本郷奏多 ドラマ「あおざくら 防衛大学校物語」インタビュー
2019.11.7
漫画原作の実写化といえば彼。『GANTZ』『進撃の巨人』『鋼の錬金術師』『キングダム』『Diner ダイナー』など人気漫画の実写化作品に多く出演し、そのたび圧倒的な再現度で話題の本郷奏多にインタビュー。
今秋から放送中のドラマ「あおざくら 防衛大学校物語」(原作:週刊少年サンデー(二階堂ヒカル著)連載中)では、規律の厳しい防衛大学校生活を通して、仲間たちと共に成長していく青年・近藤勇美を演じています。
本インタビューでは、筋肉痛になったという過酷な訓練シーンについて、青春を共に過ごした仲間たちにみせるプライベートな素顔、役者業へ対する知られざる想いなど、パーソナルな部分まで伺いました。
僕が今までやってきた現場の中でもトップクラスにハードな現場だった
■出演が決まった時の想い。
本郷奏多(以下 本郷) 自衛隊の幹部自衛官を育てる防衛大学校が舞台のお話なので、とにかく体力的にもきついことを沢山やるんだろうなと不安でした。でも、その分共演者の若い子たちと仲良くなれたと思いますし、みんなと一緒にやれて楽しかったですね。
■具体的にどんなことが体力的に辛かったですか?
本郷 上級生たちに、「お前ら何々がなってない腕立て30回だ!」「スクワット何十回だ!」「話は空気椅子で聞け!」と言われて、腕立てや空気椅子をする過酷なシーンが毎日のようにあったので、それが大変でした。筋肉痛になりながらやっていました。
■体力的にきつい撮影が続いたということですが、撮影前に体を鍛えたりしましたか?
本郷 それも思ったんですけど、入学して数日間を基本描いていて、一年生の役だったので、鍛えない方がリアルでいいのかなと思い、やらなかったですね。
なので、撮影中は実際に筋肉痛になりながら、みんなでヒーヒー言いながらやっていました(笑)。
■体力面以外にはどんなことが辛かったですか?
本郷 結構タイトに撮っていたので、スケジュール的にきつかったです。僕の演じている近藤という役はほぼ全シーンに出ているようなキャラクターだったのでなかなかハードな撮影期間でした。
■では、精神的にも肉体的にも鍛えられ、防衛大を体現したような感じだったんですね。
本郷 もちろん防衛大の方が大変だと思いますが、僕が今までやってきた現場の中でもトップクラスにハードな現場だったと思います。
■空気椅子のシーンは長回しだったとお聞きしました。
本郷 はい。みんな限界を超えて空気椅子をしてました。
なので、みんなリアルにつらさが表情に出ているんじゃないかなと思います。
■そんなきつい体勢の中、近藤は結構セリフがありますよね。
本郷 確かに。腕立ての体勢で、セリフを言うのはなかなか大変でした。みんなのためにも間違えられないですし。自分が間違えたらどうしようってみんなも緊張していましたね。
■近藤はどんな性格だと思いますか?
本郷 勉強が好きな変人とか、お金が好きなドライな人って面もあるんですが、基本的には仲間想いのいいやつだなって僕は思っていて、まっすぐな男の子だと思います。
自分の意志で(防衛大に)入ったのなら続けさせます
■撮影するにあたって、みなさん防衛大学校に実際に見学に行かれたと伺ったのですが、本郷さんも行かれましたか?
本郷 残念ながら僕はどうしてもスケジュールが合わなくて行けなかったんですよ。凄く行きたかったです。防衛大に行ったみんなは飛行機を見たり、その時水泳大会をやっていたみたいで、応援の野太い声が凄かったとか言っていて、見たかったなって。
でも撮影中は、防衛大を卒業された方が指導についてくださっていたので、その方から防衛大のお話やいろいろな所作を教えていただきました。
■指導の中で一番印象に残っていることは?
本郷 とにかく色々なことに、凄く細かくルールがあって。敬礼1つとっても、ここは一直線で、掌が相手に見えないようにとか。上官に対しては、相手が手を下げるまではさげちゃいけないとか細かいルールがめちゃめちゃ多かったですね。「足の角度は60度だ。君はそれは65度だね。だめだよ」みたいな感じで指導していただいたり(笑)。
実際に防衛大ではそういう風に言われるんでしょうし、面白いなって思いながらお話を聞いていました。
■自分が防衛大に入ったとしたら、続くと思いますか?
本郷 自分の意志で入ったのなら続けさせます。無理やり入れられたらすぐに脱柵すると思いますけど(笑)。
■ちなみに本郷さんサバゲ―とかお好きですよね。自衛隊にも興味があったり?
本郷 あまりないかな。でも同じ格好の人が銃を持ってズラって並んでいたらかっこいいなと思いますし、飛行機や戦闘機を見たらかっこいいなとは思います。
今も遊ぶのは青春を共にした大学時代の友人達
■本郷さんは、どんな青春を送られましたか?
本郷 僕は体育会系のノリはあまりやったことがなくて、部活もやっていなかったんですけど、友達はいっぱいいましたね。大学時代には友達と自主制作で映画を作ったり、その時が一番青春だったなって思いますね。
■今もそのお友達とは会われているんですか?
本郷 いまだにずっと、遊ぶのはその大学時代の友人達ですね。
■同じ業界にいる方も?
本郷 結構同じ業界の人間が多いです。カメラマンや照明だったり。
以前、写真集の撮影を大学時代の一番仲良くて尊敬しているカメラマンにお願いしましたね。あと、新しい作品に入るといつも同じ現場に友人が照明で入ってたりとか。そういうのが結構ありますね。
■友達が働いている前で演技するのが少し恥ずかしいなって思うことは?
本郷 そういうのはないですね。お互いにプロなので。むしろアイツも頑張ってるなってお互いに思っていると思います。
■同じ現場だなっていうのは、その場で初めて気が付くんですか?
本郷 いや結構早い段階で言いますね。「秋口にこの話きてない?」って(笑)。
■ずっと仲がいいということは何かご自身に共通するところがあるからなのかなと思うのですが、大学時代のお友達とはどんなところが合うのでしょうか?
本郷 みんなクリエイティブな意識が高いからですかね。一緒に遊んでいてもただダラダラゲームをするとかではなく、映像を作ったり、音楽を作ったり、みんなでものを作りながら遊んでいるんですよ。そういう思考がみんな近いのかなって。
あとみんな全てにおいて、ストイックというか全力です。例えば、僕の仲間は絶対に一秒たりとも遅刻しないですし、遊びであってもこの時間って決めたら絶対に守るだとか。そういう意識が高いところがみんなの好きなところです。
■最近は仲間たちとどんな映像作品や音楽作品を作られたんですか?
本郷 仲間と内輪で遊びでやっているのが楽しいので絶対に世の中には出てこないですけど、「勝手に○○の主題歌を本気で作ってみた」的なものをやってみたり。音楽をやっている友達もいるので結構素晴らしいものができるんですよ。そういう本気で遊びをするっていうのが面白いですね。
遊びであっても時間は絶対に守る
■少し話が戻るのですが、先ほどの絶対に時間を守るストイックメンバーは何人?
本郷 6~7人でいつも一緒にいますね。仕事は時間が守れるのに遊びで時間が守れない人ってマジなんなんだろうなって思うんですよ。遅刻するのは失礼だと思うので、相手へ対する最低限の敬意ですよね。
■ちなみに、本郷さんは待ち合わせの何分前までについてます?
本郷 僕は人を待つのも待たれるのも嫌いなので、待ち合わせの2、3分前につくようにいきますね。オンタイムが好きというか。遅刻しないように30分前に出ようとするとダラダラして逆に時間が無駄になってしまうので、だったらデットラインをしっかり設けて、この時間に出れば間に合うなどしっかり決めてから行動したいですね。
■でも電車って遅延したりするじゃないですか。そういう時は?
本郷 それは言い訳にならないので、万が一遅れてしまった場合は素直にごめんなさいですね。
■そういったきっちりした性格が俳優業に役立っているなって思う瞬間はありますか?
本郷 何に対してもしっかり準備をしていきますね。大体ではいかないかな。役に対しても、翌日の撮影に対しても。
■規律の厳しい防衛大と、きっちりとした本郷さん。そういった意味では、防衛大の環境と本郷さんの考え方で共通する部分があるのでしょうか。
本郷 ですね。防衛大はめちゃめちゃ素敵だと思います。時間はきっかり、ルールはしっかり守る。凄くいいと思いますね。
■罰として腕立てがあってもOK?
本郷 この作品の中のああいう腕立ては半分理不尽な面があるので、そこは自分だったらむかつくと思いますけど、ミスをして罰を受けるのは正しいと思います。連帯責任で仲間がミスをしてみんなで罰を受けるのも正しいと思いますし。防衛大に行ってみたかったなって思うくらいに魅力的です。
■理不尽を覚えるために理不尽な訓練をさせるんだってシーンもありましたよね。
本郷 でもあれは少し屁理屈っぽいですよね(笑)。
■あれだけ厳しい訓練だと癒しの時間も欲しくなると思います。ちなみに、本郷さんにとっての癒しの時間はどんな時ですか?
本郷 友達と一緒にいるときが一番楽しいですね。いつもの仲間といる時が一番リラックスしています。
学校の休み時間みたいな現場
■年下の男性キャストが多い現場だったと思うのですが、撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか?ちなみに本郷さんはお兄さん的な立場でしたか?
本郷 お芝居の経験値は割と長い子がいなかったので、子供たちが元気にはしゃいでいるなってめでるような目線で見てました(笑)。控室でいろんな話をしたり、学校の休み時間みたいな現場でした。
■主要キャストはそのままで、ドラマに加えて来年の春には舞台化されるということで、ドラマからの舞台の流れを聞いた時いかがでしたか。
本郷 舞台ではどの辺りをやるのかなどまだ何も聞けていないんですけど、撮影に入る前からドラマと舞台両方やることは知っていたので、ドラマだけじゃなくて舞台も一緒だって認知の上での撮影だったので、みんなとの仲間感みたいなものは最初から意識としてあった感じはしましたね。しばらく一緒に頑張っていく仲間なんだなって。なので、僕も積極的にコミュニケーションを取るように心がけていましたし、その分ドラマでも舞台でも一体感を出せるんじゃないかなって思います。
共演者は仲間であり、ライバル
■今後、その大学時代の仲間たちが集まって本郷さんが監督したりとかはないですか?俳優さんが監督をするとかもあるじゃないですか。
本郷 現段階では監督業はしないかな。数年後に考え方は変わっているかもしれないですが、今の自分の中では確率0パーセントですね。
監督をやってしまうと他人の芝居が気になってしまいそうなので、踏み入れてはいけないのかなと思っています。他人の芝居に口出しをすることは役者である以上やってはいけない行為だと思っているのですが、監督目線が自分の中に一つ入ってしまうと自分がプレイヤーとして出た時に、監督に言われたことに対して、「いやでもこっちの方がいいよな」とか、共演者に対して「そのテンポでセリフ出すなよ」とか言いたくなってしまうと思うんです。なので僕はあくまで一人のプレイヤーとして、俳優をやっていきたいです。
■謙虚な姿勢が素敵です。
本郷 謙虚で自分の仕事を一生懸命にやらないとお仕事をいただけないので。
■その謙虚なお気持ちはいつから?
本郷 割と長いことやっていろんな人を見てきているからですかね。思春期の頃は生意気な時期もあったんですけど、自分が好きで選んだ仕事だし、もうこれをやめたら自分には何もできることはないと思っているので、仕事をいただけるように頑張っていくだけだなって常々思っています。
■今までのキャリアの中で、この経験が今の俳優人生にいきているな。など大きな転機は?
本郷 これっていう転機はないですけど、中高くらいでどんどん大きな映画に大きな役で出させていただくようになって徐々に徐々にって感じですかね。だからもう二十歳になる前には自分の考え方の9割以上は出来上がっていたと思います。
■お若い時から大きな作品に出ている本郷さんですが、すっと謙虚でいられるのはなぜだと思いますか?
本郷 お金を稼がないといけないと思ったからですかね。仕事がなくなったら困りますからね。顔が表に出ているので、普通の仕事はできないですし、だからやればやるほどやめづらくなっていくんですよね。やるしかないです。(笑)
■結果的に好きだから続けているわけじゃないですか。いつこの仕事好きだなって思われたんですか?
本郷 やりがいがめちゃくちゃありますね。自分が一生懸命にやった作品を、凄く多くの人に観てもらえますし、カメラがまわっている間は、先輩後輩なく、横並びの実力社会というか。共演者は仲間であり、ライバルでもあるというのも凄く好きですね。それに、自分がそこで結果を出さなかったら、次仕事がもらえないという部分では惰性でやらなくていいので、そこも楽しいです。やりがいがあります。
■ありがとうございました。
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本郷奏多/KANATA HONGO
1990年11月15日生まれ。宮城県出身。
2002年公開の映画『リターナー』で俳優デビュー。2019年は、映画『凜 ―りん―』『キングダム』『Diner ダイナー』と話題ヒット作に立て続けに出演。
ーINFORMATIONー
ドラマ「あおざくら防衛大学校物語」
MBSドラマ特区枠にて、毎週木曜深夜0:59~放送中。
TVer、MBS動画イズム、dTVでも配信!
防衛大学校を舞台に描く、熱い男たちの青春物語。
<あらすじ>
主人公の近藤勇美(高校3年)は成績優秀だが、実家の経済的事情から進路の選択を迫られる。そんなある日、入学金・学費が免除される上、毎月手当が出るという防衛大学校を知り、同校への進学を志望する。
高校を卒業して防衛大に着校した近藤は、対番を務めることになった松平容介や、それぞれ様々な目標を持つ沖田蒼司、原田忠、武井寅明といった仲間と出会い、新たな生活の一歩を踏み出すが、入校式を終えると部屋長の坂木龍也やサブ部屋長の西脇鷹史をはじめ上級生たちの態度は激変し、厳しい指導が始まる。
そんな防衛大生活を、仲間たちと共に、時に苦しみ、時に喜び、成長していく疾風怒濤の青春物語である。
<出演>本郷奏多、結木滉星、小澤 廉、小園凌央、伊阪達也、狩野健斗/高崎翔太 ほか
<監督>平林克理、<脚本>吉田恵里香、宮本武史、<企画>エイベックス・ピクチャーズ株式会社
©「あおざくら防衛大学校物語」製作委員会・MBS