【綾野剛×齋藤潤インタビュー】「エモい関係です」オーディションから見守った同じ(俳優)チームという感覚<映画「カラオケ行こ!」>
2024.2.10
1月12日(金)に公開となった、和山やまの人気マンガを映画化した『カラオケ行こ!』。原作は合唱部部長で変声期に悩む中学3年生(齋藤潤)が、突然歌が上手くなりたいヤクザ(綾野剛)にカラオケに誘われ、歌の指導を頼まれるという奇抜な設定と予想に反する展開で話題を呼人気となった作品で、公開後も絶賛の口コミが広がっており、今話題の映画のひとつであることは間違いなし!今作を主演した綾野剛さんと齋藤潤くんがEmo! miuに登場。まるで作品のなかのような、なんとも微笑ましいお2人のインタビューは必見です!
あの…本当に真剣なんですけど……
■オーディションを勝ち抜き、合唱部の部長で変声期に悩む岡聡実役に抜擢された齋藤潤くん。綾野さんはオーディションから見ていらっしゃると伺ったのですが、当時の印象は?
綾野剛 潤くん含め、最終審査に参加された方々は、美術や衣装も何も無い空間で、真摯にお芝居に向き合われ、その姿勢にただただ感動し、みなさんの情熱に惹きつけられました。その真摯さは、山下組と狂児を生きる上でも大切な感情だと、その姿を焼き付けようと向き合いました。まっさらな状態で一生懸命に覚えてきたセリフを自分のものにして、堂々とお芝居をされている10代のみなさん、本当に眩しかったです。オーディション後に、齋藤潤くんにお願いしようと結果を伝えられたときは、我々も目頭が熱くなっていました。ものづくりの原点に触れさせていただき、回帰できた瞬間でもありました。
■齋藤くんが綾野剛さんに初めて会ったときの印象は?
齋藤潤 オーディション会場ではじめてお会いしたんですが、そのときはいらっしゃるとは知らなくて、「アバランチ」や「オールドルーキー」を拝見させていただいていたので、生で初めて剛さんを見たときは、あの…本当に真剣なんですけど……。
綾野 うんうん。
齋藤 「新町さん(オールドルーキーで綾野さんが演じた役名)だ!羽生さんだ(アバランチで綾野さんが演じた役名)!!」と思いました。
綾野 嬉しいですね。
頭の中が真っ白になりすぎてセリフも飛んじゃったこともありました
■オーディションはいかがでしたか?
齋藤 オーディションは脚本家の野木さんや山下監督、剛さんなどいろんな方が見ていらっしゃって。僕自身、お芝居には正直自信がなかったんです。頭の中が真っ白になりすぎてセリフも飛んじゃったこともありました。1次審査のときより、もっと成長した自分を見せられたらいいなと思っていたので、最終オーディション前にはカラオケボックスにひとりでこもって練習したりもしていたので、選んでいただいたときはものすごく嬉しかったです。最初は信じられなかったんですけど、すごく嬉しかったのと同時にプレッシャーもその場で感じました。
関係性や距離感みたいなものは繊細に演じたつもりです
■演じる上で気をつけていたことがあったら教えてください!
齋藤 僕と岡聡実は共通点がたくさんあって、そこは自分と重ね合わせながら演じていきたいなと思っていました。聡実がいちばんいろんなキャラクターと関わっていきますし、物語りの中で思春期ということもあって、感情がぐちゃぐちゃになる場面も多かったので、そこは丁寧に考えて、関係性や距離感みたいなものは繊細に演じたつもりです。
■岡聡実と齋藤潤くんの共通点とは?
齋藤 聡実は合唱部の部長なのですが、変声期の中、ソロパートを歌う責任と僕がこの物語の主人公の1人を任せられているというプレッシャーや覚悟など、リンクするものがありました。
綾野 聡実くんと潤くんの成長がこの作品にとても大きな影響を与えてくれると感じ、監督を含め、現場全体が彼の魅力を映し出そう、描こうという想いが集結した現場でした。聡実くんの心の動きだけが明確になるようなお芝居をひとつひとつ丁寧に。
クランクイン前には、リハーサルも重ねました。それは完成させていくためのものではなく、どう完成させずに成立させられるか。役者は台本が入った状態で、自分たちの心を通して会話をします。それが噛み合っていくことで、成立したんじゃないかと体感を得る方法もありますが、狂児と聡実はヤクザと中学生なので、噛み合うはずがありません。原作では聡実くんの心の声が狂児と聡実の噛み合わなさ修復し、二人の間にできた“謎”を治癒しています。ですが、映画ではそうはいかない。そのどこまでも噛み合っていないところが、お麩みたいだな、と。台本のように最初は揺らぎなく固く安定し、現場に入るとお湯に入れたように柔らかく広がり原型を留めていない。一言で言えば”変体”なのですが、実際掴めていたものが掴めなくなる繊細な関係性を、維持し続けなくてはいけません。お麩は水分を吸うことで、元より大きく、柔らかくなっている。それがこの作品の、たおやかさに繋がっています。
階段をひとつ、確実に登ったということだと思う
■齋藤くんは撮影に入る前、入ってからはいかがでしたか?
齋藤 常に不安でしかなかったですね。お芝居の経験がないなかで、知識もなく、分からないまま無我夢中でやっていました。最初の頃、演じていて噛み合ったな、いいなと思ったことがあったんです。でも映像で見てみたら、なんか違うと感じて。だから僕は本当に正解がわからなく、何がいいのか分からないままでした。
齋藤 リハーサルのとき、先が見えなくなってしまって心が折れたことがありました。
綾野 心が折れたとは感じなかったですよ。むしろ階段を1つ1つ確実に上っているのだと感じました。
齋藤 何度もやっていくうちに、だんだん分からなくなってしまい、ダメかもしれないと思ってしまったことがあったんです。でも、リハーサルのときはもちろん、撮影でも剛さんがずっとそばにいてくださって、役者としてのモチベーションとか、いろんなことを話してくださって。剛さんをはじめ、山下監督にも感謝しかありません。
「ちょっと散歩でもしようか」って
■心が折れてしまったとき、どんな言葉をかけたんですか?
綾野 特別な言葉ではなく、ちょっと風に当たりに行くくらいですよ。「ちょっと散歩でもしようか」って。でも、外に出たら、撮影は12月だったので「ごめん、寒いね」って。なにより彼はあらゆることから一度も目を背けなかった。だから、僕からの特別な事はすでに必要ではありませんでした。
エモい関係
■かみあわないふたり、かみあってはいけない狂児と聡実の関係性についてはどう思いますか?
齋藤 聡実は映画のなかで、たくさんのキャラクターと関わっていくんですけど…。(沈黙)あれ?ちょっと分からなくなっちゃった。
綾野 分かる、その気持ち分かるよ。僕から先に話そうか。シンプルに、職業や立場など関係なしに、本当に優しい関係。これに尽きます。もっといえば、爽やかで対等な関係ですよね。その対等さが、誰にでも伝わる優しさに変化する。僕たちの日常生活においても大切なことだと思います。ありがとうも、ごめんねもさよならも言い合える素敵な関係です。
齋藤 剛さんのお話を聞いていて、本当にその通りだなと思っていました。見ている側の心が温かくなる、優しい関係だなと。すごくいい関係ですね、エモい関係です。
綾野 エモい関係! ぜひそれでお願いします。
リハーサルや撮影で会う度にハグしてくださいました
■綾野さんと齋藤さんの関係性もすごくよく、現場もこんな感じだったのかな?と伝わってきますね。
齋藤 リハーサルや撮影で会う度にハグしてくださいましたし、お芝居が終わった後に「よかったよ」と声をかけてくださって、疲れが一瞬で吹き飛んでいました。
綾野 (笑)
齋藤 すごく幸せな時間でした。
綾野 狂児と聡実を生きる上では、どうしても噛み合わない芝居をし続けなくてはならないので、撮影外では自分たちのパーソナルや、体温を感じられる距離感が大切だと感じました。撮影中は孤独です。だからせめて『一緒の船に乗っているよ』『僕も一緒に漕ぎ続けるからね』という想いを、伝えたかった。それが今回は“ハグ”という形になったのだと思います。
■綾野さんから見て齋藤くんはどんな子でした?
綾野 ひとりの役者として尊敬しています。あらゆることから目を背けず、さまざまな難関に立ち向かうその佇まいに感動し、眩しさが響いて、琴線に触れる部分がありました。今後も注目し続ける役者ですし、お互いに成長した姿でまた共演したいです。最近出演した映画『正欲』も本当に素晴らしかったです。役者という仕事に魅力を感じ、夢や目標を持って、それを叶えていく姿を変わらず見つめ続けたい。山下監督も「今後の齋藤潤の存在を見つめ続けていく証人のひとりになっていかないとね」とずっとおっしゃっていました。
齋藤 嬉しいですね。なんか…照れちゃいます。
■さきほど、狂児と聡実の関係が“エモい”とおっしゃってましたが、プライベートで最近、心ゆさぶれたこと、エモいなと思ったことはありますか?
綾野 クランクアップしたとき、潤くんが一言皆んなに向けて伝えた言葉が、忘れられません。この映画が、産声を上げた理由はここにあったのだと感じた瞬間でもありました。言葉と想いひとつひとつが美しくて。
齋藤 ものすごいプライベートな話なんですけど。アニメの「進撃の巨人」が完結したことを知って、最近、一気に観たんです。アニメってハッピーエンドや最後は報われるという作品が多いと思うんですけど、「進撃の巨人」はめちゃくちゃ儚くて。観ている側からすれば、こうくっついてほしいとかこういう流れになって欲しいとかあるんですけど、それをちゃんと裏切って離れてしまう…そんなところに心が揺さぶられました。
■たくさんのお話をありがとうございました!
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綾野剛
1982年生まれ。2003年デビュー。
近年のTVドラマ出演作には「MIU404」(2020)、「アバランチ」(2021)、「オールドルーキー」(2022)などがある。映画では『新宿スワン』シリーズ(2015、2017)、『楽園』(2019)、『ヤクザと家族 The Family』(2021)、『最後まで行く』(2023)、『花腐し』(2024)、『カラオケ行こ!』(現在公開中)などがある。
[Instagram] @go_ayano_official
齋藤 潤
2007年生まれ、神奈川県出身。16歳。
2019年デビュー以降「トリリオンゲーム」(23/TBS)、「生理のおじさんとその娘」(23/NHK)「猫カレ -少年を飼う-」(23/BSテレ東)ほか多数のテレビドラマに出演し、映画『正欲』(23)では磯村勇斗演じる青年の中学生時代を演じた。『カラオケ行こ!』では山下敦弘監督、野木亜紀子、綾野剛らが参加したオーディションを勝ち抜き、大役をつかんだ。
[X] @junsaito_14
[Instagram] @junsaito_14
―INFORMATION―
映画『カラオケ行こ!』
全国公開中
出演:綾野剛、齋藤潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、RED RICE(湘南乃風)、八木美樹、後聖人、井澤徹、岡部ひろき、米村亮太朗、坂井真紀、宮崎吐夢、ヒコロヒー、加藤雅也(友情出演)、北村一輝
原作:『カラオケ行こ!』和山やま(ビームコミックス)
監督:山下敦弘
脚本:野木亜紀子
主題歌:Little Glee Monster「紅」(Sony Music Labels Inc.)
[公式サイト] https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/
©2024『カラオケ行こ!』製作委員会 ©和山やま/KADOKAWA