【基俊介(IMP.)インタビュー】メンバーの出演作を観ると変な気持ちに?「急に家族がお芝居し始めた感じ」<映画『愛されなくても別に』>
2025.8.6
絶賛公開中の映画『愛されなくても別に』。
浪費家の母親に依存され、人生に期待が持てない宮田陽彩(南沙良さん)と過酷な家庭閑居で育った江永雅(馬場ふみか)が出会い、葛藤し合いながらも支え合い前に進んでいく物語です。
Emo!miuでは陽彩と雅が働くコンビニの同僚・堀口を演じるのがIMP.の基俊介くんにインタビュー。
「自分の長所は普通なところ」と言う基くんですが、「普通じゃない」カッコよさを見せてくれました♡
キャラクターのウザかわいい部分を出そうと思った
■本作の出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
基俊介 正直、驚きが強かったですね。
歌番組で待機していたときの休憩時間にお声がけいただいて、この作品が決まりました、と。とんでもないメンバーの中に自分がいるな、というのが最初の印象でした。
あと内容も少し重いテーマだということも聞いていたので、そこら辺は本当にどうなるんだろうな、という感じでしたね。
■ご自身が演じる堀口についてはどのように捉えて、取り組まれたんですか?
基 原作の小説では細かく彼なりの葛藤が描写されているんですけど、映画ではそこまで描かれていなくて。自分なりにいろいろ考えた結果、あまりバックボーンを出さない方が、観る人によっては闇が深いと思うのかな、と。とにかく全体が重い中で、そのバックボーンを知らない状態でも、堀口という役がちょっと憎めない……ストレートに言うと、ちょっとウザ気になるというか、ウザかわいいというのがあるんじゃないかな、と思ったので、その部分を出そうと思いました。
■観る方に、いい意味で余白を与えるような。
基 映画だけを見ると、堀口ってかわいらしいのかなとか、ちょっと空気が読めない感じが彼の良さなのかな?と思うのかもしれないですけど、あえてバカを演じている感じもあったりするのかなって、僕は勝手に思っています。
そもそもこの『愛されなくても別に』という作品自体が観る人によって、いろんな角度の捉え方ができるんですよね。こんな世界があるんだ、と思う人もいれば、全く一緒じゃないにしても、家庭環境を含めて、うまくいかないことだったり、多かれ少なかれ、その人にしか分からない痛みは絶対にあるわけですから。本当にいろんな捉え方ができる素敵な作品だなと思いましたね。
基本的に合わない人はそんなにいないと思っています
■実際に演じてみて、堀口への印象が変わったり、共感する部分はありましたか?
基 人の懐に入っていくのがうまいのかな、と思っています。それこそ本田望結さんが演じる木村水宝石(あくあ)は箱入り娘で、でも本人は母親から解放されて自由が欲しいと、悩みを抱えているんですけど、この悩みを堀口は聞き出しているんですよね。「実は俺この間、聞いたんだよね」って。意外と言いづらいことを言えちゃうような、「こいつは何を言っても多分どうせバカだから覚えてないだろう」と思われているのかもしれないんですけど(笑)。意外と人のそういうのを聞けちゃうところは近い部分もあるかなぁ、って思いましたね。
■実際に身近にいたら仲良くなれそうですか?
基 どうですかね(笑)。
基本的に合わない人はそんなにいないと思っているんです。堀口は浪人したり、ギャンブルしつつも、わりと見栄っぱりなところがあったりして、友達にいたらおもしろいなとは思っちゃうんですよね。ある程度の距離感を保ちつつ、かもしれませんけど。この時代に、いわゆる少し変わったことができるのは、ある意味すごいことだなと思います。やろうと思ってもできないですもん。
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■人付き合いという点では、基くん自身がわりと臨機応変に対応できるタイプなんですね。
基 この間よく行くご飯屋さんに友達と食べに行ったんですけど、そこの常連さんと普通に話してました。「へ~、そういうお仕事やってるんですね」みたいな。でも僕の正体は明かしません(笑)。聞かれても流します。
■表に出る仕事、ということは言うんですか?
基 言いません。表に出てるんですって自分で言いたくないんですよね(笑)。逆に「まだまだだな、自分。がんばろう」って思いました。
「うわ、スクリーンに俺がいる!」
■陽彩と雅に対してはどういう印象を持たれましたか?
基 本当に強いなぁ、と。
自虐を交えられるとこまで落とし込むのは、なかなかやろうと思ってできることではありませんし、人によっては関連するワードが出るだけで、聞きたくないと思うケースもあると思うんです。本当にしんどい環境に身を置いても、「家族だから」というところで踏ん張れる強さはすごいな、って思います。
でも、本当に親子の仲が良いって普通じゃないんだなって思う瞬間がありますね。家族だから何でもいいわけではないし、すごく難しいテーマの中で2人のキャラクターが、丁寧に描かれてるな、と思いました。
■実際に現場でお会いしてみてどうでしたか?
基 恐れ多かったですね。言ってしまえば、フィールドじゃないですか。監督とも面識があるし、やっぱりいろんな作品に出てきたことがある経験がやっぱり雰囲気に出ますよね。おふたりとも静かだな、という印象なんですけど、その静かゆえの雰囲気といいますか……。
僕は撮影期間が短かったので、挨拶ぐらいしかしてないんですけど、役に入ると本当に別人のようで。堀口との掛け合いのシーンがあるんですけど、話したことはないのにリアルな人間の会話が展開されていくんです。もう、すごいなぁ、って。
すごく刺激的な時間でしたね。
■掛け合いのシーンでは、基くんはどういったことを意識したんですか?
基 とにかく一生懸命やりましたね。でも、映画を観るのが本当に好きで「自分だったらこういうふうに言うのかな」って想像しながら観ていたので。なるべく堀口っぽい感じを自分の中に落とし込んで「こういう大学生いるよな」「友達でいたな」ということを少し意識していました。
■ご自身では、完成した作品を見られていかがでしたか?
基 恥ずかしいというか……ちょっと照れみたいなものはありましたね。「うわ、スクリーンに俺がいる!」みたいな。「これってどういう状況?」という気持ちになりました。不思議な感覚でしたね。
■ちょっと冷静には観られないような?
基 いや、そうですね。照れというか。でもやっぱり嬉しかったです。
いろんな場所でいろんな人と出会って成長している
■グループの皆さんがそれぞれ役者として活躍されていますが、そういうお話はされますか?
基 メンバーはメンバーでそれぞれ流派のようなものがありますし。
僕の長所は普通なところだと思っているので。だからこそ、堀口みたいな役をやらせてもらった時に、プロデューサーの方に「本当によかった」と言ってもらえたのは、やっぱり嬉しいことですし、自然体でいられたらそれが一番いいと思います。
それこそメンバーがそれぞれなんかドラマとかやってるの見てると、僕はみんなを知ってるから、変な気持ちになるんですよね。なんだろう……お母さんがお芝居しているみたいな。
■お母さん……!?
基 急に家族がお芝居し始めた感じです(笑)。僕はそんな感じがしていて、途中で恥ずかしくなっちゃうんです。でもみんな頑張ってるなと思いますね。いろんな場所でいろんな人と出会って、成長してるんでしょうし、僕も僕でこういう素敵な作品に出させていただいて、この経験をこうしてお話しさせていただく機会も今日みたいに増えて……公開されるのが本当に嬉しいですね。
■メンバーの皆さんも見に行かれるかもしれない?
基 いや、どうなんですかね? 意外とみんなコソコソ行って報告してこない気がしますね。僕はしてないです(笑)。
心が動かされたIMP.での舞台
■最近、心を揺り動かされたモノやコトがあったら教えてください。
基 やっぱり舞台『IMPACT』はすごくエモい気持ちになる人もいるんだろうなって思いますよね。滝沢歌舞伎を長年愛してくださっていた方はたくさんいて、それが今回、滝沢さん演出で。ある意味、受け取り方は人それぞれですけど、滝沢さんの作品っていうのは、自分の中では全部が全部いい思い出じゃなくて、どちらかというと苦い思い出の方が圧倒的に多いんです。そんな中、今回はIMP.の7人がそれぞれ座長という立場でやらせてもらったときに昔の自分に「おまえ、やったな!」って言えるんじゃないかな、と思います。
■ひとつ、前に進むためのものみたいな。
基 進めたと思います。袖で見ていても、メンバーの姿はちゃんと主演に見えましたし、自分は自分の姿を見ることできないので分かりませんけど、長年一緒に支えてくれているスタッフさんとか、アンサンブルの方とかにも、「頼りがいのある人になったね」って言ってもらえて。自分は別に何かを変えたわけじゃないのに、そう見えているんだったら、やっぱ自分は成長したのかな、と思いますよね。そういうこともひっくるめて、すごくエモいなって思いますよね。ファンの人も多分エモいなって思っていると思います。バックだった僕たちが座長をやってるわけですから。
ザ・男の子みたいな趣味は昔から好き
■『愛されなくても別に』というタイトルがすごくインパクトあるんですけど、子供のころから変わらない、愛してやまないものがあれば教えてください。
基 いっぱいあるんですけど、わりと「男の子」なものが好きですね。
テレビゲームもそうですし、あとはヒーロー系……『スパイダーマン』が大好きなんですよ。あと車もすごい好きで。ヘアメイクをしてもらってる間も海外の輸入車を見ながら「これいいな」みたいな。そういうザ・男の子みたいな趣味は昔からほんと好きです。ゲームもいまだにメンバーとも一緒にやるぐらい好きですね。
■最後にこの作品の推しポイントを一言いただけると嬉しいです。
基 この作品は内容とは裏腹に映像が儚くて美しいことが逆に刺さると言いますか。本当に家族の形とか家庭環境ってある意味、社会問題とも言える1つの重いテーマを題材にしてはいるんですが、この作品を見てくださった方は本当にいろんな感情を2時間弱の間に抱くと思います。でも、観終わった後にポジティブとはまたちょっと違う希望が見えるというか。
儚くも美しい、しかもこの女性同士の友情とはまた少し違う愛をテーマにした作品なので、本当に受け取り方は人それぞれだと思います。とにかく観終わった後に感じたものを大事にしていただきたいですね。
僕はすごく希望が持てるというか。苦しく切ないなぁ、と思うんだけど、すっきりしてる自分も同時にいるというすごく新しい感情になった作品なので、ぜひ皆さんに見ていただきたいなと思っております。
■沢山のお話、ありがとうございました!

基俊介(IMP.)
1996年10月17日生まれ。埼玉県出身。
7人組男性グループIMP.のメンバーとして、2023年8月「CRUISIN’」で世界同時配信デビュー。IMP.のメンバー全員が地方局でレギュラー番組を持ち、基はRKBテレビ「タダイマ!」で「IMP.基くんとバズーさんの福岡旅」に出演中。
6月23日には、4thシングル「Cheek to Cheek」をリリース。
[Instagram] @_7mp_official_
[X] @_7mp_official_
[TikTok] @tobeofficial_jp
【STAFF CREDIT】
Photo:須田卓馬、Text:ふくだりょうこ
―INFORMATION―
映画『愛されなくても別に』
新宿ピカデリーほかにて絶賛公開中!
出演:南沙良、馬場ふみか
本田望結、基俊介(IMP.)、伊島空、池津祥子、河井青葉
監督:井樫彩 原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
[HP]https://aisare-betsuni.com/
Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会