【奥野壮インタビュー】「東啓介さんがいる現場は「笑わないぞ」という覚悟をしていくんですけど、毎回笑っちゃいました。」共演者との仲良しエピソードも。<ドラマ「女子高生、僧になる。」>



『仮面ライダージオウ』で俳優デビューをし、それ以来、多くの作品に出演、めざましい活躍を続ける奥野壮くん。

そんな奥野くんがMBSドラマ『女子高生、僧になる。』に出演中。
住職だった祖父が亡くなった主人公・麦(畑芽育さん)。そんな麦が祖父のお寺を守るために女子高生が僧に!?……というストーリーです。

奥野くんは麦の幼なじみ・柊を演じます。撮影現場でのエピソード、そして奥野くんのパーソナルについてもお聞きしました。


仏教というテーマに不安もあった




■脚本を読まれた際、どのような感想を持たれましたか?

奥野壮 横尾初喜監督とは以前、お仕事させていただいたことがあるんですけど、わりとヒューマンドラマ、ハートフルな作品を撮っているイメージで、僕がご一緒したときも、あまりコメディの印象はなかったので、正直驚きました。

びっくりから始まって、脚本を読んでいくうちに、仏教だったり、お寺、お坊さんが登場して。ちょっとセンシティブじゃないですか。手が出しづらいところだなって思ったのが正直な感想です。だから……漠然とした不安のようなものはありました。「本当に撮れるの?」というところから入りましたね。

でも現場に入ると、そんなことをみじんも感じなくなるぐらい、お坊さんたちが気さくに話しかけてくださったり、いろんな所作を教えてくださったりして。そうしているうちに大丈夫だ、と思えてすぐに安心できました。固いことは考えずに楽しんでやっていました。



■撮影前に仏教についても勉強されたんですか?

奥野 そうですね。仏教についてはさらっと触れて、あとは直接教えていただくのがメインでした。
意外だったのは、結構自由なんだな、ということです。もちろん、ちゃんとしなきゃいけないところはするんですけど、普段の生活はあまり気にしすぎることはありませんでした。座り方とか、袈裟の見え方だとかは気にしなきゃいけないけど、別に私生活の中で特に気にすることはあまりないみたいだったので驚きました。

フレンドリーに接してくださるし、もっと硬くて厳しくて、厳格な人というイメージを持っていたんですけど、それが払拭されたな、というのはあります。

柊は自分とすごく似ている




■今回、奥野くんが演じられた磯野柊(いその しゅう)はどんな人ですか?

奥野 暗いですね。緊張強いで、人とのコミュニケーションがすごく苦手なタイプなんですけど、僕とすごく似ていて。僕も人前で緊張するし、コミュニケーションを取るのが苦手な方だと思うので、それをもう少しオーバーにしたのが柊かな、と思います。

■逆にここは全然似ていない!というところはありますか。

奥野 あまりないかもしれないですね。多少オーバーにしている分、僕はここまではしないかな、ということはあるんですけど。例えば緊張して言葉が出てこない、とかはないんですけど、気持ちはわかります。
それよりも仏教の教えだったり、所作に集中していた気がします。

柊という役はわりとすんなり入ってきたので、そこよりもお坊さんとしてどう立ち振る舞うべきかみたいなことを大事にしていました。

■所作など意識されていたんですね。

奥野 柊の人間性は台本から読み取ったり、自分で想像することで形成していくけど、仏教の教えはもうすでにある事実で、それをないがしろにはできない。自分で作り上げていくものは、自分が主体なので、何とかなるけど、すでにあるものに入っていくことは難しいです。なので、そちらに注視していました。

「仲間入りですね」現場での意外な悩み



■撮影が2月ぐらいにされていたとのことだったんですが、寒い中で、ですよね。大変だったことはありますか?

奥野 (食い気味に)花粉です。

■花粉症ですか。

奥野 花粉症ですね。畑芽育ちゃんも花粉症なんですけど、僕ら2人ともあまりにもひどくて。「病院に行っでぎだ」ってざらざらの鼻声で話していました(笑)。で、それを見て監督が笑いながら「花粉症の気持ちはわかんないわ~」って言っているのに対して、「監督、敵ですからね!」って冗談を返したり(笑)。でも翌日には「俺、花粉症になったかもしれない」って監督も言っていたので、「仲間入りですね」と言っておきました(笑)。
でも本当に一番の敵は花粉でしたね。

■花粉って本当にもうどうしようもないですよね。

奥野 はい。花粉と戦うか、薬の眠気と戦うか、になっていましたね。
本当に和やかな空気で、現場はすごく楽しかったので大変だったのは花粉とお経ぐらいですかね。



■今回の作品だけに限らず、花粉症の時期に撮影があると思いますけど、そういうときって、どうやって乗り越えてるんですか?

奥野 薬ですね。
これ、花粉症で、マイペースな人にはわかってもらえると思うんですけど、花粉症って、発症するまでは「いけるじゃん」と思うのに、症状が出てくると「……あれ?ちょっとやばい?」「薬~!」ってなるんですよね。毎年、花粉症だから事前に薬を飲んでおかなきゃいけないのに、仕事に影響が出てから初めて病院に行く、みたいな。

■1月末ぐらいから行くといいって言いますよね。

奥野 そうなんですよね。本当は発症する前に飲むといいんですけど。毎年できていないので来年こそ! って毎年言っています。

■でも忘れちゃうんですよね。

奥野 忘れちゃう!だってまだ平気なんだもん(笑)。できれば飲みたくないし……というのと毎年戦っています。

東啓介さんには笑わされっぱなし!?



■今回の作品で、共演して印象的だった方はいらっしゃいますか?

奥野 東啓介さんです。ミュージカルを中心に映像もやられている方なんですけど、面白かったですね。東さんがいる現場は「笑わないぞ」という覚悟をしていくんですけど、毎回笑っちゃいました。全然ダメでしたね。

■ユーモアがある?

奥野 もう見た目からずるいんですよね。身長が高いんですけど、加えて筋肉質だったりするので、アニメやん、マンガやんみたいな。そんな体型の東さんがアドリブでふざけたりすると、もう耐えられないですね。だから、今までで一番NG出した現場です。

■でも仲良し?

奥野 一度ラジオドラマで共演してことがあって、そのときに意気投合して何度かお酒を飲んだり、ご飯に連れて行ってもらっていたりします。今回、初めてドラマで共演したんですけど、いや、破壊力満点でしたね。監督も笑い声入ってるよ!みたいなこともありました。



■東さんはアドリブが多いんですか?

奥野 もうアドリブだらけですね。だからもうずっと耐え、です。このドラマで東さんが出てきたら全部アドリブだと思ってもらったら。
台詞はちゃんとあるんですけど、行動や言い方は全部東さんが悪ふざけしているので、そこに耐えるのが僕たちの仕事でしたね。

■奥野くんもアドリブで返されたり?

奥野 僕は、アドリブで返せるキャラクターじゃないので、ただただ耐えるだけです(笑)。芽育ちゃんはわりと返せるキャラクターだったので、いいんですけど、僕はただ受け続ける、みたいな。こっちからも攻撃したかったんですけどね(笑)。
もうダメだよ!って思いながらやっていましたね。でもすごく楽しかったです。

お兄ちゃんの顔を見ると安心する



■ここからはドラマに紐づいてパーソナルな部分をお聞きできればと思います!
柊くんはお寺が癒しの場ですが、奥野くんにとって癒しの場は?


奥野 家ですね。お兄ちゃんと2人暮らししているんですけど、お互いの仕事の時間帯も違うのであまり会うことはないんです。でも、たまに顔を合わせるとごはんに行くこともあって。
ちょっと自分がしんどいな、と思ったときに、お兄ちゃんの顔を見ると、ほっとするんですよね。だから僕は家とお兄ちゃんが癒しかなと思います。

■お兄さん嬉しいですね、弟さんにそう言われると。

奥野 そうですね。きっと、鼻の下伸ばしてドヤ顔で多分このインタビューを読んでいます(笑)。

■(笑)。癒しになるもの、人だとやっぱりお兄さんでしょうか。

奥野 お兄ちゃんですね。ふたつ上で、サラリーマンやっているんですけど、すごく安心感あるんですよね。



■子どものころから仲はよかったんですか?

奥野 めちゃくちゃ仲悪かったです(笑)。中学から高校のころは2年ぐらい話もしていなかったですね。

■でも今は一緒に暮らして。

奥野 お互い大人になって、当時はなかったお互いへのリスペクトが多分生まれたんだと思います。僕も仕事していて、お兄ちゃんの仕事すごいなと思っているので、そういうところかな、と。

■ちなみにどんなお子さんでしたか。

奥野 めちゃくちゃマイペースですね。あと負けず嫌いで、よく寝る子でした。
急な坂道を三輪車で走るのとき、お兄ちゃんは怖がって足をつきながらだったけど、僕はバーッ!って行っちゃう子だったってよく聞きます。それぞれそういう特徴があったみたいですね。

■兄弟でも個性出ますよね。

奥野 なんなんでしょうね。同じ環境で育っていても、何か違うんでしょうね(笑)。

顔が全然違う



■柊君は大人になってイケメンに大変身! という役どころですけど、子どもの頃と変わったな、とところと、逆に変わってないな、と思うところはありますか?

奥野 多分、顔は総入れ替えしている(笑)。

■えっ、どういうことですか(笑)。

奥野 整形したのか? というぐらい変わっています。ちっちゃい頃はかわいい、かわいいって言われて育ってきたんですけど……見せたいぐらいです。全然違います。

■それは「かわいい」が「かっこいい」になったわけではなく?

奥野 多分、男らしくなったんですかね。
仮面ライダーになる前の顔と仮面ライダーになったあとの顔だと全然違うし、それ以前の顔は、もっとふにゃふにゃしていますね。

負けず嫌いなところは変わらない



■逆に変わってないところはどうですか。

奥野 負けず嫌いなところは変わってないですね、多分。できるまでやりたい。

■最近、苦手なものでできるようになったものだとかはありますか?

奥野 今回のお経とか、仕事に通ずるものですね。少し前だったら騎手の役をやっていたので乗馬をしたり。
最初ってみんなできないじゃないですか。それをできるように変えていくのが僕は楽しいです。

■今回の作品もそうですけど、新しいジャンルにチャレンジしていくことに全然抵抗がない?

奥野 楽しいです!
お経を読んだり、騎手のように馬に乗ったり、そんな経験はこういう職業じゃないとできないと思うので。それも自分がやりたいと思ってやるんじゃなくて、やらなきゃいけない状況に持っていかれることがありがたいんです。
やらなきゃいけない状況だからやる。だからできる。じゃないと、興味を持たなかったり、興味を持っていても行動に移せなかったりする性格なので、やらなきゃいけない状況に持っていってくれる作品はありがたいな、と思います。

■恐れずに行くぞ! と飛び込んでいけるんですね。

奥野 できないことがあると、燃えますね。



■今後やってみたいことはありますか?

奥野 バレエをやってみたいですね。クラシックバレエを11年ぐらいやっていたんですけど、お仕事でやってみたいな、と最近になって思うようになりました。
バレエは一度挫折してやめたんですけど、もう一度踊ってみたいな、と思います。なかなか行動できない自分ですけど、仕事ならやらなきゃいけない!と、すぐに行動に移せるので、すごくやりたいと今思っていることの一つです。

■ある種これまでの積み重ねが自信になってるから、またチャレンジしたいなと思えるようになった?

奥野 んー……というよりは、クラシックバレエ自体がもともと好きなんですけど、プロフィールの特技でも書いてあるのに、僕多分6~7年はバレエに触れてないんですよ。それが寂しいなって。今の人生の半分やってきたものをもうやらない、というのはちょっとなあ、と思うんです。クラシックバレエを仕事にしていく、ということはないのかもしれないけど、役者はやらなくなったことにも改めて触れられる職業だと僕は思っているので、そういう意味でも、また踊りたいなと思っています。

■ここまでのお話をお聞きしていて、役者に対する捉え方がすごく素敵だなと思うんですけど、以前からそういった考え方なんですか?

奥野 いや、もっとなんかふわふわしていました。最初の頃は「役者かっけぇ!」みたいな(笑)。
でもお仕事を重ねていくにつれて、これじゃダメだなとか、こうなりたいなとか、こうしたい、ああしたいがどんどん出てきて、役者への考え方が出来上がっているのかな、と。でもそれが正解だと思わないし、誰が正解とか多分ないと思うんですけど、僕はわりと楽しく、やれている方かなと思っています。
新しいことや、過去やっていたことへの新たな挑戦には全く抵抗ないですね。



■最近、心を揺さぶられたことは?

奥野 「VIVANT」をみて、すごいと思いました。本当に視聴者目線で「どうやって撮っていたんだろう?」とか「これ、どんなロケしてんの?」と思うような壮大な作品で。今までの日本ドラマではないぐらいの製作費をかけて撮影されていると思うし、キャストもそうそうたるキャストのみなさんが出演されていて、観ていてわくわくするドラマです。

■最後に、ドラマをみてくださる方にメッセージをお願いします。

奥野 仏教だったり、お寺だったりお坊さんだったり。身近にあるけど、あんまりよく知らないことだったり、興味があるけど一歩踏み出す勇気がないとか、そういう方たちにも楽しく仏教の知識だったり、「お寺って今こうなんだよ」ということをポップに教えてくれるドラマだと思っています。興味がなくても単純にドラマとして楽しめるようなコミカルなドラマなので、ぜひ見てくれてくださったら嬉しいです。

■インタビュー以上になります。素敵なお話ありがとうございました!


ちょこっとQ&A




Q.好きな食べ物。
A.しゃぶしゃぶ。ひきわり納豆。

Q.好きな映画。
A.『グリーンブック』

Q.好きな色。
A.白。

Q.今欲しいものは?
A.ヘッドホン!

Q.家の中で落ち着く場所。
A.ベッド。

Q.言われたら嬉しい褒め言葉。
A.「今の良かったね」。

Q.口癖は?
A.「確かに」「なるほど」。
この2つは言っちゃいますね。あんまり良くないって言いますけど、言っちゃう(笑)。

Q.長所は?
A.賢いです。

Q.短所は?
A.勉強の方では頭は悪いと思います。

長所の賢いは、人が話していることだったり、ドラマだったりを理解する力があると思うんです。あと、それを自分の考えに落とし込むことが得意だと思う。
例えば台本を読み取る力とか、そういうものがあると勝手に思っています。
だからこういう発言をして人からどう思われるかなとか、気にしちゃうんですけど。
客観的に自分を見たときに「うわ、恥ずかしいな」とか、「もうこういうことを言うのやめよう」とか。短所でもあるのかな。深読みしすぎちゃうんですよね。

Q.幼少期の夢。
A.プロのバレエダンサーです。

Q.取得してみたい資格。
A.車の免許。

Q.子供の頃のヒーローは?
A.熊川哲也さん。

Q.今の夢は?
A.自分が入る作品がそれぞれいいものになること。
一つ一つが素敵な作品だなって心から思えるような作品にすること。




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ーPROFILEー




奥野壮

2000年8月21日生まれ。大阪府出身。
第30回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」にてフォトジェニック賞&明色美顔ボーイ賞をW受賞をし、2018年、『仮面ライダージオウ』で主人公に抜擢され、その後も様々なドラマに出演。
主な出演作は、映画『私がモテてどうすんだ』『灰色の壁―大宮ノトーリアス―』『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』、ドラマ「トーキョー製麺所」「おいハンサム!!」、「恋に無駄口」(主演)、「福岡恋愛白書18 春のおとなりさん」(主演)などがある。10月15日スタートのTBS日曜劇場『下剋上球児』にて野原舜役で出演する。
[X] @okuno_so_
[Instagram] @so_okuno_official

ヘアメイク:牧野裕大(vierge)
スタイリスト:三宅剛


ーINFORMATIONー
【MBSドラマ 「女子高生、僧になる。」】
MBSより毎週日曜より24:50~放送中!
出演:畑芽育 奥野壮
東啓介 しゅはまはるみ 伊藤あさひ 吉田晴登
春海四方 / 田山涼成
監督:横尾初喜、森ハヤシ、戸塚寛人
脚本:森ハヤシ
オープニング主題歌:shallm「センチメンタル☆ラッキーガール」(ユニバーサル ミュージック)
エンディング主題歌:mzsrz「Odyssey」(avex trax)

<放送局・放v送日時>
・MBS/毎週日曜24:50~
・テレビ神奈川/毎週金曜24:00~
・チバテレ/毎週火曜23:30~
・テレ玉/毎週土曜25:30~
・とちテレ/毎週水曜25:30~
・NBC長崎放送/毎週月曜24:55~
・群馬テレビ/毎週月曜22:30~
・HBC 北海道放送 日時調整中

<配信>
・Huluにて見放題独占配信
・TVer、MBS動画イズムにて見逃し配信1週間あり

[X] @drama_mbs
[Instagram] @jk_souninaru_mbs
[TikTok]@drama_mbs
[HP]https://www.mbs.jp/joshikousei-souninaru/

©「女子高生、僧になる。」製作委員会・MBS

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