【板垣李光人インタビュー】自身が演じたアサヒに共感「僕のことを好いてくれる人もいれば、そうでない人もいる。でも“できることなら多くの人に愛されたい”という気持ちは誰もが持つもの」<映画『ミーツ・ザ・ワールド』>



歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛しながらも、自分のことは好きになれない27歳の主人公・三ツ橋由嘉里(杉咲花)が新たな世界と出会っていく姿を描いた映画『ミーツ・ザ・ワールド』が全国公開中。

原作は、第35回柴田錬三郎賞を受賞した金原ひとみさんの同名小説。既婚者でありながら“不特定多数から愛されたい”と願うホスト・アサヒ役を演じた板垣李光人さんが、Emo!miuに登場です!



“否定も肯定もせず、ただ許す”感じがすごくいい

■原作、台本を読まれた感想は?

板垣李光人(以下、板垣) 金原さんの作品は、常に“死”や“希死念慮”がテーマとして扱われている印象がありますが、今回もまさしくそうでした。物語の冒頭から鹿野ライ(南琴奈)が「死ぬ」と宣言するんです。一般的には不謹慎とされる言葉ですが、結局は誰もが死を迎える。そこを正面から描くことができるのが金原さんの魅力だと思いました。

以前TV番組で金原さんとご一緒したことがあるんですが、ユキ(蒼井優)は金原さんのようだなと思いながら読み進めていて、頭の中で金原さんの姿で再生されていました。

舞台は歌舞伎町という限られた世界。でもそこにいる人々はそれぞれに不幸せや不条理を抱えている。物語は彼らを救い上げるわけではなく、解決策を提示するでもない。ただ核に触れるだけで、救われる人や安心できる人がきっといる。その“否定も肯定もせず、ただ許す”という感じがいいなと思いました。



■演じられたアサヒはどんな役?

板垣 金原さんがインタビューで「歌舞伎町で声を掛けられたホストをモデルにした」と語っていて、その方がとても寂しそうだったと伺いました。だからアサヒの核には“寂しさ”があると感じたんです。

ホストという未知の世界を理解するため、実際にホストクラブに行き、営業中の様子を見学させて頂きました。みなさん明るく個性豊かですが、毎日違う相手に笑顔を向け続ける。その外側に“寂しさ”があると同時に、生き抜くための仮面が分厚く重なっていくのだろうと思いました。その二面性を大事にしました。

またアサヒは「地に足がついているけど片足立ち」というイメージです。由嘉里を客観視できる冷静さはあるけれど、両足で踏ん張っているわけではない。片足だからこその不安定さを持っている人物だと感じています。

■アサヒに共感できる部分は?

板垣 小説を読むとき、脳内で勝手に声や動きを再生してしまうんです。だから今回もまずは自分が読んだときに浮かんできたビジュアルと話し方、声のイメージと自分自身をどうつなげるかを考えました。共感できない部分があっても、自分の中に落とし込まないと芝居に出せない。でも正直アサヒに関して、繋がらない部分はそんなになかったのかなと思っています。特に「不特定多数に愛されて生きていたい」というセリフ。僕のことを好いてくれる人もいれば、嫌う人もいるし。でも“できることなら多くの人に愛されたい”という気持ちは誰もが持つものだと思うし、今を生きる人達が感じている幸せや不条理、苦しさを描いている作品なので、自分自身と繋げやすかったです。

杉咲さんの力があってこそリアリティのある人間関係が描けた。南さんの軽やかさが、ライがいつ消えるか分からない儚さに繋がっていた。



■三ツ橋由嘉里を演じた杉咲花さん、鹿野ライを演じた南琴奈さん。共演はいかがでしたか?

板垣 由嘉里はバカがつくほどまっすぐなんです。「ミート・イズ・マイン」にあそこまで愛を注げたり、ライのことを想ったり、藤治について知りたいと行動したりと、すごく一直線なんです。その淀みない一直線さは、杉咲さんのあの眼差しがあるからこそ説得力を増し、観る人に伝わると思うんです。アサヒが冷静さを保てるのも、あのどうしようもないなと思えるほどの真っ直ぐさがあるからで、杉咲さんの力があってこそリアリティのある人間関係が描けたと思います。

南さんはちょっとニヒリストっぽい側面を感じました。「私、死ぬの」というライのセリフをある種“清涼感”さえ漂わせながら言えるってすごいなと。ライみたいな哲学を持っていると、「私、死ぬの」というセリフは置きに行っている感じが出やすいと思うんですが、南さんにはそれが全くないんです。「明日のご飯、蕎麦にする?」くらいの感じで。あの軽やかさが、ライがいつ消えるか分からない儚さに繋がっていて、素敵でした。



■撮影現場や監督とのやりとりで印象に残っていることは?

板垣 待ち時間はほぼ雑談していました。切り替えをしっかりとしながら、カメラが回っていないときは普段の感じで。その空気感が3人の関係性に反映されていたと思います。

松居監督はとても照れ屋で(笑)、あまり目を合わせてくださらなかったんですが、後から「すごく褒めていたよ」と人づてに聞いて嬉しかったです。現場では時間の流れが穏やかで、特に朝陽のシーンでも余裕を持って撮影できたのは、監督の寡黙で丁寧な姿勢があったからだと思います。

■作品の舞台、歌舞伎町でも撮影されていましたね。

板垣 早朝の歌舞伎町で撮影をしたことがあったんですが、そのときに、得体の知れないゴミがあって(笑)。事件性は無さそうだったんですが、歌舞伎町の朝にはこういうものが落ちているんだなと(笑)。なかなか行かない場所なので新鮮でした。撮影も夕方から朝にかけて撮影することも多く、実際に歌舞伎町で働かれている方たちと同じサイクルになっていたんですよ。その感じも新鮮でした。

新しい世界が開けた“いい枕”との出会い



■本作のように“出会い”で世界が広がった経験は?

板垣 今年の誕生日にいい枕を頂いたんです。それを機にマットレスも奮発していいかな?と思って、買い替えたんですが、やっぱり寝具って大事だなと思いました。ずっと家で寝ているときは実感しにくいんですが、地方でホテルに泊まったときとかはやっぱり頂いた枕と買い替えたマットレスの良さをすごく感じています。入眠はもちろん、起きたときの身体の楽さが全然違うんですよ。新しい世界が開けた感じがしています。

■サイト名にかけて最近エモいなと思ったこと、心が揺さぶられたことは?

板垣 やっぱり仕事になっちゃいますかね。ちょっといいシーンとか撮影をしていると、役として心を動かして演じているんですが、相手役のお芝居があってこそ成立することも多いんです。ちょうど今撮影している作品ではそういうことが多くて、撮影の度に心が揺さぶられています。

■たくさんのお話をありがとうございました!



★おまけ★




映画のメインビジュアルで青髪を披露した板垣さん。期間が短かったのか伺うと「青髪はウィッグなんです。金髪は地毛でやりましたけど」とのこと。青髪の自分を見た感想は?と聞くと「イケてました(笑)」と照れながらも即答してくださいました。




【Message Movie】
coming soon…




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―PROFILE―



板垣李光人

2002年生まれ。2012年に俳優デビューし、映画『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』で第48回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。今年は、ゴールデン帯連続ドラマで初主演を務めたカンテレ・フジテレビ系ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』、映画『ババンババンバンバンパイア』、ドラマ「しあわせな結婚」、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」など話題作への出演が続いている。さらに、映画『ペリリュー-楽園のゲルニカ-』が12月5日公開。俳優業の傍ら、アートの分野でも個展を開催したり、初めての絵本「ボクのいろ」を11月6日に発売予定など多方面で活躍。俳優業のほか、11月6日に作・絵を務めた初めての絵本『ボクのいろ』(Gakken)を発売。

[X] @itagaki_rihito
[Instagram] @itagakirihito_official


Photo:Tamami Yanase、Text:Kyoko Fuse


―INFORMATION―
映画『ミーツ・ザ・ワールド』
公開日:2025年10月24日(金)
キャスト:杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、渋川清彦、筒井真理子、
くるま(令和ロマン)、加藤千尋、和田光沙、安藤裕子、中山祐一朗、佐藤寛太
劇中アニメ「ミート・イズ・マイン」:村瀬歩、坂田将吾、阿座上洋平、田丸篤志
監督:松居大悟 
原作:金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社文庫 刊)
脚本:國吉咲貴、松居大悟
音楽:クリープハイプ
主題歌:クリープハイプ「だからなんだって話」(ユニバーサルシグマ)
配給:クロックワークス

[HP] https://mtwmovie.com/

©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

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