小泉「げんじぶの夏、最後まで楽しんでいきましょう」!原因は自分にある。が自身初の全国ホールツアー『LIVE TOUR 2023 -G=ø-』を完走!



2次元と3次元を行き来する新時代の7人組ダンスボーカルグループ・原因は自分にある。が、初の全国ホールツアー【LIVE TOUR 2023 -G=ø-】を2023年8月9日(水)に大阪・オリックス劇場にて完遂した。

東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での3デイズに始まり、福岡市民会館、名古屋市公会堂と回った今回のツアーは、自身の未来を“φ=空集合”として捉えたツアータイトルが象徴する通り、“何にもとらわれない無限の可能性”を表現したものに。史上最多曲数のセットリストに未発表の新曲、夏メドレー、ソロダンス、公演替わりの企画に、前代未聞の仕掛けに演出と、彼ららしい“虚像”と“実像”を織り交ぜたステージで、11月の初アリーナ公演に向け大きな弾みをつけた。



今年1月に自身最大キャパシティとなるパシフィコ横浜での単独公演をソールドさせ、春には初の声出し公演を東阪のライブハウスで開催した原因は自分にある。(以下げんじぶ)。

“観測者”と呼ばれるファンたちとの絆を深めつつ、ダンス&ボーカルグループとして着実に積み上げてきたスキルと力量は、このツアーでも幕開けから存分に発揮されていった。7本のムービングライトが客席を照らし、ステージ上段に現れたメンバーが披露した1曲目は6月に発表された3rdシングル「Foxy Grape」。葡萄色のシックな衣装に身を包み、ギターが歪む気だるいロックサウンドに乗せて、夏を楽しむ人々への“羨望や嫉妬心”をシニカルな表情で魅せる姿は、常に矛盾と葛藤をはらむ“げんじぶ”の世界観ど真ん中だ。それでいてフロアを巧みに使ったダンスには匂い立つような大人っぽさも香り、少年と大人の狭間にある稀有な存在感を幕開けからアピールしていく。時計の音から続いた「無限シニシズム」でも、武藤潤や長野凌大のメロディックでありながら吐き出すようなボーカル、大倉空人と吉澤要人の殴り合うようなラップの応酬が、青春の只中にある若者の苛立ちを滲ませ、それは続く「黄昏よりも早く疾走れ」でエモーショナルに爆発。中でも“満たされないよ”と歌いながらニヤリと嗤う大倉のざらついたボーカルは圧倒的で、大人が強いる枠組みをブチ破ろうとする自我と覚悟を感じさせた。




“げんじぶ”特有とも言える思春期の惑い、諦め、苛立ち、渇望――それでも前へ突き進んでいくんだという強いエネルギーを序盤から叩きつけながら、以降、その視線はしっかりと観測者へ。4曲目の「嗜好に関する世論調査」では今ツアー用に新たなアレンジが盛り込まれ、曲中で公演ごとに異なる2択が出題されていった。例えば東京初日では“原因は自分である。で一番声が大きいのは大倉空人?武藤潤?”、2日目では“一番背が高いのは桜木雅哉?吉澤要人?”というクイズが出され、正しいと思うほうを観測者はコールで投票するという流れだ。ちなみに3日目は“レべチイケメンは小泉光咲?長野凌大?”というお題で、解答発表では本日は欠席の杢代和人の画像が大映しになる場面も。



そうして観測者を楽しませてからは、8月10日(木)に配信される完全未発表の新曲「鳴らして、シンバル」がお披露目された。軽快なサマーチューンで上着を脱ぎ、肩にかけてのジャケットプレイには場内から歓声があがって、“Na Na Na”という曲中の合唱も公演を重ねるごとに音量アップ。公演替わりの演出、さらにツアー発信の新曲は、大倉いわく「どの公演に来ても違う思い出ができるように」組まれたもので、そんな心遣いからも観測者への愛情がうかがえる。



そして「げんじぶの夏にふさわしい曲を持ってきました」と小泉が告げたのを皮切りに、このツアー限定のスペシャルな夏メドレーがスタート。波音に続いてLEDモニターに夕暮れのビーチが映し出され、長野が1人センターに進み出て歌い始めたのは「Up and Down」だ。真っ白な衣装に着替えた彼に小泉、武藤が加わって、黄昏色の照明のなか3人だけで丸々1番を歌い上げると、逆に2番では大倉、桜木、吉澤が歌唱を担当し、その頭上では1番を歌った3人が踊るという目くるめく構成は、観測者の目を楽しませるに十分。



一転「青、その他」でライトは青に変わり、大きな動きと明るいピアノサウンドで爽快な風を吹き込むが、その中に潜む“好きだった”を情感豊かなダンスで表していくのが切ない。さらに、紫のライトの下でアンニュイに揺れる「夜夏」から、花火の音が鳴って「夏のげんじぶ、まだまだお見せします!」と桜木が号令し、一気に「結末は次のトラフィックライト」でアッパーに展開。自問自答を繰り返す楽曲で“違いなんてあるのかな?”とサビ頭で問いかける最年少・桜木のピュア感が光り、赤がメンバーカラーの最年長・武藤が“まだ…赤い”と赤いライトが瞬くなかで締めくくる流れも美しい。最後に全員でステージ上段に上がるとモニター上に花火が打ちあがり、夕暮れから始まった物語はこうして華やかに幕を閉じた。



秘めたる三角関係をファルセットも交えて情緒たっぷりに歌い上げた「夏の二等辺大三角形」でも、それぞれの表情から逃げ場のないもどかしさが伝わって、着実な表現力の進化を証明。その上で、げんじぶらしい新たな挑戦が見られたのも、今ツアーの特筆すべき点だ。ステージ初披露となった3rdシングルのカップリング曲「余白のための瘡蓋狂想曲」では、左右のLEDモニターが静かに移動して1枚に繋がり、その後ろでパフォーマンスするメンバーを透過するという見たことのない仕掛けに客席はどよめき。“やるやる詐欺の嘘も方便”“結局どうしたいの?”といったげんじぶらしい哲学的な歌詞が高速で映し出され、一瞬たりとも休むことなく歌い踊るメンバーに被さる摩訶不思議な光景は、まさしく次元を行き来する“原因は自分にある。”の真骨頂と言えるだろう。さらに「OK、まだまだ盛り上がっていくぞ!」(大倉)とシームレスで「0to1の幻想」になだれ込めば、今度は眩いネオンカラーがLED上を席捲。げんじぶ随一のエレクトロダンスチューンで躍動するメンバーと融合して、カオティックな電脳空間を作り上げていく。

東京初日で「リハで終わったとたん倒れた」と小泉が告白したように、“シースルービジョン”なる新たな技術で踊り上げる2曲の運動量は半端なく、畳みかけるように今度は6人それぞれが個性的なソロダンスで魅せる痛快なダンストラックへ。壇上で、モニターの後ろで、その横でと、あちらこちらで踊るメンバーをLEDがそれぞれのイメージカラーで彩り、さらにメンバーのシルエットやダンス映像を映して、次元の狭間へと観る者をエスコートする。



だが、続く「放課後ギュッと」では、正真正銘のリアルなサプライズが待っていた。モニター上の映像内で「僕は今どこにいるでしょう?みんなに会いたくて客席に来ちゃいました!」と武藤が扉を開くと、なんとそこには3階席の観測者たちが!2階席には「皆さんのところにギュッとしに行くので楽しみにしていてください」と小泉も登場し、以降、薄いブルー&シルバーの衣装に着替えたメンバーが2階・3階席に代わる代わる現れ、端から端まで一人ひとりと目を見かわしていくのだから、観測者たちも狂喜するしかない。さらに「ネバーエンドロール」では全員で1階席へと降り、中央通路に一列に並んで客席を見上げ、会場全体に伸びやかな歌声を届けていく。LEDモニターをフル活用した“虚像”でげんじぶ特有の世界へと誘い、すかさず“実像”のコンタクトでオーディエンスを沸騰させるという展開は贅沢そのもの。ステージに戻ってセンターで肩を組む6人のみならず、観測者たちの顔にも満面の笑みを浮かばせた。



その後は公演ごとに変わる日替わり曲の披露も。東京の3公演だけを取っても、ジャズに乗って小粋にスイングする「J*O*K*E*R」、許されぬ愛をディープに綴る「豪雨」、甘くロマンティックな「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」と多彩で、結成から4年で広がった音楽的引き出しを実感させた。また、縦一列に並んだフォーメーションから“僕は何者なんだろうな”と自我を問ううち、無機質だった動きが熱を帯びていく「Mr.Android」、長野を筆頭にエモーショナルなサビ歌唱が印象的なラブソング「貴方に溺れて、僕は潤んで」と、架空の物語を描くナンバーを続けてからは、一気にノンフィクションへ。ピアノロックに哲学的な詞世界という彼らの個性を決定づけたデビュー曲「原因は自分にある。」を投下して、げんじぶのげんじぶたる所以を強烈にアピールすれば、サビでは満場のペンライトが客席から突き上がり、壮観すぎる景色を作り出す。そして、彼ら自身の物語を綴った壮大なナンバー「僕らの世界・物語」で刻んだのは、げんじぶの世界は観測者たちと作り上げるのだという決意。「げんじぶの夏、最後まで楽しんでいきましょう」と小泉が告げたラストソング「幽かな夜の夢」にしても、小泉や武藤を筆頭にドリーミングな歌唱で想いを向ける“君”は、きっと観測者のことに違いない。客席に向けて振りまかれるロマンティックな空気感から、そう確信することができた。



鳴りやまぬアンコールの声とクラップに応え、左右に開くLEDモニターから現れたメンバーが贈ったのは、これまたシングルのカップリング曲「GOD 釈迦にHip-Hop」。本ツアーでステージ初披露の完全新曲ながら、事前に公開されていた応援方法動画のおかげで客席のコールもバッチリで、バトルゲームのキャラクターのような動きに、場内から「可愛い!」の声がかかる。このツアーで初披露となった「鳴らして、シンバル」と「GOD 釈迦にHip-Hop」に関しては、東京公演のときから「最終日には一緒に盛り上がれるように、このツアーで育てていきたい」(大倉)と意気込みを表していたが、最終日を待たずしてしっかりと盛り上がっていたのは特筆すべきポイント。ラストの「原因は君にもある。」でも、イントロから湧く恒例のクラップに加え、「一緒に歌ってください!」と求める長野に応えて“ららら…”を観測者が大合唱。曲中では音を止めて観測者たちの歌声に耳を澄ませ、大倉は「誰一人置いてかないからね。俺らでテッペン目指そうぜ!」と思いの丈を叫ぶ。さらに最終日の大阪公演では、ここで「THE EMPATHY」を初披露。シングルのカップリング曲のうち、最後の最後まで取っておかれた爽やかなダンスチューンは、結成から4年という年月を歩いてきた彼ら自身のリアルを描くと同時に、互いに“EMPATHY=共感”して尽きせぬ夢へと挑む7人の背中を押すナンバーでもある。ツアー最終日だけのスペシャルに、これ以上ふさわしい楽曲もないだろう。



ツアー終了後、8月11日(金・祝)〜12日(土)には所属するEBiDANのアーティストが一堂に会する『EBiDAN THE LIVE UNIVERSE 2023』に出演し、その後はいよいよ初のアリーナ単独公演が控えている原因は自分にある。。11月5日(日)にぴあアリーナMMで開催される『因果律の逆転』について、桜木は「今までのライブで一番ハードな今回のツアーを成功させて、アリーナに向かいたい」とツアーの中で語り、大倉も「このツアーの熱をアリーナに繋げていきたい」と意気込んでいた。さらに、長野の口からは「僕たちがいろんなことを逆転する日」とも。その日、原因は自分にある。に、いったい何が起きるのか? 期待してしすぎることは、きっと無い。

〜セットリスト〜



M1.Foxy Grape
M2.無限シニシズム
M3.黄昏よりも早く疾走れ
M4.嗜好に関する世論調査
M5.鳴らして、シンバル
M7.〜Summer Inter〜
a.Up and Down
b.青、その他
c.夜夏
d.結末は次のトラフィックライト
e.夏の二等辺大三角形
f.余白のための瘡蓋狂想曲
g.0to1の幻想
〜Solo Dance Inter〜
M8.放課後ギュッと
M9.ネバーエンドロール
M10.〜日替わり曲〜

J*O*K*E*R(東京公演day1)
豪雨(東京公演day2)
シェイクスピアに学ぶ恋愛定理(東京公演day3)
魔法をかけて(福岡公演)
545(愛知公演)
以呂波 feat.fox capture plan(大阪公演)
M11.Mr.Android (feat. izki)
M12.貴方に溺れて、僕は潤んで。
M13.原因は自分にある。
M14.僕らの世界・物語
M15.幽かな夜の夢

EN1.GOD 釈迦にHip-Hop
EN2.原因は君にもある。
EN3.THE ENPATHY(大阪公演のみ)

photo:米山三郎、牧野孝彦、text:清水素子

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