、私もこういう経験があるって、共感できる箇所が多いのが大きいんじゃないかなと思います。その中でもまい子さんに共感する方が多いんだろうなって思います。
あと、ラブストーリーなんだけどラブストーリーじゃないような、絶妙なまい子さんと鍵谷くんの距離感もいいですよね。そういうリアルに共感できる部分が一番大きいんじゃないですかね。
あとは2人の成長と2人の距離がどこまで縮まるのかを見届けたい読者がたくさんいるんじゃないかなって思います。僕がこの企画をいただいたときと比べて、実写化が発表された後の漫画の発行部数が伸びていて、どんどん売れていてすごいなって。それくらいいろんな方が共感する作品なんだろうなって思います。
■原作を読んだときにグッと来たキャラクターはいますか?
佐藤 やっぱり自分が演じているからっていうのもあって、ずっと鍵谷くんのことしか見てなかったんです。もちろん他のキャラクターのことも好きなんですけど、やっぱり鍵谷くんかなぁ。
■撮影ではほかの登場人物にほぼほぼ会えてないってことですもんね。
佐藤 そうなんですよね(笑)。でも現場で石川瑠華さん演じる蓮を見たときにもうめちゃくちゃそのままだなって思いましたね。すごいキャスティングだなって。いちファンとして蓮のシーンが楽しみですね。
2024年はグループとしても個人としてもすごく大切な1年。すごくいい作品に出会えたなって思っています。
■2024年最初の作品ということで、佐藤くんの俳優人生において、ドラマ「瓜を破る」はどんな作品になりそうですか?
佐藤 すごく大切な作品です。
僕は、1月の行動で年内全部が決まるって毎年思っていて、1月が忙しければ忙しいほど年内ずっと忙しくなるというのが自分の中であって。何より誕生月でもあるので1月スタートの作品ということで、自分にとってのいい誕生日プレゼントになったなって思っています。
2024年というのは、グループとしても個人としてもすごく大切な1年なので、そういった意味での1作品目として、すごくいい作品に出会えたなって思っています。
■2024年の抱負はいかがですか?
佐藤 新年早々、いきなり1月期に2本の作品に出させてもらえるので、この勢いを止めずに、でも作品はやっぱり選びながら、今まで、培ってきたものを存分に活かせるような作品に出会いたいですし、コンスタントに1年を通して俳優業をしていきたいです。
何よりFANTASTICSとしての活動にも、すごく重きを置いている年なので、自分たちのヒット曲とか、誰もが口ずさめるような曲をこの1年でちゃんと手に入れることができたら、さらにブレイクできるなっていうのは思いますね。
全部を解決しようとしなくていい。
■最後に、この作品は登場人物が何かしら生きづらさを感じています。ファンの方を含め、世の中で同じように悩んでいる方へ向けて、メッセージをいただきたいです。
佐藤 実は自分が抱えている悩みって、そんなに重くないことが多いなってことに最近気づいて。生きづらい、苦しいってなったとき、深く考えすぎない方がいいし、変に自分を変えようとしない方がいいなと僕は思います。
周囲との違いや悩み、自分が今抱えていることも強みに変えて、生きていけるようなマインドが一番いいんじゃないかなと最近思うようになったので、言いたくなければ無理して周りに悩みを言わなくてもいいんだよ、自分を一番に考えてあげてって言ってあげたいですね。
うまく言えないんですけど、全部を解決しようとしなくていいと思います。
だから、深く考えすぎずに、ちょっとポジティブな気持ち、ラフな気持ちを意識して、悩んだときは、僕たちが勇気付づけてあげられると思うので、FANTASTICSの楽曲を聴いたり、ライブを観たりしてほしいです!
■インタビューは以上になります。素敵なお話ありがとうございました!
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佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)
1995年1月25日生まれ。埼玉県出身。
2011年〜2013年、GENERATIONSのサポートメンバーとして活動後、2014年「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」に合格しEXILEに加入、2016年よりFANTASTICSとしても活動。現在はEXILEおよびFANTASTICSのパフォーマーとして活動中。FANTASTICSではリーダーを務めている。
2012年より俳優としても活動中。代表作にドラマ・映画『HiGH&LOW』シリーズ(2016年〜)、ドラマ『liar』(2022年)、ドラマ『Sister』(2022年)、ドラマ『around 1/4』(2023年)、映画『ママレード・ボーイ』(2018年)、映画『センセイ君主』(2018年)、映画『小説の神様 君としか描けない物語』(2020年)などがある。
[Instagram] @taiki_sato_official
[Twitter] @taiki__official
―INFORMATION―
【TBSドラマストリーム「瓜を破る~一線を越えた、その先には」】
地上波放送時間:毎週火曜深夜24:58~25:28
(※一部地域を除く)
出演:久住小春、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、土村 芳、石川瑠華、泉澤祐希、酒井若菜
原作:板倉梓「瓜を破る」(板倉梓/芳文社刊)
脚本:おかざきさとこ、髙橋幹子
プロデューサー:田中美幸、岩上貴則
監督:坂下雄一郎、枝 優花
オープニングテーマ:ヤングスキニー 「恋は盲目」
エンディングテーマ:吉澤嘉代子 「涙の国」
※各話「Netflix」にて地上波放送の1週間前、毎週火曜00:00に先行有料配信(地上波放送後。地上波放送後「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信。
[HP] https://www.tbs.co.jp/uriwowaru_tbs/
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©『瓜を破る~一線を越えた、その先には』 製作委員会