「俺らの夏始まったばかりだけど、ついて来れる人!」SUPER★DRAGON(スパドラ)、3回目となる「SUMMER STATION 音楽LIVE」を熱狂の渦に!<ライブレポ>
2023.7.24
今年3月に自身最大キャパシティとなるパシフィコ横浜でのワンマン、その後に全国ホールツアーと、精力的なライブ活動でアーティストとしての存在感を増す9人組ミクスチャーユニット・SUPER★DRAGON(スパドラ)が、2023年7月23日(日)【SUMMER STATION 音楽LIVE】に登場した。
毎年夏にテレビ朝日が主催する『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION』の一環として、約1ヶ月のイベント期間中、六本木ヒルズアリーナに日替わりで人気アーティストが出演する本イベントは、コロナ禍を経て4年ぶりの声出し解禁&スタンディング開催に。8月にはマレーシアでの初海外ライブ等、数々のステージを控えるSUPER★DRAGONにとっても、この日が夏のイベント1発目ということで、夏の屋外に“あえて”のフォーマルな衣装を身に着け意気込み十分。3月にリリースした最新アルバム『mirror』の収録曲や、ホールツアーでお披露目した新曲を中心に、派生ユニット曲など自身の武器を満載しながらスパドラの“夏”を熱く燃え立たせるメニューで、集まったBLUE(SUPER★DRAGONファンの呼称)を熱狂の渦に叩き込んだ。
舞台裏から気合入れの声が響き、白いシャツに黒のジャケット&タイという出で立ちで現れた9人が投下したのは、アルバム『mirror』でも幕開けを飾る「Are U Ready?」。真夏のイベントでの予想を覆す姿に湧く大歓声をものともせず、肩の力が抜けたラフな空気感を醸しながら、確かな意志の籠ったラップ&ボーカルとシンクロ率の高いダンスで、歌詞にある通り“竜の沼”へとBLUEをさらっていく。続く「Pioneer(Keep It Real)」では、楽曲のアンニュイな表情が場内に吹き込む夏の夜風と甘いコラボレーションを果たし、田中洸希&池田彪馬の悩ましげなボーカルから松村和哉のラップへと弾ける流れには感嘆の声が。さらに「僕たちがSUPER★DRAGONです。ラストまで楽しんでいきましょう!」(ジャン海渡)と始まった「Don’t Turn It Down」では、二手に分かれたメンバーが横長のステージを左右に行きかって、大人のグルーヴでBLUEのテンションをジワジワとあげていく。スタイリッシュなビジュアルで、いつにも増してアダルトで粋な香りを醸す9人に、BLUEが振り上げる青に光るライトスティックも勢いを増すばかりだ。
またSUPER★DRAGONといえば、志村玲於、古川毅、ジャン海渡、飯島颯の年長4人によるファイヤードラゴンに、伊藤壮吾、田中洸希、池田彪馬、松村和哉、柴崎楽の年少5人によるサンダードラゴン等、派生ユニットでの活動も見どころ。直前のホールツアーでは新たな組み合わせの楽曲も次々お披露目されたが、この日もその中から数曲が贈られた。まずは『タモリ倶楽部』の鉄道ファンクラブでもおなじみの鉄オタ・伊藤壮吾による車掌アナウンスから、志村玲於、飯島颯、柴崎楽が加わってのお祭りソング「SAWAGE!!!!」が始まると、客席はまさしく祭りの様相に。ダンサーとして普段はダンスに専念している4人だけでマイクを取る初めての楽曲には、4人の趣味や口癖が巧みに盛り込まれ、神輿代わりに担ぎ上げられる飯島やイナバウアーさながらの背筋を見せる柴崎に喝采が湧く。ここぞとばかりにカメラに迫り、ラップを放ってイキイキと歌い踊り、騒ぐ4人に、未だ音源化されていない新曲にもかかわらず“SAWAGE!!!! SAWAGE!!!!”とコールが湧くのは驚異的。4人の動きに合わせて腕を振り上げるBLUEの顔には喜びの笑みがはじけ、この夏の鉄板曲になる予感を抱かせた。
そこからは年齢別ユニットの曲が続き、サンダードラゴンが年上女性への恋情を綴る「Bad Bitter Honey」では、田中のウィスパーや松村のローボイスが艶めいて胸に迫る。ファイヤードラゴンの「Aim so High」では洗練されたパフォーマンスが光り、指先まで神経の行き届いたダンスの緻密な躍動感には一瞬たりとも目が離せず、再登場したサンダードラゴンのメンバーが、思わず「カッコよかったです!」と賞賛したのも納得だ。
MCではライブ前にメタバース上で行ったスペシャルトークショーでの公約に従って、“ウキウキ”の動きを田中や松村が繰り出す一幕も。そして「まだまだ攻めたストーリーで」とジャンが告げれば、「Summer Breeze」に「City Noise」と憂いあるナンバーでひと夏の恋を綴り、メランコリックな切なさを香らせる。中でも物語を牽引する古川と池田のボーカルは抜けるように伸びやかで、古川が“導いてよサマステ!”と歌詞を歌い替える場面もあった。さらに、ジャンの英詞ラップが小粋さを際立たせる「Hey, Girl」と、飯島いわく「暑いからこそのチルでエモい曲」を畳みかけてBLUEを悩殺。2019年、2022年に続く3回目のサマステ出演となるスパドラだが、歓声ありのサマステは久々とのことで、BLUEに劣らずメンバーのテンションも高い。
クライマックスに向け「最後までカマせますか?最高の夜、作ろうぜ!」という古川の号令からは、アルバムリード曲「Revolution」を投下。壮大なオーケストレーションにダンスミュージックを融合させたこだわりのナンバーで、エネルギッシュかつシアトリカルに躍動し、覚悟に満ちた超ハイトーンボーカルでタイトル通り“革命”の狼煙をあげていく。と、今度は“求愛”を意味するサマーソング「So Woo」で情熱的にアプローチ。レンジが広く緩急の利いた多彩なボーカル&ラップに田中の自信に満ちたヒューマンビートボックスと、豊かなミュージシャンシップを詰め込んだファンクチューンから、トドメとばかり「最後までブチ上がっていこうぜ」と叩きつけたのはロックなスパドラだ。「Mada’ Mada’」でステージいっぱいに広がってBLUEを煽り立て、沸き立つ場内に思わず古川も「サマステ最高です!」と呟きを漏らす。
そして曲が終わるなり、飯島と池田の背中を土台に古川が乗り上がって朗々と声をあげ、「Tap tap tap!」を幕開けるダイナミックな展開には客席も騒然。フォーメーション移動を繰り返しながら豪快かつ軽快に足を踏み鳴らしてBLUEを揺らすロック曲は、アルバム収録の新曲ながら新たな鉄板曲へと育つポテンシャル十分だ。
そこからライブを爽快に締めくくったのは、6月末に配信リリースされたばかりの最新曲「Reach the sky」。夜空に向かって高らかに歌声を届け、タオルを振りたくる9人に、BLUEも一斉にライトスティックを掲げて熱い一体感を作り上げていった。この夏のスパドラは各種イベントライブに、9月末にはスペシャル公演『DRA FES』を開催。通常のライブとは異なる彼らが見られるステージが2年ぶりに返ってくるとのことで、「俺らの夏始まったばかりだけど、ついて来れる人!」と問うた古川に、満場の青い光がYESを返したのも当然だろう。この夏、BLUEの“お楽しみ”は、まだまだ終わることがない。